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レポート
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2021/11/18

レポート:EIA週間原油統計(2021年11月18日)

ダイジェスト

・原油在庫は210万バレル減少
 原油生産量は日量1140万バレルで前週から10万バレルの減少
 輸出入では輸入量が619万バレル、輸出量が362万バレルで343万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は1.2%上昇し、原油処理量は3万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は今週は増加側で調整量は66万バレル
・ガソリン在庫は70万バレル減少
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)となり、ガソリンの在庫減少幅が縮小した。
 ガソリン生産量は13万バレル減少、輸入量は24万バレル増加
 ガソリン出荷量は1万バレル減少、輸出量は横ばい
・留出油在庫は82万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少幅が縮小に転じる。
 留出油の生産量は2万バレル減少、輸入量は4万バレル減少
 留出油の出荷量は7万バレル増加、輸出量は39万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億3000万バレルで前週より1210万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は21万バレル増加した2660万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率35.0%と3年ぶりの低水準が続く
・ バイデン米大統領はエネルギー価格を抑制するための原油備蓄放出を各国に要請
・石油製品の出荷量が好調さの目安である日量2000万バレルを4週間ぶりに上回る

EIA週間統計の総評

 日本時間11月18日24時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は210万バレルの減少、製油所の稼働率は前週比で1.2%上昇した87.9%となり、原油消費量は前週比で3万バレル増加した1539万バレルとなった。原油相場は新型コロナウイルスの感染拡大による原油需要の減少やバイデン米大統領がガソリン価格抑制のため各国に原油在庫の放出を要請したことを材料に利食い売りが出て下落で引けた。石油製品ではガソリン在庫が70万バレル減少、留出油在庫は82万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は20万バレル増加した2660万バレルとなったが2018年秋以来の低水準が続いている。
 原油生産は日量1140万バレルで前週から10万バレルの減少、原油輸入量は前週比で8万バレル減少した日量619万バレル、輸出量は日量57万バレル増加した日量362万バレルで輸出入全体としては257万バレルの輸入超過となっている。原油の供給不足に対応するため戦略備蓄(SPR)は46万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億3000万バレルと前週比で1210万バレルの減少だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は210万バレル減少した4億3300万バレル、ガソリン在庫は70万バレル減少した2億1200万バレル、留出油在庫は82万バレル減少した1億万2370バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は21万バレル増加した2660万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)70増210減100増329増426増
ガソリン(万バレル)280減70減155減148減199減
留出油(万バレル)10増82減261減216増43減
クッシング在庫(万バレル)21増3減91減399減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。ガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの下限近くとなっており、原油在庫は過去5年の在庫レンジを下回っている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1140万バレルで前週から10万バレルの減少。原油輸入量は前週比で8万バレル増加した日量619万バレル、輸出量は前週比で57万バレル増加した362万バレルで257万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から16万バレル増加した66万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)114011501150113011011090
戦略備蓄増加(万バレル/日)-46-44-23-15-10-5
原油輸入(万バレル/日)619610617625610525
原油輸出(万バレル/日)362305292278290274
Adjustment(万バレル/日)665051735548
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はカナダやサウジアラビア、ロシア、ナイジェリアからの原油輸入が減少した一方で、メキシコやコロンビア、トリニダード・トバゴからの輸入が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ342355-13
メキシコ4936+13
サウジアラビア4559-14
コロンビア3012+18
イラク45-1
エクアドル1011-1
ブラジル1314-1
ロシア49-5
ナイジェリア16-5
トリニダード・トバゴ70+7
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から1.2%上昇した87.9%となり、製油所への原油投入量は前週比で3万バレル増加した日量1539万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から13万バレル減少した日量992万バレル、ジェット燃料生産は前週から4万バレル増加した日量138万バレル、留出油生産は前週から2万バレル減少した日量484万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)153915361502150415201384
製油所稼働率(%)87.986.786.385.186.577.4
ガソリン生産(万バレル/日)  9921005101710071005906
ガソリン輸入(万バレル/日) 825866496453
ジェット燃料生産(万バレル/日)138134129132134108
ジェット燃料輸入(万バレル/日)181224252020
留出油生産(万バレル/日)   484486483458478417
留出油輸入(万バレル/日)  232719322528
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から1万バレル減少した日量924万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から21万バレル減少した日量138万バレル、留出油の出荷量は前週から7万バレル増加した日量435万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)924925950932933825
ガソリン輸出(万バレル/日)838376818069
ジェット燃料出荷(万バレル/日)13815916814515298
ジェット燃料輸出(万バレル/日)1713107129
留出油出荷(万バレル/日)435428368386404422
留出油輸出(万バレル/日)84123102109105108
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から1.2%上昇した87.9%となり、原油消費量は前週より3万バレル増加した日量1539万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で13万バレル減少した日量992万バレル、輸入量は24万バレル増加した日量82万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週から1万バレル減少した日量924万バレル、輸出量は日量83万バレルで前週から横ばいだった。ガソリンの生産量の減少以上に輸入が増加し、出荷量と輸出量は横ばいだったためガソリン在庫は70万バレル減となった。
 次に留出油は生産量が前週から2万バレル減少した日量484万バレル、輸入量は前週から4万バレル減少した日量23万バレルだった。留出油の出荷量は前週から7万バレル増加した日量435万バレル、輸出量は39万バレル減少した日量84万バレルとなった。輸出量の減少で在庫減少幅が縮小して82万バレルの在庫減少となった。
 ジェット燃料生産量は前週から4万バレル増加した138万バレル、出荷量は前週から21万バレル減少した138万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で233万バレル増加した日量2162万バレルとなり、石油製品消費の好調さの目安の一つであるとなる日量2000万バレルを超えた。今週は原油在庫が210万バレル減少、ガソリン在庫が70万バレル減少、留出油在庫が82万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で1210万バレル減少した18億3000万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリン、ディーゼル燃料ともに約4セントの下落となった。原油価格は前週比で約0.4ドルの下落だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
11/1211/510/2910/2210/15前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.4152.4582.5372.5712.5741.158
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.4112.4552.4872.5582.5881.201
原油
(ドル/バレル)
80.8781.2583.5084.5382.3939.93
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格もディーゼル燃料の小売価格もほぼ横ばいだった。燃料小売価格の上昇にブレーキがかかった。

