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レポート
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2021/11/11

レポート:EIA週間原油統計(2021年11月11日)

ダイジェスト

・原油在庫は100万バレル増加
 原油生産量は日量1150万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が610万バレル、輸出量が305万バレルで305万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.4%上昇し、原油処理量は34万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は今週は増加側で調整量は50万バレル
・ガソリン在庫は155万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)となり、ガソリンの在庫減少幅が拡大した。
 ガソリン生産量は12万バレル減少、輸入量は8万バレル減少
 ガソリン出荷量は25万バレル減少、輸出量は7万バレル増加
・留出油在庫は261万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少に転じる。生産量と出荷量が増加したものの、出荷量と輸入量が大幅に増加したため在庫が減少へ転じた
 留出油の生産量は3万バレル増加、輸入量は8万バレル増加
 留出油の出荷量は60万バレル増加、輸出量は21万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億4210万バレルで前週より430万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は3万バレル減少した2640万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率34.7%と3年ぶりの低水準が続く
・ バイデン米大統領はエネルギー価格を抑制する方策策定を米国家経済会議へ指示
・今週のSPRの放出量が比較的大きく増加
・石油製品の出荷量が好調さの目安である日量2000万バレルを3週間連続で下回る

EIA週間統計の総評

 日本時間11月11日24時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は100万バレルの増加、製油所の稼働率は前週比で0.4%上昇した86.7%となり、原油消費量は前週比で34万バレル増加した1536万バレルとなった。原油相場は原油在庫の増加やバイデン米大統領がインフレ抑制のためエネルギー価格抑制のための方策策定を米国家経済会議(NEC)へ指示したことを材料に利食い売りが出て下落で引けた。石油製品ではガソリン在庫が155万バレル減少、留出油在庫は261万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は3万バレル減少した2640万バレルとなり2018年秋以来の低水準が続いている。
 原油生産は日量1150万バレルで前週から横ばい、原油輸入量は前週比で6万バレル減少した日量610万バレル、輸出量は日量12万バレル増加した日量305万バレルで輸出入全体としては305万バレルの輸入超過となっている。原油の供給不足に対応するため戦略備蓄(SPR)が先週比で約2倍となる44万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億4210万バレルと前週比で430万バレルの減少だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は100万バレル増加した4億3510万バレル、ガソリン在庫は155万バレル減少した2億1270万バレル、留出油在庫は261万バレル減少した1億万2450バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は3万バレル減少した2740万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)250増100増329増426増43減
ガソリン(万バレル)60減155減148減199減536減
留出油(万バレル)60増261減216増43減391減
クッシング在庫(万バレル)3減91減399減232減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの下限近くとなっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1150万バレルで前週から横ばい。原油輸入量は前週比で7万バレル減少した日量610万バレル、輸出量は前週比で13万バレル増加した305万バレルで305万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から1万バレル減少した50万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)115011501130113011001050
戦略備蓄増加(万バレル/日)-44-23-15-24-9-8
原油輸入(万バレル/日)610617625582610549
原油輸出(万バレル/日)305292278306289276
Adjustment(万バレル/日)5051736255-87
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はメキシコやイラク、ブラジル、ロシアからの原油輸入が減少した一方で、カナダ、サウジアラビア、コロンビア、エクアドルからの輸入が増加した。

