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レポート
column

2021/10/29

レポート:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(2021年10月29日)

ダイジェスト

・10月28日発表の天然ガス在庫は各社予想86Bcf増に対して87Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容で懸念材料となった
・10月22日時点の天然ガス在庫量は3548Bcf(有効容量の83.3%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3674Bcf)に比べて126Bcf少なく、前年(3951Bcf)と比べると403Bcf少ない状態
・10月21日から10月27日までの期間の天然ガス供給量は99.5Bcfで前週比で1.4Bcf増加。天然ガス生産量が前週比で1.4Bcf増加した93.6cf、カナダからの輸入量は5.8Bcfで前週から横ばい
・10月21日から10月27日までの期間の天然ガス国内需要量は90.4Bcfで前週から4.1Bcfの増加
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で0.5Bcf増加した34.2Bcf、住宅・商業用需要が前週比で3.4Bcf増加した17.4Bcf、工業用需要は前週比で0.2Bcf増加した21.9Bcf。アメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が増加したため住宅・商業用需要が増加
・LNG輸出用需要は前週比で0.3Bcf減少した10.6Bcf。LNG輸出量は前週と比べて1Bcf少ない73Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.1Bcf減少した5.8Bcf
・ロシア政府が欧州向けの天然ガスの供給増を指示

週間天然ガス在庫総評

 10月28日にEIAが発表した10月22日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で87Bcf増加した3548Bcfとなった。10月28日の天然ガス相場はロシア政府が欧州向けの天然ガスの供給を増やすとの報道を受けて欧州時間後半から取引終了時間まで下落して0.400ドルを超える大幅下落となった。今週は世界各地の天然ガス価格の上昇が鈍化し、欧州の天然ガス価格はTTFハブ価格が約0.8ドル下落した1MMBtu当たり週平均29.60ドルとなった。一方、東アジアではカーゴのスワップ価格は1MMBtu当たり週平均34.05ドルと上昇幅は小さいものの9週連続の上昇となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3548Bcfで平年(5年間の平均3674Bcf、図1黒線)に比べて126Bcf少なく、前年(3951Bcf)に比べて403Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はすべての地域で在庫が増加している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の76.7%、有効容量(4261Bcf)の83.3%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は10月21日から10月27日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から1.4Bcf増加した93.6Bcfだった。カナダからの輸入は5.8Bcfで前週から横ばいとなり天然ガスの総供給量は前週比で1.4Bcf増加した99.5Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は10月21日から10月27日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は90.4Bcfと前週比で4.1Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は67.5Bcfと前週から4.2Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から0.5Bcf増加した28.2Bcf、工業需要が前週から0.2Bcf増加した21.9Bcf、住宅・商業用需要が前週から3.4Bcf増加した17.4Bcfだった。アメリカ中西部や東部などで気温低下が続き、暖房用需要が高まったことで住宅・商業用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.1Bcf減少した5.9Bcfとなった。LNG輸出向け需要は10.6Bcfと前週から0.3Bcfの減少となった。LNGの輸出量は73Bcfと前週から1Bcfの減少だった。Freeport LNG基地向けパイプライン内にワックス分が溜まるアクシデントとSabine Passの液化設備の機械的トラブルが原因で供給が減少したと考えられる。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

9月21日時点9月28日時点10月5日時点10月12日時点 10月19日時点
原油用421基428基433基445基443基
天然ガス用99基99基99基98基99基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。10月22日発表のレポート(10月19日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から2基減少した443基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基増加した99基となりリグの総数は前週比1基減少した542基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は10月19日以降10Bcf台となり輸出は順調に推移している。EIAによると10月21日から10月27日の間に全米7か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは20隻でLNG輸出量は73Bcfと前週から1Bcfの減少だった。ルイジアナ州Calcasieu Passの新LNG輸出基地が稼働したが、いまだ本格操業に至っていない。Freeport LNG基地向けパイプライン内にワックス分が溜まるアクシデントとSabine Passの液化設備の機械的トラブルがあり、輸出に若干の支障があった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(11月5日から11月11日)の気温予報となる。人口の多いアメリカ東部や中西部、南部を中心に平年以下の気温に、アメリカ西部は平年以上の気温に太平洋岸は平年並みの気温となる見込み。図4は10月21日NOAA発表の最新の1か月予報でこちらはカナダ国境沿いに太平洋岸に五大湖まで平年並みの気温となる以外はおおむね全国的に平年以上の気温となる見込み。

まとめ

 10月28日に発表された10月22日時点の天然ガス在庫の増加幅は87Bcf増となり各社の事前予想86Bcfを上回る弱気な結果で懸念材料となった。前日の天然ガス相場はロシア政府が欧州向けの供給を増加させることを指示したとの報道で欧州時間後半から取引終了時間まで売りが続き始値から0.400ドル以上の大幅下落となった。
 10月21日から10月27日までの天然ガス需要は90.4Bcfで前週から4.1Bcfの増加となった。国内向け需要が前週比で4.2Bcf増加した67.5Bcf、国内需要の内訳は発電所向けの需要が前週比で0.5Bcf増加した28.2Bcf、住宅・商業用需要は前週比で3.4Bcf増加した17.4Bcf、工業用需要は前週から0.2Bcf増加した21.9Bcfだった。人口の多いアメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が高まり住宅・商業用需要が増加した。LNG基地向けの需要は0.3Bcf減少した10.6BcfとなりLNGの総輸出量は73Bcfと前週から1Bcfの減少となった。LNG基地やパイプラインの技術的・機械的トラブルで需要が減少した。一方で天然ガスの供給量は99.5Bcfと前週より1.4Bcfの増加となった。内訳は天然ガス生産が1.4Bcf増加した93.6Bcf、カナダからの供給が5.8Bcfと前週から横ばいだった。
 ロシアが欧州向けの天然ガス供給を増加させると報じられたことで、天然ガスの国際価格の上昇は一段落した。来週は価格の下落が懸念材料として働くと考えられる。一方で、アメリカでは人口の多い東部や中西部、南部の気温低下予報となっている他、安値を武器とした輸出需要は旺盛なことが下値を支えるのではと考えている。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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