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レポート
column

2021/12/02

レポート:EIA週間原油統計(2021年12月2日)

ダイジェスト

・原油在庫は91万バレル減少
 原油生産量は日量1160万バレルで前週から10万バレルの増加
 輸出入では輸入量が660万バレル、輸出量が270万バレルで390万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.2%上昇したが、原油処理量は1万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は今週は減少側で調整量は27万バレル
・ガソリン在庫は402万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)となり在庫増加に転じる
 ガソリン生産量は45万バレルの大幅減少、輸入量は16万バレル増加
 ガソリン出荷量は54万バレルの大幅減少、輸出量は28万バレル増加
・留出油在庫は216万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)となり在庫増加に転じる
 留出油の生産量は9万バレル増加、輸入量は10万バレル減少
 留出油の出荷量は19万バレル減少、輸出量は42万バレルと大幅減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億2470万バレルで前週より230万バレルの増加
・オクラホマ州クッシング在庫は115万バレル増加した2850万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率37.5%
・11月25日に南アフリカで新型コロナウイルス・オミクロン株が発見されたことから原油相場は26日に約10ドルの大幅下落となった
・OPECプラスはオミクロン株への対応策の検討のため今週予定されていた会議を延期し、12月1日にOPECの閣僚級会合とJTC(共同技術委員会)を、12月2日にJMMC(共同閣僚監視委員会)とOPECプラス会合を実施し1月の増産量を決定する
・石油製品の出荷量が好調さの目安である日量2000万バレルを3週間連続で上回る

EIA週間統計の総評

 日本時間12月1日24時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は91万バレルの減少に転じた。製油所の稼働率は前週比で0.2%上昇した88.8%となり、原油消費量は前週比で1万バレル減の1563万バレルとなった。原油相場は新型コロナウイルス・オミクロン株がアメリカ国内で発見されたこと、FRBが緩和政策を早期縮小するとの見方から大幅下落となった。石油製品ではガソリン在庫が402万バレルの増加、留出油在庫は216万バレルの増加となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は115万バレル増加した2850万バレルとなった。
 原油生産は日量1160万バレルとなり前週から10万バレルの増加、原油輸入量は前週比で16万バレル増加した日量660万バレル、輸出量は日量9万バレル増加した日量270万バレルとなり輸出入全体としては390万バレルの輸入超過となっている。原油の供給不足とガソリン高に対応するため戦略備蓄(SPR)は27万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億2470万バレルと前週比で230万バレルの増加だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は91万バレル減少した4億3310万バレル、ガソリン在庫は402万バレル増加した2億1540万バレル、留出油在庫は216万バレル増加した1億万2390バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は115万バレル増加した2850万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)70減91減101増210減100増
ガソリン(万バレル)220増402増60減70減155減
留出油(万バレル)80増216増196減82減261減
クッシング在庫(万バレル)115増78増21増3減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。ガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの下限近くとなっており、特に原油在庫は過去5年の在庫レンジを下回っている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1160万バレルで前週に続いて10万バレルの増加。原油輸入量は前週比で16万バレル増加した日量660万バレル、輸出量は前週比で9万バレル増加した270万バレルで390万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から49万バレル減少した27万バレルが在庫を減少させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)116011501140115011031110
戦略備蓄増加(万バレル/日)-27-23-46-44-100
原油輸入(万バレル/日)660643619610612539
原油輸出(万バレル/日)270260362305289345
Adjustment(万バレル/日)-272266505487
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はエクアドルやナイジェリア、ブラジルからの原油輸入が減少した一方で、カナダやメキシコ、コロンビア、ロシア、トリニダード・トバゴからの輸入が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ377357+20
メキシコ6553+12
サウジアラビア4742+5
コロンビア217+14
イラク2224-2
エクアドル1128-17
ブラジル1424-10
ロシア183+15
ナイジェリア014-14
トリニダード・トバゴ70+7
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.2上昇した88.8%となったが、製油所への原油投入量は前週比で1万バレル減少した日量1563万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から45万バレル減少した日964万バレル、ジェット燃料生産は前週から3万バレル増加した日量144万バレル、留出油生産は前週から9万バレル増加した日量487万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)156315641539153615501401
製油所稼働率(%)88.888.687.986.788.078.2
ガソリン生産(万バレル/日)  96410099921005993858
ガソリン輸入(万バレル/日) 644882586352
ジェット燃料生産(万バレル/日)144141138134139111
ジェット燃料輸入(万バレル/日)1881812149
留出油生産(万バレル/日)   487478484486465458
留出油輸入(万バレル/日)  233323272761
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から54万バレル減少した日量879万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から21万バレル増加した日量172万バレル、留出油の出荷量は前週から19万バレル減少した日量420万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)879933924925896797
ガソリン輸出(万バレル/日)886083837968
ジェット燃料出荷(万バレル/日)172151138159135113
ジェット燃料輸出(万バレル/日)1051713115
留出油出荷(万バレル/日)420439435428403378
留出油輸出(万バレル/日)58100841239294
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.2%上昇した88.8%となったが、原油消費量は前週より1万バレル減少した日量1563万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で45万バレル減少した日量964万バレル、輸入量は16万バレル増加した日量64万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週から54万バレル減少した日量879万バレル、輸出量は日量88万バレルで前週から28万バレルの増加だった。ガソリンの生産量が減少し輸入量が増加した一方で、出荷量の減少と輸出用の増加となったが、出荷量の減少がより大きくガソリン在庫は402万バレル増となった。
 次に留出油は生産量が前週から9万バレル増加した日量487万バレル、輸入量は前週から10万バレル減少した日量23万バレルだった。留出油の出荷量は前週から19万バレル減少した日量420万バレル、輸出量は前週から42万バレルと大幅減少した日量58万バレルとなった。生産量の増加と出荷量と輸出量の減少で216万バレルの在庫増加に転じた。
 ジェット燃料生産量は前週から3万バレル増加した144万バレル、出荷量は前週から21万バレル増加した172万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で153万バレル減少した日量2022万バレルとなったが、今週も石油製品消費の好調さの目安の一つであるとなる日量2000万バレルを超えた。今週は原油在庫が91万バレル減少、ガソリン在庫が402万バレル増加、留出油在庫が216万バレルの増加となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で230万バレル増加した18億2470万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格は感謝祭の休日のため調査が行われず、非公開となっている。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
11/2611/1911/1211/510/29前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
非公開2.2882.4152.4582.537非公開
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
非公開2.2902.4112.4552.487非公開
原油
(ドル/バレル)
非公開76.1180.8781.2583.50非公開
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約1セントの下落、ディーゼル燃料の小売価格は横ばいだった。燃料小売価格の変動は小さかった。