輸入国 輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ355368+13
メキシコ3643-7
サウジアラビア5939+20
コロンビア127+5
イラク518-13
エクアドル119+2
ブラジル1417-3
ロシア920-11
ナイジェリア660
トリニダード・トバゴ000
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.4%上昇した86.7%となり、製油所への原油投入量は前週比で34万バレル増加した日量1536万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から12万バレル減少した日量1005万バレル、ジェット燃料生産は前週から5万バレル増加した日量134万バレル、留出油生産は前週から3万バレル増加した日量486万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)153615021504149915101344
製油所稼働率(%)86.786.385.184.785.774.5
ガソリン生産(万バレル/日)  10051017100710061009931
ガソリン輸入(万バレル/日) 586649605845
ジェット燃料生産(万バレル/日)134129132132132103
ジェット燃料輸入(万バレル/日)122425171930
留出油生産(万バレル/日)   486483458441467423
留出油輸入(万バレル/日)  271932202413
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から25万バレル減少した日量925万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から9万バレル減少した日量159万バレル、留出油の出荷量は前週から60万バレル増加した日量428万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)925950932963943876
ガソリン輸出(万バレル/日)837681537371
ジェット燃料出荷(万バレル/日)159168145141153132
ジェット燃料輸出(万バレル/日)1310714115
留出油出荷(万バレル/日)428368386427402405
留出油輸出(万バレル/日)12310210990106107
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.4%上昇した86.7%となり、原油消費量は前週より34万バレル増加した日量1536万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で12万バレル減少した日量1005万バレル、輸入量は8万バレル減少した日量58万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週から25万バレル減少した日量925万バレル、輸出量は前週から7万バレル増加した日量83万バレルだった。ガソリンの出荷量が減少したが、生産量と輸入量も減少したためガソリン在庫は155万バレル減となり減少幅が7万バレル増加した。
 次に留出油は生産量が前週から3万バレル増加した日量486万バレル、輸入量は前週から8万バレル増加した日量27万バレルだった。留出油の出荷量は前週から60万バレルと大幅増加した日量428万バレル、輸出量は21万バレル増加した日量123万バレルとなった。出荷量と輸出量の増加で在庫が減少に転じて261万バレルの在庫増加となった。
 ジェット燃料生産量は134万バレルで前週から5万バレルの増加、出荷量は159万バレルと前週から9万バレルの減少となった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で70万バレル減少した日量1929万バレルとなり、石油製品消費の好調さの目安の一つであるとなる日量2000万バレルを今週も超えられなかった。今週は原油在庫が100万バレル増加、ガソリン在庫が155万バレル減少、留出油在庫が261万バレルの増加となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で430万バレル減少した18億4210万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが前週から約8セントの下落、ディーゼル燃料は約3セントの下落となった。原油価格は前週比で約2.3ドルの下落だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
11/510/2910/2210/1510/8前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.4582.5372.5712.5742.4401.121
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.4552.4872.5582.5882.4831.145
原油
(ドル/バレル)
81.2583.5084.5382.3979.5536.97
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格が約2セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は横ばい。燃料小売価格の上昇は今週も続いている。

小売価格11/8 11/1 10/25 10/18 10/11 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4103.3903.3833.3223.2672.096
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8423.8223.8093.7513.6972.517
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.1014.0844.0714.0073.9522.771
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.7303.7273.7133.6713.5862.383
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1150万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.4%上昇した86.7%となり、原油消費量は34万バレル増加した日量1536万バレルだった。原油輸入量は前週比で日量7万バレル減少した日量610万バレル、輸出量が13万バレル増加した日量305万バレルとなり、305万バレルの輸入超過となっている。輸入量の減少と輸出量の増加、消費量の増加により原油在庫は100万バレルの増加と増加幅が縮小した。
 ガソリンは生産量が12万バレルの減少、ガソリン輸入量は8万バレルの減少となった一方で、ガソリン出荷量は25万バレルの減少、ガソリン輸出量は7万バレルの増加となった。ガソリンの出荷量は減少したが、生産量と輸入量も減少したためガソリン在庫は155万バレルの減少と前週と比べて僅かに減少幅が拡大した。留出油は生産量が3万バレルの増加、輸入量が8万バレルの増加となったが、出荷量が60万バレルの大幅増加、輸出量も21万バレルの増加となった。留出油の生産量と輸入量は増加したものの、出荷量と輸出量が大きく増加したため在庫が減少に転じて261万バレルの在庫減少となった。燃料価格はガソリン卸売価格が約8セントの下落、ディーゼル燃料卸売価格が約3セントの下落だった。一方で小売価格はガソリンが約2セントの上昇、ディーゼル燃料は横ばいとなった。今週も引き続き上昇が続いている。
 全ての石油製品の出荷量は日量70万バレル増加した1929万バレルで石油製品消費の好調さの目安である2000万バレルを3週間連続で割り込んでいる。全ての石油製品と原油を合わせた在庫は430万バレル減少した18億4210万バレルとなった。
 前日のWTI原油の先物相場は今週のEIAの週間統計の発表後に原油在庫の増加やバイデン米大統領がインフレ抑制のためエネルギー価格抑制のための方策策定を米国家経済会議(NEC)へ指示したことを材料に利食い売りが出て下落で引けている。エネルギー価格抑制策については続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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