石油備蓄放出(つらつらコラム2019年8月26日)

アメリカがSPRの売却を予定している。SPRとはDOE(アメリカ合衆国エネルギー省)が管理しているアメリカの戦略備蓄原油(Strategic Petroleum Reserve)のことで有事に際して原油の輸入が途絶しても150日は経済活動に問題がないように、もしくは自然災害などの際に石油会社への貸出用に備蓄している原油の事で、2019年2月時点で約6.5億バレルが備蓄されている。アメリカ政府はアメリカ国内の原油生産量が増加していることもあり、備蓄の内で過剰となっている約2.6億バレルを2010年から2027年までの期限で放出することが決定して図1のように定期的に放出している。今週放出されるのは約1000万バレルのサワー原油(重質油)で今週8月28日までに購入希望者の受付を行う予定。これはつまり、原油が1000万バレル市場に放出されることになる。市場への影響力行使ではないと説明されているが、既に供給過剰気味になっている原油在庫の積み増しは確実で、短期的には原油価格の懸念材料になると考えられる。今回は中国との貿易戦争の激化のタイミングの直前で発表されており、考え過ぎだと思うが短期的に経済維持するのための一手のような気がするのは気のせいだろうか。

おまけとなるが、英国の方でも原油備蓄に動きがありそうだ。それは10月31日に期限が迫っている英国のEU離脱が実現した場合、備蓄原油のEU基準に縛られる必要がなくなるためで、英国政府はEUを離脱した場合に石油会社に備蓄原油の売却を許可するとフィナンシャルタイムズが伝えている。英国はEU基準では61日分8500万バレルの原油備蓄を必要としているが、IEA(国際エネルギー機関)の基準に変更することで3500万まで備蓄を減らすことが出来る。この余剰が市場に放出される。こちらは一度にどれだけの量が放出されるか現時点でわからないため、直ぐに欧州の原油市場に影響するとは考えにくい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。