小売価格11/29 11/22 11/15 11/8 11/1 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.3803.3953.3993.4103.3902.120
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8313.8433.8413.8423.8222.540
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.0954.1074.1034.1014.0842.792
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.7203.7243.7343.7303.7272.502
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は今週も10万バレル増加した日量1160万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.2%上昇した88.8%となったが、原油消費量は1万バレル減少した日量1563万バレルだった。原油輸入量は前週比で日量16万バレル増加した日量660万バレル、輸出量が9万バレル増加した日量270万バレルとなり、390万バレルの輸入超過となっている。生産量と輸出量が増加したものの、Adjustmentによる調整が在庫減側になったため原油在庫は91万バレルの減少と在庫減少に転じた。
 ガソリンは生産量が45万バレルの大幅減少、ガソリン輸入量は16万バレルの増加となった一方で、ガソリン出荷量は54万バレルの大幅減少、ガソリン輸出量は28万バレルの増加となった。ガソリンの生産量が減少し輸出量が増加したものの、出荷量の減少と輸入量の増加がより大きくガソリン在庫は402万バレル増となった。留出油は生産量が9万バレルの増加、輸入量が10万バレルの減少、出荷量は19万バレルの減少、輸出量は42万バレルの大幅減少となった。 生産量の増加と出荷量の減少、輸出量の減少で在庫が増加に転じて留出油在庫が216万バレルの在庫増加となった。燃料価格では卸売価格は感謝祭のために非公開だった一方で、小売価格はガソリン価格が約1セントの下落、ディーゼル燃料は横ばいとなった。
 全ての石油製品の出荷量は日量153万バレル減少した2022万バレルで、出荷量が減少したものの石油製品消費の好調さの目安である日量2000万バレルを3週間連続で上回った。全ての石油製品と原油を合わせた在庫は230万バレル増加した18億2470万バレルとなった。
 感謝祭前に発見された新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大懸念が懸念材料となる展開が続いていることに加えて、前日はFRB議長の米下院の議会証言で量的緩和政策の早期縮小に言及したことから売りが強まり大幅下落となった。今日はOPECプラスの会合が予定されており来年1月の生産量が決定される。原油需要の落ち込みが見られることや、バイデン政権の呼びかけによる各国の戦略備蓄原油の放出、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大による需要減懸念など需給が緩む見方が強いため市場の見方は来月の増産は見送りとの観測になっている。会合の続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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