図1 白金週足 (出展元 サクソバンク証券)
先週の白金相場は図1に示すように1トロイオンス当たり35ドル値上がりして引けている。米中協議の先行き難航見通しによる金の上昇と、米中会談の再開を受けた株高、双方の恩恵を受けた形で2018年の3月以来の高値となった。今日は白金相場について簡単に分析し、価格の見通しについて考えてみたい。
まず、先週のCFTC発表の建玉を5週間分見てみよう。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
7/30 | 76,346 | 46,584 | 20,816 | 25,768 | 14,964 | 48,539 | -33,575 |
8/6 | 75,607 | 44,211 | 22,267 | 21,944 | 16,165 | 46,622 | -30,457 |
8/13 | 77,101 | 46,105 | 24,429 | 21,676 | 17,368 | 46,585 | -29,217 |
8/20 | 77,468 | 45,654 | 26,039 | 19,615 | 18,539 | 45,687 | -27,148 |
8/27 | 78,397 | 46,983 | 23,996 | 22,987 | 17,420 | 48,626 | -31,206 |
図2 建玉数(データ出展元 CFTC)
図2は2019年の白金建玉数の推移となる。上段左から、総建玉数、売買差引、前週からの変動となる。図1のとおり、7月末から8月の前半は白金相場は下落してたため、大口投機家では買玉が減り売玉が増えていた。それが先月末になってトレンドが転換し買い玉が増え、売玉が減っている状態となっている。
次に白金と関連する商品や通貨との相関を見てみよう。

図3は白金と金と相関を見たもので、2017年の終わりから、相関のある動きをしている。2019年の4月に乖離があるがここはダウが急伸しており、その影響を受けたと考えられる。金との相関からは買いと判断できると考えられる。

図4は図3と同様にパラジウムとの相関を見てみよう。パラジウムは車用触媒などほぼ工業用に使われる白金族の金属で、現在では白金から触媒用金属の転換が進んだため白金より高値を付けている。このパラジウムも白金と同様の動きを示していて、パラジウムとの相関からも買いと判断できると考えられる。

最後に、世界の半分近くの白金を生産する南アフリカの通貨ランドとの相関を見てみよう(図5)。白金とランドとの間には明らかな逆相関がある。ただし、先週に関してはランドが高止まりしているにもかかわらず、白金が上昇しているため、この図からは下げ相場が予想される。
以上、建玉数と関連商品・通貨との相関から白金の相場の今後の見通しを考えてみた。ランドとの逆相関は気になるが、総合的に判断すると白金は上げ相場となるのではないだろうか。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。