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ダイジェスト

・原油在庫は69万バレル増加
　原油生産量は日量1190万バレルで前週から横ばい
　輸出入では輸入量が593万バレル、輸出量が372万バレル。輸入量の増加と輸出量の減少で221万バレルの輸入超過
　製油所稼働率は90.3％で前週比で0.7％低下、原油処理量は3万バレルの減少
　Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側となり調整量は125万バレル
・ガソリン在庫は157万バレル減少
（生産量＋輸入量）＜（出荷量＋輸出量）で在庫減少が続く
　ガソリン生産量は32万バレル減少、輸入量は25万バレル増加
　ガソリン出荷量は13万バレル増加、輸出量は3万バレル増加
・留出油在庫は144万バレル減少
　（生産量＋輸入量）＜（出荷量＋輸出量）で在庫減少が続く
　留出油の生産量は3万バレル減少、輸入量は2万バレル増加
　留出油の出荷量は1万バレル増加、輸出量は19万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は16億9690万バレルで前週より220万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は129万バレル増加した2750万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は36.1%
・石油製品の出荷量は79万バレル増加した日量1982万バレルとなったが、好調さの目安である日量2000万バレルを5週連続で下回る
・燃料卸売価格の発表ではガソリンが下落、ディーゼル燃料が大幅上昇、小売価格ではガソリン価格、ディーゼル燃料共に上昇
・欧州は依然としてロシア産原油の禁輸を検討中
・イラン核協議は停滞
・リビアの出荷停止は続く

EIA週間統計の総評

　日本時間4月27日23時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は69万バレルの増加だった。製油所の稼働率は前週比で0.7％低下した90.3％、原油消費量は前週比で3万バレル減少した1568万バレルとなった。前日の原油相場は株価の下落を材料に下落する場面もあったが、需給の逼迫を材料に上昇して引けた。石油製品ではガソリン在庫が157万バレルの減少、留出油在庫は144万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は129万バレル増加した2750万バレルとなった。最新データによると米国の戦略備蓄は5億5310万バレル。
　原油生産は日量1190万バレルと前週から横ばい、原油輸入量は前週比で10万バレル増加した日量593万バレル、輸出量は日量54万バレル減少した日量372万バレルとなり輸出入全体としては221万バレルの輸入超過となっている。ガソリン高に対応するため戦略備蓄（SPR）が日量41万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は16億9690万バレルと前週比で220万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫（表1）

　表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は69万バレル増加した4億1440万バレル、ガソリン在庫は157万バレル減少した2億3080万バレル、留出油在庫が144万バレル減少した1億730万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は129万バレル増加した2750万バレルだった。

　図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移（青線）と過去5年間の在庫レンジ（灰色）とを比較している。原油在庫と留出油在庫は過去5年間の在庫レンジの下限以下、ガソリン在庫は減少傾向で在庫レンジの中央値以下となっている。

原油生産と輸出入、戦略備蓄（日量）（表2と表3）

　表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1190万バレルと前週から横ばいとなった。原油輸入量は前週比で10万バレル増加した日量593万バレル、輸出量は前週比で54万バレル減少した372万バレルで221万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性（計算のずれなど）の辻褄を合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から82万バレル増加した125万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

　アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はメキシコ、エクアドル、ナイジェリアからの輸入が減少した。一方で、カナダ、サウジアラビア、ブラジルなどからの輸入量が増加した。

石油製品生産量（日量）と製油所稼働率（表4）

　表4は主要石油製品の生産と輸入（供給）についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.7％低下した90.3％となり、製油所への原油投入量は前週比で3万バレル減少した日量1568万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から32万バレル減少した日量951万バレル、ジェット燃料生産は前週から横ばいの日量168万バレル、留出油生産は前週から3万バレル減少した日量478万バレルだった。

石油製品供給（日量、需要）（表5）

　表5は主要石油製品の出荷量（需要）と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から15万バレル減少した日量873万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から7万バレル増加した日量159万バレル、留出油の出荷量は前週から1万バレル増加した日量383万バレルだった。

石油製品需給（日量）

　原油の需要面では製油所稼働率が前週から0.7％低下した90.3％となり、原油消費量は前週より3万バレル減少した日量1568万バレルだった。
　主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で32万バレル減少した日量951万バレル、輸入量は25万バレル増加した日量84万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週比で13万バレル減少した日量873万バレル、輸出量は前週から4万バレル増加した日量95万バレルだった。ガソリン生産の低下でガソリン在庫は157万バレル減と在庫減少幅が拡大した。
　留出油は生産量が前週から3万バレル減少した日量478万バレル、輸入量は前週から2万バレル増加した日量12万バレルだった。留出油の出荷量は前週から1万バレル増加した日量383万バレル、輸出量は前週から19万バレル減少した日量128万バレルとなった。在庫増減量は前週から減って144万バレル減だった。
　ジェット燃料生産量は前週から横ばいの168万バレル、出荷量は前週から7万バレル増加した159万バレルとなった。
　石油製品全体の出荷量（需要）は前週比で79万バレル増加した日量1982万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安の一つとなる日量2000万バレルを5週連続で下回った。今週は原油在庫が69万バレル増、ガソリン在庫が157万バレルの減少、留出油在庫が144万バレルの減少となった。ガソリンや留出油だけでなく、灯油や重油、エタノールなど全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で220万バレル減少した16億9690万バレルとなった。

石油製品価格（表6と表7）

　表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。イースターの祝日を挟んでガソリン卸売価格は4セントの下落、ディーゼル燃料の卸売価格は40セントの上昇だった。

　表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。ガソリン小売価格は前週から約4セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約6セントの上昇だった。

今後の見通し

　アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1190万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.7％低下した90.3％となり、原油消費量は3万バレル減少した日量1568万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量10万バレル増加した日量593万バレル、輸出量が54万バレル減少した日量372万バレルとなり、221万バレルの輸入超過となっている。原油輸出量の減少と輸入の増加で原油在庫は69万バレルの増加となった。
　ガソリンは生産量が32万バレルの減少、ガソリン輸入量は25万バレルの増加となった。一方で、ガソリン出荷量は13万バレルの減少、ガソリン輸出量は4万バレルの増加となった。ガソリン在庫は157万バレルと再び減少幅が拡大した。留出油は生産量が3万バレルの低下、輸入量は2万バレルの増加となった。一方で出荷量は3万バレルの減少、輸出量が19万バレルの減少となった。出荷量は増加したが、生産量の増加と輸出量の減少のため留出油在庫は144万バレル減少と減少幅が縮小した。燃料小売価格はガソリン価格が前週から約4セントの上昇、ディーゼル燃料は約40セントの上昇となっている。
　全ての石油製品の出荷量は日量79万バレル増加した1982万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安である日量2000万バレルを5週間連続で下回った。ガソリンやディーゼル燃料に加えてエタノールや液化プロパンなど全ての石油製品と原油を合わせた在庫は220万バレル幅減少した16億9690万バレルとなった。
　原油高による世界的な需要減少や上海や西安がロックダウンされた中国では新型コロナウイルスの流行が拡大していることで原油需要減の見方は強くなっている。一方で、イラン核協議の復活は難航、リビアも依然として輸出が停止していることが支援材料となっていると考えられる。続報に注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。