EIAエネルギー短観(つらつらコラム2019年11月14日)

 

昨日付でEIAからエネルギーについての短観が出されたので天然ガスについてみていきたい。まず生産量は2020年には増加ペースが鈍化し2019年の9.1Bcf/dの3割程度となる3.1Bcf/dの増加にとどまる見込み(図1)。これはガス田への新規投資が価格低迷によって抑制されている結果によっている。次に価格だが、ヘンリーハブにおける10月の天然ガスのスポット価格は1mmBtu当たり2.33ドルで9月に比べて0.23ドルの下落だった。11月の天然ガスのEIAの予想平均価格は寒波による値上がりで2.73ドルと予測されている。この値段は去年の価格より0.13ドル低い。また2020年の平均価格は2.48ドルと予測されていて、価格の低迷が続く見込み(図2)。要因としては国内の天然ガス需要の伸びの鈍化(図3)が挙げられている。ただし、2020年の気温が今年より夏冬共に穏やかになるとの予想がベースになっている。

U.S. marketed natural gas production
図1:ガスの生産量と増減分内訳(出展元 EIA)
U.S. natural gas prices
図2:天然ガス価格予測(出展元 EIA)
U.S. natural gas consumption
図3:天然ガス需要予測と増減分内訳(出展元 EIA)

次に天然ガスの輸出(LNG)は2019年の平均で4.8Bcf/d、2020年は平均6.4Bcf/dとEIAは予測している。実際には今年の時点でキャメロン基地の新しい輸出設備が稼働した後の7月の実績で平均6.0Bcf/d、コーパス・クリスティ基地とフリーポート基地の新設備が稼働した10月の実績で平均6.6Bcf/dに既に達している。年末の実績はエルバ島基地の輸出設備が稼働した分が含まれることで更に増大が予想される。当のEIAの短観でもこれらの基地設備のフル稼働で来年は8.9Bcf/dの輸出を予定と記載しているので、6.4Bcf/dは非常に弱気な数字だと考えられる。

U.S. natural gas trade
図4:天然ガス輸出入見通し(出展元 EIA)
*棒グラフ横の数字はLNG輸出入分に当たり、マイナスは輸出を示す

まとめると、EIAの予測では2020年の天然ガスの生産量は伸びるものの、今年の価格低迷で投資が抑制されたことが響き増加ペース自体は頭打ちになる模様。国内消費も冷え込みが予想されている。ただし、穏やかな気候が想定されているようなので、筆者は今後の天気次第で暖房用冷房需要が増加する可能性があると思う。輸出は順調に増加しており来年度も増大する見込み。筆者の予想ほど輸出量増加は大きくないが順調に増加する。加えて生産量の頭打ちで供給余剰感が失われることから、EIAの来年の平均価格予測がヘンリーハブで1mmBtu当たり2.48ドルとなっているのは、非常に弱気な数字ではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。