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レポート
column

2021/11/19

レポート:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(2021年11月19日)

ダイジェスト

・11月18日に発表された天然ガス在庫は各社予想24Bcf増に対して26Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容となり利食い売りが入り上げ幅を削った
・11月12日時点の天然ガス在庫量は3644Bcf(有効容量の85.5%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3725Bcf)に比べて81Bcf少なく、前年(3954Bcf)と比べると310Bcf少ない状態
・11月11日から11月17日までの期間の天然ガス供給量は99.3Bcfで前週比で1.7Bcf減少。天然ガス生産量が前週比で1.1Bcf減少した94.8cf、8月末のハリケーンアイダによって被害を受けたシェル社の生産施設がようやく復旧したものの、パーミヤン盆地やニューメキシコ州での生産が減少。またカナダからの輸入量はカナダ西部の豪雨によるパイプライン停止の影響で前週比で0.6Bcf減少した4.5Bcf
・11月11日から11月17日までの期間の天然ガス国内需要量は102.1Bcfで前週から2.1Bcfの増加
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で0.9Bcf減少した27.9Bcf、住宅・商業用需要が前週比で3.0Bcf増加した27.7Bcf、工業用需要は前週比で0.2Bcf増加した23.4Bcf。人口の多いアメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が増加しているため住宅・商業用需要が増加
・LNG輸出用需要は前週比で0.1Bcf減少した11.1Bcf。LNG輸出量は79Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.2Bcf減少した5.2Bcf

週間天然ガス在庫総評

 11月18日にEIAが発表した11月12日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で26Bcf増加した3644Bcfとなった。11月17日の天然ガス相場は好調なLNG輸出を材料に買われる場面もあったが、EIAの発表した在庫が事前の市場予想を上回ったことを材料に売られた。今週は世界各地の天然ガス価格が上昇した。欧州の天然ガス価格はTTFハブ価格が前週の24.73ドルから2.95ドル上昇した1MMBtu当たり週平均27.68ドルとなった。一方、東アジアではカーゴのスワップ価格が前週の32.13ドルを0.56ドル上回る1MMBtu当たり週平均32.69ドルとなった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3644Bcfで平年(5年間の平均3737Bcf、図1黒線)に比べて81Bcf少なく、前年(3954Bcf)に比べて310Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は山岳地域とアメリカ南部の内陸部を除く地域で在庫が増加している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の77.6%、有効容量(4261Bcf)の85.5%となっている。

天然ガス供給  

 表2は11月11日から11月17日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.9Bcf減少した94.8Bcfだった。カナダからの輸入は4.5Bcfで前週から0.6Bcfの減少となった。天然ガスの総供給量は99.3Bcfと前週の101Bcfから1.8Bcf減少している。今年8月末のハリケーン「アイダ」による被害で停止していたシェル社のプラットフォームの生産が漸く再開された。一方で、パーミヤン盆地やニューメキシコ州での生産が減少している。また、カナダ西部の豪雨により太平洋岸に沿ってアメリカとカナダの両国を結ぶパイプラインの一部が停止したためカナダからの輸入が減少している。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は11月11日から11月17日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は102.1Bcfと前週比で2.1Bcfの増加となり2週間連続で100Bcfの大台を超えている。
 アメリカの国内需要は79.0Bcfと前週から2.3Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から0.9Bcf減少した27.9Bcf、工業需要が前週から0.2Bcf増加した23.4Bcf、住宅・商業用需要が前週から3.0Bcf増加した27.7Bcfだった。アメリカ中西部や東部などの人口密集地の気温低下で暖房用需要が高まったことで今週も住宅・商業用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.2Bcf減少した5.2Bcfとなった。LNG輸出向け需要は11.1Bcfと前週から0.1Bcfの減少となった。LNGの輸出量は79Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

10月12日時点 10月19日時点10月26日時点11月2日時点11月9日時点
原油用445基443基444基450基454基
天然ガス用98基99基100基100基102基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。11月12日発表のレポート(11月9日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から4基増加した454基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から2基増加した102基でリグの総数は前週比で6基増加した556基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は11月9日以降10Bcf台が続いている。特に11月9日には12.0Bcfを超え、その後もおよそ半数の日では11Bcfを来れるなど輸出は順調に推移している。なお、Calcasieu PassのLNG輸出基地は今週からの輸出は確認できていない。 EIAによると今週22隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し79BcfのLNGが輸出宇された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(11月26日から12月2日)の気温予報となる。人口の多い大西洋岸では平年以下の気温、中西部からメキシコ湾岸にかけては平年並みの気温となる見込み。それ以外の地域は平年以上の気温となると予想されている。図4は11月18日NOAA発表の最新の1か月予報でメキシコ国境を中心とした地域で平年以上の気温となる。それ以外の地域はおおむね平年並みの気温となる見込み。

まとめ

 11月18日に発表された天然ガスの週間在庫レポートによると11月12日時点の天然ガス在庫の増加幅は26Bcf増となり各社の事前予想24Bcfを上回るやや弱気な結果となった。前日の天然ガス相場は好調なLNG輸出を材料に買われる場面もあったが、在庫発表後に利食いが入り横ばいで引けている。
 11月11日から11月17日までの天然ガス需要は102.1Bcfで前週から2.1Bcf増加し2週間連続で100Bcfの大台を超えた。国内向け需要が前週比で2.3Bcf増加した79.0Bcf、国内需要の内訳は発電所向けの需要が前週比で0.9Bcf減少した27.9Bcf、住宅・商業用需要は前週比で3.0Bcf増加した27.7Bcf、工業用需要は前週から0.2Bcf増加した23.4Bcfだった。人口の多いアメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が高まり住宅・商業用需要が増加している。LNG基地向けの需要は0.1Bcfとわずかに減少した11.1Bcfとなったが、LNGの総輸出量は79Bcfと輸出は順調となっている。一方で天然ガスの供給量は99.3Bcfと前週より1.7Bcfの減少となり、前週超えた100Bcfの大台を再び割り込んだ。内訳は天然ガス生産が1.1Bcf減少した94.8Bcfとなった。今年8月のハリケーン「アイダ」によるシェル社の生産設備の被害が漸く完全普及したものの、パーミヤン盆地やニューメキシコ州での生産量が減少した。カナダ西部での豪雨によりアメリカ北西部でカナダ西部からの一部パイプラインが停止したためカナダからの供給が前週から0.6Bcf減少した4.5Bcfとなった。
 天然ガスの国際価格の上昇は再度上昇に転じているが、アメリカ市場に大きな影響はないと考えられる。来週は引き続き暖房用需要やLNG輸出などの需要と生産量が相場を左右すると考えられる。アメリカでは人口の多い太平洋岸で気温低下予報となっており、下値の堅い値動きが来週も続くのではと考えている。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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