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レポート
column

2022/04/20

レポート:IMFの世界経済見通しと原油価格の見通し(2022年4月20日)


ダイジェスト

・原油相場は1バレル4.6ドルの下落
・IMFによる2022年の世界経済の予測成長率は3.6%(前回予測より0.8ポイントの引き下げ)
・OPECの推定による2022年の原油消費量は2021年比で470万バレルの増加(推定成長率3.9%)
・ロシア産原油や天然ガスへの制裁が強化された場合、世界経済の減速が加速する可能性

概要

 4月19日にIMF(世界通貨基金)は世界経済見通しを発表した。2022年の世界経済の実質成長率は3.6%と前回1月の予測と比べて0.8ポイントの引き下げ、2023年の成長率は3.6%と前回予想から0.2ポイントの引き下げとなった。世界経済の急減速の懸念が強まっている。今回のIMFの予測はロシアとウクライナの間の戦争が、両国間のみに留まること、対ロシア経済制裁がエネルギー部門には及ばないこと、新型コロナウイルスの影響が弱まり続けると仮定している。

世界経済見通し

 下表が今回、発表された予測を抜粋したものとなる。ロシアのウクライナ侵攻に伴いエネルギーが高騰により高インフレとなった関係で、世界の多くの国で2022年の成長率が引き下げられた。特にエネルギーのロシア依存が高いイギリスやフランス、ドイツで成長率が低下しており、EU全体の成長率は前回の予測から1.1ポイントの引き下げとなった。アメリカは戦闘の影響は受けないもののFRBが利上げに踏み切ったことが成長を妨げるとの分析や燃料高による大幅なインフレを要因に前回予測から0.3ポイントの引き下げとなった。中国は新型コロナウイルス対策として行われているロックダウンや中国恒大の破綻に見られる不動産不況などの影響で同国が目標とする5.5%を1.1ポイント下回る4.4%にとどまる見通し。
 日本の2022年の成長率は前回予想より0.9ポイント引き下げられた2.4%、2023年は0.5ポイント引き上げられた2.3%となる見通し。

2021年実績2022年予測2023年予測
世界全体6.1%3.6%3.6%
先進国全体5.2%3.3%2.4%
 米国5.7%3.7%2.3%
 EU5.3%3.7%2.3%
  ドイツ2.8%2.1%2.7%
  フランス7.0%2.9%1.4%
 日本1.6%2.4%2.3%
 イギリス7.4%3.7%1.2%
 カナダ4.6%3.9%2.8%
新興国+発展途上国全体6.8%3.8%4.4%
 アジア7.3%5.4%5.6%
  中国8.1%4.4%5.1%
  インド8.9%8.2%6.9%
 欧州6.7%-2.9%1.3%
  ロシア4.7%-8.5%-2.3%
 中南米6.8%2.5%2.5%
  ブラジル4.6%0.8%1.4%
 中東+中央アジア+北アフリカ5.7%4.6%3.7%
 サブサハラ(サハラ以南のアフリカ)4.5%3.8%4.0%
表1 世界経済の成長予測(出展 IMF)

インフレ率

図1 先進国の経済成長率とインフレ率比較(出展元 ブルームバーグ)

 図1は先進各国の2022年の経済成長率(赤)と消費者物価指数(インフレ率)を比較したものとなる。先進国の成長率が2~3%台に留まる一方でアメリカの6%を始め各国で燃料高や食料高によりインフレ率が高くなっている。

原油消費への影響

 表2は今月にOPECが4月に発表した月報から抜粋した原油の需給を示している。OPECは世界経済が減速しつつも原油需要は2021年から2022年にかけて日量470万バレル増加すると見込んでいる。OPECの原油消費量推定ではIMFの仮定よりも高い経済成長率である3.9%を仮定しているため、この推定より原油消費が少なくなる可能性がある。今回、IMFが発表した成長率は3.9%であるが、この値はOPEC推計より約10%低い値となっている。経済成長率が直接原油消費量に直結すると仮定すると、2022年の原油消費量はおよそ40から50万バレル引き下げられることになる。この値は前月に発表された戦略備蓄の放出量の半分に匹敵する量で世界の原油需給が更に緩むことになる。

2021年(百万バレル/日)2022年(百万バレル/日)
世界消費量96.82100.50
アメリカ19.9320.82
欧州13.0813.66
中国14.5615.04
インド4.765.10
世界生産量95.07100.10
差引(消費量ー生産量)1.760.40
表2 世界の原油需給(出展元 OPEC月報)

今後の見通し

 IMFは2022年の世界経済の成長率を引き下げた。ロシアによるウクライナ侵攻を要因とするエネルギー高とインフレ、新型コロナウイルスの影響による中国経済の落ち込みなどが要因となっている。ただしこの予想は、戦争がこれ以上拡大しないこと、ロシアのエネルギー部門が今以上の経済制裁を受けないこと、新型コロナウイルスの影響が薄まっていくことを仮定している。このうちロシア産原油に対する経済制裁はEUが検討している。加盟国の反対は根強いもののフランスが制裁議論を主導している。仮に制裁が実現した場合、欧州がアメリカ産原油の調達を増やすことによる一時的な原油価格の上昇が考えられるが、エネルギー高による経済減速と需要減少で、原油価格が落ち込んでいくことにつながる。戦争と直接の関係がない後進国でも原油高・物価高を抑制するための利上げの結果、経済成長が大きく減速し原油消費量が大きく減少すると考えられる。よって中長期的には対ロシア制裁強化は原油価格の下落につながると思われる。また、新型コロナウイルスによる経済の影響が再び強まるような場合にも原油需要減少とが生じる可能性が残っている。以上のことから今後の原油価格は下落の可能性が高いと考えている。ウクライナ情勢や新型コロナウイルス、アメリカの経済状況の続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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