米中部分合意とダウの見通し(つらつらコラム2019年10月15日)

図1 ダウ先物時間足チャート (出展元 サクソバンク証券

先週10日木曜日からワシントンで行われていた米中間の貿易をめぐる閣僚級協議は、11日金曜日に部分合意に漕ぎつけた。ダウは10日にトランプ・アメリカ大統領と劉鶴・中国副首相が会談する見込みであることを好感して上げて始まり、実際に会談が行われ第1段階となる部分的合意が行われて12月15日に予定されていた関税実施の延期が発表されたことで、27000ドルを回復するなど引け直前以外は、ほぼ上げる相場となった(図1)。実は、筆者は合意は難航・物別れすると考えており、9日夕や10日夜に売りでエントリーしてみたが、見事に裏目に出てしまった。まさに売ったら上がるという状態で痛い目を見たので、金曜日は様子見に終始してしまった。あとから考えれば、ヘッドラインに応じて、即座に買いで入るべきであったことが大きな反省点として残った。

ただそのまま流すのも悔しいので、それでは実際どういう分野で合意したのか見ていこう。詳細が全く不明となっている。アメリカ側の発表は、ムニューシン財務長官の「金融サービスでは全面的合意、為替の透明性向上で合意。」などで、トランプ大統領が加えて「最大500億ドルに及ぶ農産物の購入と知的財産権の保護に対する一定の措置で合意した。」となるが、中国側は劉鶴副首相の「多くの分野で前進があり嬉しく思う。今後も取り組みを継続する。」、新華社が「合意に向けて努力することで一致した。」となり両国のコメントに非常に大きな温度差があるように感じられる。昨日の18時頃に中国側が合意までに追加交渉を早ければ今月末にも望むとのニュースが入り100ドル以上ダウが下落したが、いまだ口頭のみの合意で文書ができていないとすれば、双方の主張の辻褄が合ってくると思う。合意内容が実際に文書化されて双方で署名が行われるまでにアメリカ側の発表でも3-5週間の時間が必要で、実際の合意文書への署名は11月にチリで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で行われる米中首脳会談で可能性があるとの大統領が述べているが、このスケジュールで実際に行われるかどうかは不透明感が強くなった。

最後に、今後のダウの見通しについて書いておく。米中協議関連はアメリカ側の発表通りに合意する場合でも、合意まで約1カ月の時間があるため、駆け引きのヘッドラインニュースが入るたびに高下するにしても、直近ではその頻度は落ちるのではないだろうか。それよりは今週から活発化するアメリカ企業の第3四半期の決算の状況に市場の目が向くと考えられる。雇用以外の指標はISMが数年ぶりの低水準にあるなど、アメリカ景気の減速基調が明らかになっていため、企業決算の動向には特に注目したい。筆者個人は決算結果の悪化で製造業やサービス業を中心に悪化し、ダウは下げ基調になるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。