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レポート
column

2021/12/27

レポート:サウジアラビアの原油と天然ガス生産の現状と展望(2021年12月27日)


ダイジェスト

・サウジアラビア産原油の生産量は協調減産で頭打ち
・ビジョン2030で示した石油依存体制からの脱却方針として天然ガスの生産を強化
・未だLNG輸出基地はないが、2030年にはカタール並み(日量10.4Bcf)のLNG輸出を目指す

概要

 今日はEIAのレポートを元にサウジアラビアのの原油生産と天然ガス生産の現状について説明したい。

サウジアラビアの原油生産

 

図1 サウジアラビア、ロシア、アメリカの液体燃料生産量分布(出展元 EIA)
*液体燃料には原油、LNG、エタノールなどを含む

 サウジアラビアは世界の原油の確認埋蔵量のうち約15%に当たる2590億バレルの埋蔵量を持っている。また世界最大の原油生産能力を持った世界最大の原油輸出国となっている。その生産量は図1に示す通り2012年以降価格維持のため、ほとんど横ばいとなっている。サウジアラビアの年間原油生産量は2020年で年平均日量約920万バレルと、2018年のピーク時の生産量から減少している。これはサウジアラビアが2020年4月のOPECプラスの合意に基づいて5月から協調減産を行っているためとなっている。合意直前の2020年4月の原油生産量はには原油生産を急増させており、過去最高となる日量1160万バレルの原油を生産していたが、5月には協調減産と自主減産で日量770万バレルまで急減している。2021年1月には減産合意の枠組みが延長され増産にシフトし始め、上半期には日量850万バレルの原油を生産している。2021年後半のデータはまだ出ていないが、合意に基づいて段階的に増産している。

資源開発と生産

図1 サウジアラビアの油田とガス田、パイプライン(出展元 S&P Global Plattsより転載)

 サウジアラビアの原油資源は図1に示す通り陸上と東部の海上に存在している在来型の油田が中心となっている。2019年にはクウェートとの国境地帯にあり原油権益の分配の問題で5年の間生産を停止していたワフラ(Wafra)油田とアルカフジ(Al Kafuji)油田でクウェートとの合意がまとまり生産が再開された。2か所の油田の生産量は日量で27万バレルとなっている。

サウジアラビアの原油輸出

図3 サウジアラビア原油の輸出先割合(出展元 EIA)


 サウジアラビアの原油輸出量は2020年で日量660万バレルと、生産量の減少に伴って前年より減少した。輸出先の割合は図2に示す通りで7割以上はアジア向けで、欧州と南北アメリカが約10%ずつ、残りはアフリカとなっている。

天然ガス生産と輸出

図4 サウジアラビアの天然ガス生産量の推移(出展元 EIA)

 サウジアラビアの天然ガスはなじみが薄いが、333Tcfと世界第6位の埋蔵量を持っている。天然ガス生産量は図3の様に2000年以降右肩上がりで生産が伸びており、2020年には年間4Tcf、日量10.95Bcfを生産している。また、2010年の天然ガス生産は原油生産に伴う随伴ガスと呼ばれる副産物だったが、以降はガス田の探索と生産が進み、2010年には8割以上が随伴ガスだったが、その比率は2020年には50%にまで低下した。サウジアラビアはビジョン2030で示した石油中心の経済からの脱却方針に従った政策の柱の1つとして天然ガスの開発を進める方針。ただ、現時点では肝心なLNG輸出基地がなく、産出された天然ガスを国内で消費しているのみとなっている。しかし、2030年までに世界最大のLNG輸出国となることを目指すことを表明しているため天然ガス関連の投資を継続すると考えられる。なお、中東産LNGの輸出コストはカタールを例にとれば、アメリカ産シェールガスの4分の1程と言われており、十分な競争力を持っている。

今後の見通し

 サウジアラビアはOPECプラスの合意にも続いて協調減産を行っている。来年以降も協調減産は暫く続くと考えられるが、新型コロナウイルスの大流行が収束するかどうかで生産量が変わってくると考えられる。収束しない場合、原油生産は低調になると考えられる。これは中東諸国の特徴として国家予算が原油収入に大きく依存しているため、高価格維持のために生産調整を行う可能性が高い。一方で、サウジアラビア国内では天然ガス生産に投資が行われている。現状の生産量は日量11Bcf程度とアメリカの10分の1程度、ロシアの6分の1程度に過ぎないが、今後国際的な天然ガス需要の高まりとともに増強され輸出も増加すると考えられる。同じ中東の天然ガス輸出国カタールの例をとると、生産コストがアメリカのシェールガス比べても4分の1程度と更に安いためLNG輸出が実現するとアメリカの強力なライバルとなる可能性がある。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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