会員限定ページへログイン

IDとパスワードは半角英数字で入力してください。
最新情報をすぐに閲覧したい方は有料メルマガ登録(まぐまぐ!)をしてください。

  • ◆ ID
  • ◆ パスワード

レポート
column

2022/01/07

レポート:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年1月7日)

ダイジェスト

・1月6日に発表された天然ガス在庫は各社予想56Bcf減に対して31Bcf減と在庫減少が予想を大幅に下回る弱気な内容となったが、大きな反応はなかった
・12月31日時点の天然ガス在庫量は3195Bcf(有効容量の75.0%)、在庫量は平年(5年間の平均3099Bcf)に比べて96Bcf多く、前年(3349Bcf)と比べると154Bcf少ない状態
・発表された在庫取り崩し量は平年同時期(108Bcf)、前年同時期(127Bcf)と比べても非常に少ない
・12月30日から1月5日までの天然ガス供給量は99.3Bcfと前週を1.5Bcf下回る
・12月30日から1月5日までの天然ガス需要量は119.0Bcfと前週を11.1Bcf上回る
・天然ガス輸出需要は平均11.9Bcfと前週を0.5Bcf下回る

週間天然ガス在庫総評

 1月6日にEIAが発表した12月31日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で31Bcf減少した3226Bcfとなった。12月の取り崩し量としては2018年以来最も少ない量だった。1月6日の天然ガス相場は気温上昇による暖房用需要の減退見通しを材料に下落した。EIAの発表した在庫の減少幅が事前の市場予想56Bcfを大幅に下回る弱気な内容だったが、影響は大きくなかった。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格は欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格が2週間前の21日に1MMBtu当たり59.46ドルと過去最高値を付け、週平均でも51.18ドルだったが、1週間連続で下落し今週は26.51ドルとなった。東アジアでも過去最高だった前週の1MMBtu当たり43.26ドルを10ドル以上下回る32.79ドルだった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3195Bcfで平年(5年間の平均3099Bcf、図1黒線)に比べて96Bcf多く、前年(3349Bcf)に比べて154Bcf少なくなっている。在庫取り崩しは平年同時期(108Bcf)、前年同時期(127Bcf)と比べて約3分の1となり2018年以来12月の取り崩し量としては最も少なかった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は東部と中西部、太平洋岸で消費が多かったが、南部では消費が少なく在庫が増加した。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の68.1%、有効容量(4261Bcf)の75.0%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は12月30日から1月5日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。カナダからの輸入は4.8Bcfで前週から1.1Bcfの増加となったが、天然ガスの生産が前週の97.0Bcfから2.7Bcf減少した94.3Bcfとなった。これにより天然ガスの総供給量は99.3Bcfと前週の100.8Bcfから1.5Bcfの減少となった。気温低下によりオクラホマ州やテキサス州を中心にガス田で凍結が発生して生産量が減少したことに依っている。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は12月30日から1月5日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は119.0Bcfと前週比で11.1Bcfの増加となった。アメリカの国内需要は95.0cfと前週から11.2Bcfの大幅増加となった。内訳は発電需要が前週から2.4Bcf増加した27.6Bcf、工業需要が前週から1.1Bcf増加した24.8Bcf、住宅・商業用需要が前週から7.7Bcf増加した42.6Bcfだった。アメリカ中部や西部の気温の低下により暖房用需要(住宅・商業用需要)が大幅に増加し、前年同時期の41.4Bcfよりも多くなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.1Bcf増加した4.8Bcfとなった。LNG輸出向け需要は11.9Bcfと前週から0.5Bcf減少して、今週のLNGの輸出量は88Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

11月30日時点12月7日時点12月14日時点12月21日時点 12月28日時点
原油用467基471基475基480基 480基
天然ガス用102基105基104基106基 106基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の12月31日発表のレポート(12月28日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が480基、天然ガス採掘用リグ稼働数は106基とどちらも前週から横ばいだった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は2021年内はほぼ12Bcf台で推移した。30日から1月初頭にかけて12Bcfを割り込んでいるが、これは年末から年初にかけてテキサス州からルイジアナにかけての海岸沿いで発生した濃霧の影響のためとなっている。1月4日以降は再び12.0Bcf台で推移している。EIAによると今週は24隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し88BcfのLNGが輸出された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(1月14日から1月20日)の気温予報となる。アメリカ東部で平年以下の気温、五大湖周辺からアメリカ南部にかけて平年並みの気温となる一方で、太平洋岸からアメリカ中西部西側までは平年以上の気温となる見通し。図4は12月31日NOAA発表の最新の1か月予報でメキシコ湾岸では平年以上の気温となるが、大西洋岸を中心に平年以上の気温となり、カナダ国境沿いに太平洋岸から五大湖周辺までは平年以下の気温となる見通し。

まとめ

 1月6日に発表された天然ガスの週間在庫レポートによると12月31日時点の天然ガス在庫は前週比で31Bcf減となり各社の事前予想の57Bcf減を大きく下回る弱気な結果となったが、それ自体は大きな影響はなかった。天然ガス相場はこの先の気温上昇による暖房用需要の減少懸念を材料に売られて下落した。現在の全米の在庫量は3195Bcfで平年(5年間の平均3099Bcf、図1黒線)に比べて96Bcf多く、前年(3349Bcf)に比べて154Bcf少なかった。平年同時期で107Bcf減、前年同時期で127Bcf減の在庫取り崩しだったが、今週の在庫取り崩しは12月の取り崩しとしては2018年以来の少なさだった。地域別内訳をみるとアメリカ東部、中西部、太平洋岸で消費が多かったが、南部では在庫増加だった。在庫統計の次の前週に入ると、供給面では寒波によりオクラホマ州からテキサス州にかけてのガス田が凍結したため天然ガスの生産が減少したことで供給量が減った。需要面では寒波による気温低下で暖房用天然ガスの需要が増加したが、濃霧の発生で輸出需要がやや減少している。
 アメリカでは天気予報が気温上昇へと変わり暖房用需要の減少懸念が材料となっている。一方でガス田の凍結による天然ガス生産の減少やLNG輸出の好調さが支援材料となっており、相場の先読みが難しい状況が続いている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

Mail Magazine

有料メルマガ登録

有料メルマガ登録をしていただいた方は
鍵マークのついた記事もご購読いただけます。