

昨日(日本時間今日1時)、USDAから10月の需給報告が発表された。内容を反映して大豆上昇(図1)、コーンは下落(図2)と動きが分かれた。大豆の動きは予想出来たが、コーンは筆者の予想に反してしまった。コーンのイールドは前月の168.2ブッシェルも事前予想の167.5ブッシェルも上回る168.4ブッシェルとなり、在庫見通しが事前予想の17.84億ブッシェルを上回る19億2900万ブッシェルだったため、コーン相場は急落した。市場予想通りの修正となった大豆(イールドが前月の47.9ブッシェル、事前予想の47.3ブッシェルを下回る46.9ブッシェル、期末在庫が前月の6億4000万ブッシェル、事前予想の5億2100万ブッシェルを下回る4億6000万ブッシェル)となった大豆も一時上昇したものの、結局コーンと小麦の連れ安となったことで、非常に惜しい展開となった。今日は、需給報告の内側を簡単に見ていきたい。
先ずは大豆から見ていこう。
今月 | 前月 | 市場事前予想 | |
作付け面積(万エーカー) | 7650 | 7670 | |
収穫面積(万エーカー) | 7560 | 7590 | |
単収(ブッシェル) | 46.9 | 47.9 | 47.3 |
期初在庫(億ブッシェル) | 9.13 | 10.05 | |
生産量(億ブッシェル) | 35.50 | 36.33 | |
消費合計(億ブッシェル) | 40.23 | 40.18 | |
内輸出(億ブッシェル) | 17.48 | 17.45 | |
期末在庫(億ブッシェル) | 4.60 | 6.40 | 5.21 |
在庫率 | 13.8% | 15.4% | |
平均価格(ドル/ブッシェル) | 8.50 | 9.00 |
今月の報告で単収が1ブッシェル引き下がった他、若干収穫出来ない畑が増えたため、生産量が約8000万ブッシェル引き下がり35億5000万ブッシェルとなった。その他消費量や輸出見込み量が増加したこと、期初在庫が約9000万ブッシェル減少したことから、期末在庫見通しは1億8000万ブッシェル引き下げられて4億6000万ブッシェルとなり、この数字は市場事前予想の5億2100万ブッシェルを下回った。
次にコーンだが、
今月 | 前月 | 市場事前予想 | |
作付け面積(万エーカー) | 8990 | 9000 | |
収穫面積(万エーカー) | 8180 | 8200 | |
単収(ブッシェル) | 168.4 | 168.2 | 167.5 |
期初在庫(億ブッシェル) | 21.14 | 24.45 | |
生産量(億ブッシェル) | 137.79 | 137.99 | |
消費合計(億ブッシェル) | 140.15 | 141.05 | |
内輸出(億ブッシェル) | 19.00 | 20.50 | |
内エタノール用(億ブッシェル) | 54.00 | 54.50 | |
期末在庫(億ブッシェル) | 19.29 | 21.91 | 17.84 |
在庫率 | 13.8% | 15.4% | |
平均価格(ドル/ブッシェル) | 3.60 | 3.80 |
イールドが168.2ブッシェルから168.4ブッシェルへ微増したが、 収穫面積が20万エーカー微減したことで、生産量は2000万ブッシェル微減し137億7900万ブッシェルとなった。イールドは前月を上回った他、事前予想の167.5を上回った。消費量は飼料用が1億2500万ブッシェル増加したが、輸出用が1億5000万ブッシェル、エタノール向けが5000万ブッシェル減少したなどしたため、1億1千万ブッシェル減少し、140億1500万ブッシェルとなった。このため期末在庫見通しは前月より2億7千万ブッシェル減少した19億2900万ブッシェルとなったが、市場の事前予想の17億8400万ブッシェルは上回った。アメリカ政府によりエタノールの増産に向けた試みが行われることが発表されてはいるが特段変化は見られなかった。
最後に今後の見通しに簡単にも触れておきたい。コーンベルトの天候は東部については気温が上昇している他(図3)、好天に恵まれて比較的農作業が進行している(図4)。これに対してコーンベルト西部や北部では、長雨が続き農作業や生育に影響が出て、西部や北部の州では収穫率は10%前後となる(今週のクロップレポートによる)中、厳しい寒波が北西から到来している。図3に示す通り最低気温が氷点下化から5℃程に冷え込む中、図4の様に西から雪(白)やみぞれ(水色)が降り、そのほかの地域でも広い範囲で雷雨(斜線)となっている。この他、図5の通り、冷え込みにより広範囲に凍結警報(濃い紫)や注意報(薄い紫)が発令されている状況となった。当初の予報よりは嵐の規模が縮小して、来週初めには寒さが緩むとの予報があるものの、収穫前の農作物の生育や品質に影響が出ることは避けられないと考えられる。来週のクロップレポートは特に注目となるが、大豆、コーン共に価格は上昇傾向と考えてよいのではないだろうか。



※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。