小売価格11/15 11/8 11/1 10/25 10/18 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.3993.4103.3903.3833.3222.111
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8413.8423.8223.8093.7512.532
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.1034.1014.0844.0714.0072.783
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.7343.7303.7273.7133.6712.441
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から10万バレル減少した日量1140万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.2%上昇した87.9%となり、原油消費量は3万バレル増加した日量1539万バレルだった。原油輸入量は前週比で日量9万バレル増加した日量619万バレル、輸出量が57万バレル増加した日量362万バレルとなり、257万バレルの輸入超過となっている。生産量の減少と輸出量の増加により原油在庫は210万バレルの減少と在庫減少に転じた。
 ガソリンは生産量が13万バレルの減少、ガソリン輸入量は24万バレルの増加となった一方で、ガソリン出荷量は1万バレルの減少、ガソリン輸出量は横ばいとなった。ガソリンの生産量が減少したが輸入量も増加したガソリン在庫は70万バレルの減少と前週と比べて減少幅が縮小した。留出油は生産量が2万バレルの減少、輸入量が4万バレルの減少、出荷量は7万バレルの増加、輸出量は39万バレルの大幅減少となった。 輸出量の減少で在庫減少幅が縮小して留出油在庫が減少に転じて82万バレルの在庫減少となった。燃料価格はガソリン卸売価格もディーゼル燃料卸売価格が約4セントの下落だった。一方で小売価格はガソリン、ディーゼル燃料共に横ばいとなった。燃料価格の上昇にブレーキがかかった。
 全ての石油製品の出荷量は日量233万バレル増加した2162万バレルで石油製品消費の好調さの目安である2000万バレルを4週間ぶりに上回った。全ての石油製品と原油を合わせた在庫は1210万バレル減少した18億3000万バレルとなった。
 前日のWTI原油の先物相場はEIAの週間在庫統計の発表後で原油在庫が減少したもののほとんど相場に影響がなく、バイデン米大統領がガソリン価格抑制のため各国に原油在庫の放出を要請したことや新型コロナウイルスの感染拡大で原油需要の先行き不安が高まったことを材料に下落して引けている。原油在庫が実際に放出されるかに注目したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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