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レポート
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2022/04/21

レポート:EIA週間原油統計(2022年4月21日)

ダイジェスト

・原油在庫は802万バレル減少
 原油生産量は日量1190万バレルで前週から10万バレルの増加
 輸出入では輸入量が583万バレル、輸出量が427万バレル。輸入量の急増で156万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は91.0%で前週比で1.0%上昇、原油処理量は19万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側となり調整量は43万バレル
・ガソリン在庫は76万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少が続く
 ガソリン生産量は33万バレル増加、輸入量は16万バレル増加
 ガソリン出荷量は13万バレル増加、輸出量は3万バレル増加
・留出油在庫は266万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少が続く
 留出油の生産量は16万バレル増加、輸入量は5万バレル減少
 留出油の出荷量は34万バレル増加、輸出量は26万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は16億9910万バレルで前週より1280万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は18万バレル減少した2620万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は34.6%
・石油製品の出荷量は26万バレル増加した日量1903万バレルとなったが、好調さの目安である日量2000万バレルを4週連続で下回る
・燃料卸売り価格の発表はイースター前の金曜日のためお休み、小売価格ではガソリン価格は下落、ディーゼル燃料は上昇
・ロシアはウクライナ東部で攻勢を強め、ドイツとフランスはロシア産原油の禁輸を検討中
・イラン核協議の技術的問題は解決、残るは政治的な問題のみとイラン側が発表
・リビアの出荷停止は続く

EIA週間統計の総評

 日本時間4月20日23時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は802万バレルの減少だった。製油所の稼働率は前週比で1.0%上昇した91.0%、原油消費量は前週比で19万バレル増加した1571万バレルとなった。前日の原油相場はアメリカの原油在庫の減少を材料に上昇した。ガソリン需要の減少を材料に下落する場面もあったが、米長期金利の低下を材料に買い戻されて引けた。石油製品ではガソリン在庫が76万バレルの減少、留出油在庫は266万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は18万バレル減少した2620万バレルとなった。最新データによると米国の戦略備蓄は5億5600万バレル。
 原油生産は日量1190万バレルと前週から10万バレルの増加、原油輸入量は前週比で15万バレル減少した日量583万バレル、輸出量は日量209万バレル増加した日量427万バレルとなり輸出入全体としては156万バレルの輸入超過となっている。ガソリン高に対応するため戦略備蓄(SPR)が日量67万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は16億9910万バレルと前週比で1280万バレルの減少となり17億バレルを割り込んだ。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は802万バレル減少した4億1370万バレル、ガソリン在庫は76万バレル減少した2億3240万バレル、留出油在庫が266万バレル減少した1億870万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は18万バレル減少した2620万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)450減802減938増242増344減
ガソリン(万バレル)290増76減364減204減78増
留出油(万バレル)170減266減290減77増139増
クッシング在庫(万バレル)18減45増165増100増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫と留出油在庫は過去5年間の在庫レンジの下限以下、ガソリン在庫は減少傾向で在庫レンジの中央値以下となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1190万バレルと前週から10万バレルの増加となった。原油輸入量は前週比で15万バレル減少した日量583万バレル、輸出量は前週比で209万バレルと大幅増加した427万バレルで156万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)の辻褄を合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から26万バレル減少した43万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)119011801180117011801100
戦略備蓄増加(万バレル/日)-67-55-53-42-54-10
原油輸入(万バレル/日)583599630625609540
原油輸出(万バレル/日)427218369298328254
Adjustment(万バレル/日)436913526288
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している。千バレル以下は切り捨て

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はメキシコ、サウジアラビア、ブラジルからの輸入が減少した。一方で、カナダ、コロンビア、イラク、ナイジェリアなどからの輸入量が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ346315+31
メキシコ4876-28
サウジアラビア2532-7
コロンビア334+29
イラク2615+11
エクアドル2114+7
ブラジル014-14
ロシア00+-0
ナイジェリア198+11
トリニダード・トバゴ70+7
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から1.0%上昇した91.0%となり、製油所への原油投入量は前週比で19万バレル増加した日量1571万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から33万バレル増加した日量983万バレル、ジェット燃料生産は前週から7万バレル増加した日量168万バレル、留出油生産は前週から16万バレル増加した日量481万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)157115521594159115771476
製油所稼働率(%)91.090.092.592.191.485.0
ガソリン生産(万バレル/日)  983950912905937938
ガソリン輸入(万バレル/日) 5943486554111
ジェット燃料生産(万バレル/日)168161150139154119
ジェット燃料輸入(万バレル/日)107416913
留出油生産(万バレル/日)   481465504509490455
留出油輸入(万バレル/日)  10158151216
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から13万バレル増加した日量886万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から8万バレル減少した日量152万バレル、留出油の出荷量は前週から34万バレル増加した日量382万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)886873856849866910
ガソリン輸出(万バレル/日)918898608467
ジェット燃料出荷(万バレル/日)152160145138149117
ジェット燃料輸出(万バレル/日)19152020197
留出油出荷(万バレル/日)382348364380368385
留出油輸出(万バレル/日)147173137125146101
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品需給(日量)

