英下院EU離脱延期を可決(つらつらコラム2019年9月5日)

昨日のダウ相場はいくつかの政治リスクが後退したために買いが入った。中国で香港で続くデモの発端となった逃亡犯条例改正案の撤回、イタリアの連立の枠組決定、そして英国下院での10月31日に迫るEU離脱(ブリグジット)期限の3か月延長法案可決・解散動議の否決などとなる。このうちブリグジット関連について分析と影響する金相場の見通しを出しておきたい。

図1は昨日のポンドドル、ダウ、金の時間足となる。午前3時頃に延長法案が可決されたため、いわゆる「合意なき離脱」の懸念が後退したとの見方から、ポンドはドルに対して上昇、ダウは上昇、金は下落した。続いて午前5時頃に解散動議が否決されているが、こちらは市場の引けに近かったこともあり影響は少なかった。
それでは、今回の延長法案可決で何が変わったのだろうか。答えは簡単で何も変わっていない。つまり、英国国内で離脱期限延長をいくら叫んだところで、交渉相手のEU側が期限の再再再延長を認めた上での議決ではないためで、合意なき離脱の可能性は実は全く変わっていない。そのため懸念が簡単に再燃することが考えられる。ブレグジットがEUの政治・経済に与える影響は大きく、期限までの今後約2か月にわたって金相場が動く要因になると考えられる。 例えば、総選挙の有無、離脱期限の延長拒否(もしかして承認)、10月31日の離脱期限前の混乱と相場が動くチャンスが増えたということができるだろう。

ブレグジットのこれまでを離脱期限から振り返ってみれば、最初の期限は3月29日で、初回の2週間の延長は議決のための技術的な延長、前回はメイ前首相の議決案が否決されたための延長だった。その後、英国では新首相以外何も決まらないままであり、このまま再延長というのは離脱強硬派のフランスを納得させることは難しいと考えられる。とすると、英国側に残された選択肢は総選挙による判断となるだろうが、現状では離脱賛成派の保守党と離脱党の支持率が合わせて44%、反対派の労働党と自民党の支持率が合わせて41%となっており、下院の勢力を反映しているとは必ずしも言えない。結果、総選挙を行ったとしても現状と大きく変わらず、過去の国民投票を無視することも再度行うこともできないという死に体に陥ることが容易に想像できる。また、今回の法案に対するEU側からの反応も報道官の離脱修正案を待つというそっけないものだった。以上から、離脱案の採決以外はこのまま10月31日になし崩しの合意なきEU離脱となる可能性が高いと考えられ、繰り返しになるが、金相場の上げ要因となることは間違いないのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。