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レポート
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2022/01/10

レポート:イラン産原油の動向(2022年1月10日)


ダイジェスト

・イラン核協議は12月27日に再開
・イランの原油輸出量はおよそ日量60万バレル
・イランの経済状況の悪化により交渉への妥協の可能性が高まっている
・制裁が解除された場合、60から120万バレルの原油が市場に出回る可能性
・イランが来年以降に更なる増産と輸出を行う可能性

イランの原油生産の現状

 イランは原油輸出に関してアメリカからの制裁による制限を受けている。2021年11月の原油生産量は日量247.4万バレル、第3四半期の平均は248.2万バレルとなっている。イランの原油生産もコロナウイルスの大流行により打撃を受けたが、前年のアメリカの政権交代を受けて経済制裁の解除に向けて交渉が始まると同時に原油生産を増強している。米格付け会社フィッチのレポートによると2022年のイランの原油輸出が2020年に比べて倍増する可能性があると報告している。同国の原油輸出量は公表されていないが、調査会社によると2020年の輸出量は日量60~70万バレル前後で輸出先は中国とシリアだった。かつてイランはトランプ政権成立前の2017年のピーク時には日量379万バレルを生産し、最大280万バレルの原油輸出が行われていた。

核協議の行方

 イランとイギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国の五か国は前年12月末からイランの核合意復帰に向けた交渉が再開された。その前の交渉ではイランがそれ以前の譲歩を撤回して新たな要求を行うなど強硬さが目立った。特にイランは核兵器開発を目指してかウラン濃縮を再開している。ウランの濃度は60%を目指しており、兵器級とされる濃度90%に近付いている。そのほかIAEAによる査察を拒否している。
 ただし、アナリストの予想によるとイランの経済状況は予想以上に悪いようだ。2018年のトランプ政権による制裁の再開以来、イランの外貨準備高が大幅に減少しており、2018年の制裁再開前の約1100億ドルから100億ドル水準まで低下していると見積もられている。イランは国家統制のため安価なガソリンやガスを国民へ提供しているが、これに要する補助金額は年間500億ドルを超えている。多くは他のアラビア諸国への投資で賄われているが、補助金支出が限界に達していると考えられている。これ以上、この経済モデルを継続するには原油輸出を拡大する他なく、ギリギリの一線で妥協し原油輸出の拡大を条件に核査察の再開に合意するとみられている。

イランの原油輸出

図1 中国によるイラン産原油の輸入量(出展元 Bloomberg)

 イランは中国向けの輸出を拡大している。図1に示す情報会社Kplerによる調査結果によると、中国は2021年11月にイランから1800万バレルの原油を輸入した。10月に比べて40%増加した。また、現在海上保管されている原油のおよそ半分はイラン産とベネズエラ産と推定されている。これはイランが1バレル4ドルのディスカウントと安価販売しているためであり、過去にオマーン産やマレーシア産とされた原油の一部はイラン産だったと推定されている。イラン同様に米国の経済制裁を受けているベネズエラも同様となっている。イランへの制裁に反対する中国はこれまで独立系原油精製所が輸入するという形でイラン産の原油を輸入してきたが、精製所への取り締まりが厳しくなっていることや、米国と中国の間の摩擦が冬季北京五輪を前に高まっていることから当分の間原油輸入が少なくなると考えられている。

今後の見通し

 イランの経済状況を考えると、決して順調とは伝えられていない核協議の妥結が近づいているのではないかと予想している。その場合、現状で約60万バレルとされるイランの原油輸出が今年120万バレルと倍増する可能性があると考えられる。イランは原油生産日量400万バレルを目指して原油生産を増やす計画とされている。現在、原油先物市場は米国の経済の好調さと、新型コロナウイルス・オミクロン株への懸念後退によって需給がタイトとなる見方を材料に80ドルを回復した。イランとの協議に目途が付いた場合、下落が始まると予想されるので、続報に注意したい。

 


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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