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レポート
column

2021/11/05

レポート:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(2021年11月5日)

ダイジェスト

・11月4日発表の天然ガス在庫は各社予想66Bcf増に対して63Bcf増と在庫増加が予想を下回る強気な内容となったが大きな影響はなかった
・11月4日時点の天然ガス在庫量は3611Bcf(有効容量の84.7%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3712Bcf)に比べて101Bcf少なく、前年(3924Bcf)と比べると313Bcf少ない状態
・10月28日から11月3日までの期間の天然ガス供給量は99.9Bcfで前週比で0.2Bcf増加。天然ガス生産量が前週比で0.4Bcf増加した94.3cf、カナダからの輸入量は前週比で0.3Bcf減少した5.5Bcf
・10月28日から11月3日までの期間の天然ガス国内需要量は96.6Bcfで前週から5.2Bcfの大幅増加
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で0.9Bcf減少した28.0Bcf、住宅・商業用需要が前週比で5.4Bcf増加した22.7Bcf、工業用需要は前週比で0.6Bcf増加した22.9Bcf。アメリカ中西部や東部の気温低下が続き、暖房用需要が増加しているため住宅・商業用需要が増加
・LNG輸出用需要は前週比で0.3Bcf増加した10.9Bcf。LNG輸出量は前週と比べて7Bcf多い80Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.5Bcf減少した5.4Bcf
・ロシアからドイツ向けの天然ガスの供給が再開

週間天然ガス在庫総評

 11月4日にEIAが発表した10月29日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で63Bcf増加した3611Bcfとなった。11月4日の天然ガス相場はロシアからドイツ向けの天然ガスの供給が再開報道を受けて売られた。今後の需要増予測で上昇した場面もあったが取引終了時間まで下落して約0.200ドルの下落となった。今週は世界各地の天然ガス価格が下落に転じ、欧州の天然ガス価格はTTFハブ価格が6.16ドル下落した1MMBtu当たり週平均23.43ドルとなった。一方、東アジアではカーゴのスワップ価格が2.46ドル下落して1MMBtu当たり週平均31.59ドルと10週間ぶりの下落となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3611Bcfで平年(5年間の平均3712Bcf、図1黒線)に比べて101Bcf少なく、前年(3924Bcf)に比べて313Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はすべての地域で在庫が増加している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の76.9%、有効容量(4261Bcf)の84.7%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は10月28日から11月3日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.4Bcf増加した94.3Bcfだった。カナダからの輸入は5.5Bcfで前週から0.3Bcfの減少となり天然ガスの総供給量は前週比で0.2Bcf増加した99.9Bcfと100Bcfの大台が間近となった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は10月28日から11月3日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は96.6Bcfと前週比で5.2Bcfの大幅な増加となった。
 アメリカの国内需要は73.6Bcfと前週から5.2Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から0.9Bcf減少した28.0Bcf、工業需要が前週から0.6Bcf増加した22.9Bcf、住宅・商業用需要が前週から5.4Bcfと大幅に増加した22.7Bcfだった。アメリカ中西部や東部などの人口密集地で気温低下が続き、暖房用需要が高まったことで今週も住宅・商業用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.5Bcf減少した5.4Bcfとなった。LNG輸出向け需要は10.9Bcfと前週から0.3Bcfの増加となった。LNGの輸出量は80Bcfと前週から7Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

9月28日時点10月5日時点10月12日時点 10月19日時点10月26日時点
原油用428基433基445基443基444基
天然ガス用99基99基98基99基100基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。10月29日発表のレポート(10月26日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から1基増加した444基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基増加した100基となりリグの総数は前週比2基増加した544基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は10月26日以降10Bcf台が続いており輸出は順調に推移している。EIAによると10月28日から11月3日の間に全米7か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは22隻でLNG輸出量は80Bcfと前週から7Bcfの増加だった。なお、ルイジアナ州Calcasieu Passの新LNG輸出基地は以前として本格操業に至っていない。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(11月12日から11月18日)の気温予報となる。人口の多い中西部、南部を中心で平年以下の気温が続く一方で、アメリカ東部が平年以上の気温へ転じ、太平洋岸では平年以上の気温が続く見込み。図4は10月31日NOAA発表の最新の1か月予報でメキシコ国境を中心とした地域とアメリカ東部で平年以上の気温となる。それ以外の地域はおおむね平年並みの気温となる見込み。

新規パイプライン

 

図5 新規に稼働するパイプライン(出展元 EIA)

 図5は最近完成したメキシコ湾岸のパイプラインプロジェクト3つを示している。1つ目は天然ガスの大生産地であるPermian Basin(パーミアン盆地)からメキシコ湾岸に天然ガスを搬出するWhistlerパイプライン(黒)で日量2.0Bcfの運搬能力がある。2つ目はAcadiana拡張計画(青)でこれも生産地であるHaynesville(ヘインズビル)からSabin Pass(サビーンパス)LNG基地までを結び日量0.89Bcfを供給する。3つ目はCameron拡張計画(赤)で新しく完成したCalcasieu Pass(カルカシューパス)LNG基地へ日量0.75Bcfを供給する。地図外ではメキシコ湾から大量消費地であるアメリカ東部への供給を強化する2つのプロジェクトが完成し日量0.1Bcfの供給が増加する。以上のプロジェクトの完成で域外への輸送インフラに問題があり生産が頭打ちになっていたParmian Basinの生産能力や消費地であるLNG輸出基地やアメリカ東部への輸送能力が増強される。

まとめ

 11月4日に発表された10月29日時点の天然ガス在庫の増加幅は63Bcf増となり各社の事前予想66Bcfを下回る強気な結果となったが大きな影響はなかった。前日の天然ガス相場はロシアからドイツ向けの供給が再開されたとの報道でNY時間後半に下落した。一時気温低下による需要増の見方から買い戻されたが、26時から取引終了時間まで再度売られ下落で引けた。
 10月28日から11月3日までの天然ガス需要は96.6Bcfで前週から5.2Bcfと大きく増加した。国内向け需要が前週比で5.2Bcf増加した73.6Bcf、国内需要の内訳は発電所向けの需要が前週比で0.9Bcf減少した28.0Bcf、住宅・商業用需要は前週比で5.4Bcf増加した22.7Bcf、工業用需要は前週から0.6Bcf増加した22.9Bcfだった。人口の多いアメリカ中西部や東部で続く気温低下で暖房用需要が高まり住宅・商業用需要が増加している。LNG基地向けの需要は0.3Bcf増加した10.9BcfとなりLNGの総輸出量は80Bcfと前週から7Bcfの増加となり輸出は順調となっている。一方で天然ガスの供給量は99.9Bcfと前週より0.2Bcfの増加となり100Bcfの大台が間近となった。内訳は天然ガス生産が0.4Bcf増加した94.3Bcf、カナダからの供給が前週から0.3Bcf減少した5.5Bcfとなった。
 天然ガスの国際価格の上昇は一段落した。来週は暖房やLNG輸出などが相場を左右すると考えられる。アメリカでは人口の多い中西部や南部で気温低下予報となっており、下値の堅い値動きが続くのではと考えている。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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