 原油の需要面では製油所稼働率が前週から1.0%上昇した91.0%となり、原油消費量は前週より19万バレル増加した日量1571万バレルだった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で33万バレル増加した日量983万バレル、輸入量は16万バレル増加した日量59万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週比で13万バレル増加した日量886万バレル、輸出量は前週から3万バレル増加した日量91万バレルだった。ガソリン在庫は76万バレル減と在庫減少幅が縮小した。
 次に留出油は生産量が前週から16万バレル増加した日量481万バレル、輸入量は前週から5万バレル減少した日量10万バレルだった。留出油の出荷量は前週から34万バレル増加した日量382万バレル、輸出量は前週から26万バレル減少した日量147万バレルとなった。在庫増減量はほぼ横ばいの266万バレル減だった。
 ジェット燃料生産量は前週から7万バレル増加した168万バレル、出荷量は前週から8万バレル減少した152万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で26万バレル増加した日量1903万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安の一つとなる日量2000万バレルを4週連続で下回った。今週は原油在庫が802万バレル減、ガソリン在庫が76万バレルの減少、留出油在庫が266万バレルの減少となった。ガソリンや留出油だけでなく、灯油や重油、エタノールなど全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で1280万バレル減少した16億9910万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。イースター前の金曜日は祝日のため発表はお休みだった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
4/154/84/13/253/18前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.1063.0713.3183.1332.029
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
3.6113.4084.2403.7391.894
原油
(ドル/バレル)
98.3599.32116.20104.6963.16
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。ガソリン小売価格は前週から約3セントの下落、ディーゼル燃料の小売価格は約3セントの上昇だった。

小売価格4/18 4/11 4/4 3/28 3/21 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.0664.0914.1704.2314.2392.855
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.5574.5874.6594.7144.7193.267
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.8314.8544.9314.9854.9923.517
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
5.1015.0735.1445.1855.1343.124
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から10万バレル増加した日量1190万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.0%増加した91.0%となり、原油消費量は19万バレル増加した日量1571万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量15万バレル減少した日量583万バレル、輸出量が209万バレルと大幅増加した日量427万バレルとなり、156万バレルの輸入超過となっている。原油輸出量の大幅増加で原油在庫は802万バレルの大幅減少となった。
 ガソリンは生産量が33万バレルの増加、ガソリン輸入量は4万バレルの増加となった。一方で、ガソリン出荷量は13万バレルの増加、ガソリン輸出量は3万バレルの増加となった。ガソリン在庫は76万バレルの在庫減少と減少幅が縮小した。留出油は生産量が16万バレルの増加、輸入量は5万バレルの減少となった。一方で出荷量は34万バレルの増加、輸出量が26万バレルの減少となった。出荷量は増加したが、生産量の増加と輸出量の減少のため留出油在庫は266万バレル減少と減少幅が縮小した。燃料価格では卸売価格はイースター前の金曜日のため未発表。一方で小売価格はガソリン価格が前週から約3セントの下落、ディーゼル燃料は約3セントの上昇となっている。
 全ての石油製品の出荷量は日量26万バレル増加した1903万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安である日量2000万バレルを4週間連続で下回った。ガソリンやディーゼル燃料に加えてエタノールや液化プロパンなど全ての石油製品と原油を合わせた在庫は1280万バレル減と大幅減少した16億9910万バレルとなった。
 ロシアとウクライナ間の間の戦闘が激化していることから欧州連合の内、フランスとドイツ、北欧諸国はロシアへの追加制裁として原油の禁輸を計画している。一方でイタリアやギリシアなど南欧諸国は反対を続けている。仮に、欧州向けのロシア産原油が禁輸された場合、世界需給がタイトとなるため一時的に原油価格は上昇すると考えられる。一方で、原油高による需要減少が始まっていることから、一時的な上昇の後は下落に転じると考えられる。加えて、上海や西安がロックダウンされるなど中国での新型コロナウイルスの流行が拡大しており、中国の原油需要減の見方は強くなっている。加えてイラン核協議ではイラン側の昨日の発表として技術的な問題は解決し、政治的な問題を残すのみとしている。アメリカ側の楽観的なコメントはないが、イランの復帰が実現すれば原油相場は大きく下落するのではと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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