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レポート
column

2022/04/13

レポート:4月のEIAエネルギー短観(2022年4月13日)


ダイジェスト

・原油相場の値動きに不透明感が増す
・2022年の原油需要の見通しは日量9980万バレルと前年同時期比で240万バレル増加、前回の予想から70万バレルの引き下げ
・2022年第1四半期に原油需給が均衡した。第2四半期以降は需給が緩み在庫増加が続くと予想
・WTI予想原油価格は2022年第2四半期に101.83ドル(前回111.97ドル)、第3四半期の予想も98.83ドル(前回102.94ドル)、第4四半期には95.99(前回92.95ドル)、2023年には88.57ドル(前回84.98ドル)となると予想。2023年時点の価格は前回の予想より約4ドル引き上げ
・OPECの月報では新型コロナウイルス流行とロシアのウクライナ侵攻により2022年の原油需要を50万バレル下方修正、一方でOPECによる増産は前月比5万バレルに留まる

概要

 今日は4月12日にEIAから発表された4月のエネルギー短観について解説する。

図1 EIAによる原油需給予想(出展元 EIA)
上段: 世界の原油生産(production)と原油消費(consumption)
下段: 原油在庫の増減

 図1は上段が世界の原油生産量(production)と原油消費量(consumption)、下段が生産と消費の差、つまり原油在庫の増減を示している。
 2021年末まで世界の原油消費量は生産量を上回る状況が続き在庫が6四半期連続で減少していた。2022年第1四半期になると原油生産量に対してロシアのウクライナ侵攻や中国のロックダウン、アメリカの需要減退で原油消費量が均衡(前回予想では40万バレルの需要過多)した。第2四半期には生産量が消費量を日量30万バレル(前回70万バレル)上回り、以降2023年末まで日量60万バレル程度在庫の積み増しが継続する見通しとなっている。前回の予想より原油生産量が引き下げられている
 なお、この予想ではロシア産原油の生産減少は考慮されているが、イランやベネズエラの市場復帰がないことを前提としている。

原油生産量

 最新のデータによると米国の原油生産量は2021年第4四半期に日量1163万バレル、2022年第1四半期には日量1152万バレルだった。2022年の平均生産量は日量1200万バレルで据え置き、一方、2023年は日量1295万バレルとなり、2年連続で史上最高を更新する予想は前回から据え置かれた。
 2022年の非OPEC産油国の原油と液体燃料の生産量は平均日量6591万バレルと2021年に比べて210万バレルあまり増加となるが、前月予想より60万バレル引き下げられた。2023年には日量6736万バレルと2021年比で350万バレルの増加を見込んでいる。こちらは前月より100万バレルの引き下げとなった。内訳は、2021年比でアメリカが2023年までに280万バレル増加(前月から据え置き)と約半分を占め、ノルウェーが30万バレル(10万バレル引き下げ)とブラジルが40万バレル(据え置き)、カナダが35万バレル(据え置き)、カザフスタンが10万バレル(据え置き)増産する。アメリカの生産量が増加する一方で、ロシアが100万バレルの減産予想となっている。
 OPECの原油生産量は2021年に平均日量3166万バレルだったが、2022年に平均日量3430万バレル(10万バレル引き下げ)、2023年に平均日量3485万バレル(70万バレル増加)となる見通し。
 以上から2021年の世界の原油供給量である平均日量9555万バレルに対して、2022年には1億バレル(100万バレル引き下げ)まで増加し、2023年には平均日量1億221万バレル(70万バレル引き下げ)となる見通し。

原油消費量

 2022年の世界の原油消費量は2021年に比べて240万バレル増加した平均日量9980万バレル(前月より70万バレル引き下げ)となると予想している。2023年は2022年から190万バレル増加した平均日量1億173万バレル(前月より70万バレル引き下げ)と予想している。需要の引き下げにより2019年に記録した最大消費量である平均日量1億30万バレルを上回るのは2023年へずれ込む見通し。
 短期的には2022年第1四半期は日量9895万バレル(100万バレル引き下げ)だった。第2四半期は日量1億23万バレルとなる見通しで、2022年第1四半期には需要がほぼ均衡、第2四半期には約80万バレル(20万バレル引き上げ)の在庫増加に転じる見通し。

原油価格 
図2 原油価格の予想(出展 EIA)
黒線:これまでの原油価格推移、青線:今後の価格予想

 図2はEIAによるWTI原油の価格予想となる。2022年第1四半期はロシアによるウクライナ侵攻で価格が急上昇したが、前月のWTI価格予想である1バレル96.85ドルに対して95.18ドルに留まった。EIAの予想する2022年第2四半期は101.83ドルで前回予想の111.97ドルから下方修正された。第3四半期の予想も98.83ドル(前回102.94ドル)と引き下げられた。一方で第4四半期は上昇となり95.99ドル(前回92.95ドル)予想している。2023年の平均価格は88.57ドル(前回84.98ドル)となると予想している。これはロシアによるウクライナ侵攻があったものの、米英以外が原油の全面禁輸していないこと、新型コロナウイルスの影響が拡大していること原油価格の上昇で世界経済が減速したことが引き下げの要因となった。一方、ロシア産原油の減産が長期化することを想定しているため、2022年第4四半期以降は予想が引き上がった。

まとめ

 今回のEIA予想は不確実性が高い。それはロシアに対する欧米の制裁措置、将来起こりうる追加制裁、ロシアの原油生産と販売に与える企業行動など条件が複雑化していることに依っている。2022年第3四半期までの価格予想が前回より引き下げられたが、欧州による全面禁輸が実現していないことや中印によるロシア産原油の購入が拡大可能性が高いことが影響している。加えて中国で新型コロナウイルスが猛威を振るっていることや米国の原油消費が堅調とはいえ価格上昇による需要減退が見られている。一方で一時話題となったイランやベネズエラへの市場復帰の続報が途絶えている。以上のことから、中長期的な方向感に欠けており、短期的な状況の変化に応じた値動きの激しい展開がしばらく続くと考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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