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レポート
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2022/04/22

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年4月22日)

ダイジェスト

・4月21日に発表された天然ガス在庫は各社予想37Bcf増に対して53Bcf増と在庫増加は予想を上回り、発表後に下落したが、買い戻されて小幅上昇となった。
・4月15日時点の天然ガス在庫量は1450Bcf(有効容量の34.0%)、在庫量は平年(5年間の平均1742Bcf)に比べて292Bcf少なく、前年(1878Bcf)と比べると428Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は53Bcfで平年同時期(42Bcf増)、前年同時期(42Bcf増)と比べると多い
・4月14日から4月20日までの天然ガス供給量は100.5Bcfと前週から横ばい
・4月14日から4月20日までの天然ガス需要量は97.3Bcfと前週を2.4Bcf上回る
・Freeport LNG輸出基地は4月5日から18日間の日程でメンテナンス中

週間天然ガス在庫総評

 4月21日にEIAが発表した4月15日時点の週間天然ガス在庫量は1450Bcfと前週比で53Bcfの増加となった。天然ガス相場は、この日EIAが発表した在庫変動幅が53Bcf増と予想の371Bcfを大きく上回る在庫増加が懸念材料となったが、買い戻されて上昇で引けている。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちとなった。欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約2.39ドル下落した30.45ドル(前年7.49ドル)、東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約3.39ドル下落した29.83ドル(前年7.75ドル)となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は1450Bcfで平年(5年間の平均1742Bcf、図1黒線)に比べ292Bcf少なく、前年(1878Bcf)に比べて428Bcf少なくなっている。在庫増加は53Bcfで平年同時期(42Bcf増)、前年同時期(42Bcf増)のどちらよりも多かった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。山岳地域でのみ在庫が減少、それ以外の全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の30.9%、有効容量(4261Bcf)の34.0%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は4月14日から4月20日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週の94.8Bcfから0.4Bcf減少した94.4Bcfとなった。カナダからの輸入は前週の5.6Bcfから0.4Bcf増加した6.0Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週の100.5Bcfから横ばいの100.5Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は4月14日から4月20日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は97.3Bcfと前週比で2.4Bcfの増加となった。内国内需要は72.3Bcfと前週から2.2Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から0.3Bcf増加した26.6Bcf、工業需要が前週から0.2Bcf増加した23.2Bcf、住宅・商業用需要が前週から1.6Bcf増加した22.5Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は中西部を中心に気温が低かったため前年同時期(21.0Bcf)より多かった。冷房用需要(発電用需要)は0.3Bcf増だった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.4Bcf増加した6.2Bcf、LNG輸出向け需要は前週から0.2Bcf減少した12.2Bcfだった。今週のLNG輸出量は97Bcfと前週の75Bcfから22Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

3月8日時点 3月15日時点 3月22日時点 3月29日時点 4月5日時点 4月12日時点
原油用527基524基531基533基546基548基
天然ガス用135基137基137基138基141基143基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の4月15日発表のレポート(4月12日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週を2基上回る548基、天然ガス採掘用リグ稼働数も前週を2基上回る143基だった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は4月16日以降は概ね12Bcf台で推移した。EIAによると4月14日から4月20日の間に26隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し97BcfのLNGが輸出された。Calcasieu PassのLNG基地では新しい液化設備の試運転が続いている。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(4月29日から5月5日)までの気温予報となる。太平洋岸から大西洋岸にかけてアメリカの南側では平年以上の気温、北側では平年以下の気温となる見通し。図4は4月21日にNOAAが発表した最新の1か月予報で五大湖周辺を中心に平年以下の気温、アメリカの南側では平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 4月21日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによれば、4月15日時点の天然ガス在庫は前週比で53Bcfの増加となり各社の事前予想である37Bcf増を上回る弱気な結果だった。天然ガス相場は発表直後に下落したものの、買い戻されて小幅上昇で引けた。天然ガスの全米の在庫量は1450Bcfで平年(5年間の平均1742cf、図1黒線)に比べて292Bcf少なく、前年(1878Bcf)に比べて428Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.4Bcf減少した日量94.4Bcf、カナダからの輸入は前週から日量0.4Bcf増加した6.0Bcfとなった。供給全体は100.5Bcfで横ばいだった。需要面では国内需要が前週から2.2Bcf増加した日量72.3Bcfとなった。LNG輸出は前週より0.2Bcf減少した日量12.2Bcfとなった。LNGの輸出量は4月20日までの1週間の合計で97Bcfだった。
 欧州ではデンマークなど天然ガス増産の余地のある国で増産が検討されているが、結局天然ガスの禁輸措置の検討は先送りが続いている。当面の間、追加制裁による禁輸実現の可能性は低いと考えられるが、アメリカ産LNGへの高い引き合いは継続すると考えられる。このため、消費が落ち込むこれからの時期は例年では価格が下落するが、LNG需要が下支えとなり下値が堅い状況が続くと考えられる。といってもウクライナの状況次第ではロシア産天然ガスへの制裁実現し価格上昇の可能性があるので続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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