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レポート
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2022/04/29

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年4月29日)

ダイジェスト

・4月28日に発表された天然ガス在庫は各社予想37Bcf増に対して40Bcf増と在庫増加は予想を上回ったことで発表後に下落
・4月22日時点の天然ガス在庫量は1490Bcf(有効容量の35.0%)、在庫量は平年(5年間の平均1795Bcf)に比べて306Bcf少なく、前年(1896Bcf)と比べると406Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は40Bcf、平年同時期は53Bcf増、前年同時期は18Bcf増
・4月21日から4月27日までの天然ガス供給量は100.0Bcfと前週を0.5Bcf下回る
・4月21日から4月27日までの天然ガス需要量は89.9Bcfと前週を7.3Bcf下回る

週間天然ガス在庫総評

 4月28日にEIAが発表した4月22日時点の週間天然ガス在庫量は1450Bcfと前週比で40Bcfの増加となった。天然ガス相場はこの日EIAが発表した在庫変動幅が40Bcf増と予想の37Bcf増を上回った在庫増加が懸念材料となり下落して引けた。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちとなった。欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約0.50ドル上昇した30.94ドル(前年7.48ドル)、東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約4.43ドル下落した25.39ドル(前年8.58ドル)となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は1490Bcfで平年(5年間の平均1795Bcf、図1黒線)に比べ305Bcf少なく、前年(1878Bcf)に比べて406Bcf少なくなっている。在庫増加は40Bcfで平年同時期は53Bcf増、前年同時期は18Bcf増だった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。東部で在庫が横ばいだった以外は全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の31.7%、有効容量(4261Bcf)の35.0%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は4月21日から4月27日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週の94.4Bcfから0.5Bcf減少した93.9Bcfとなった。季節外れの寒波でノース・ダコタ州のガス田が凍結し生産に支障をきたしたことが要因となった。カナダからの輸入は前週の6.0Bcfから横ばいだった。これにより天然ガスの総供給量は前週の100.5Bcfから0.5Bcf減少した100.0Bcfとなった。なお、生産は回復へ向かっている。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は4月21日から4月27日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は89.9Bcfと前週比で7.3Bcfの減少となった。内国内需要は65.3Bcfと前週から6.9Bcfの減少だった。内訳は発電需要が前週から0.1Bcf減少した26.6Bcf、工業需要が前週から0.6Bcf減少した22.5Bcf、住宅・商業用需要が前週から6.2Bcf減少した16.2Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は西部を中心に気温が高かったため前年同時期(22.1Bcf)より少なかった。冷房用需要(発電用需要)は横ばいだった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.2Bcf減少した6.1Bcf、LNG輸出向け需要は12.2Bcfと前週から横ばいだった。今週のLNG輸出量は84Bcfと前週の97Bcfから13Bcf減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

3月15日時点 3月22日時点 3月29日時点 4月5日時点 4月12日時点 4月19日時点 
原油用524基531基533基546基548基549基
天然ガス用137基137基138基141基143基144基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の4月22日発表のレポート(4月19日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週を1基上回る549基、天然ガス採掘用リグ稼働数も前週を1基上回る144基だった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は概ね11Bcf台後半から12Bcf台で推移した。EIAによると4月21日から4月27日の間に23隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し84BcfのLNGが輸出された。Calcasieu PassのLNG基地では新しい液化設備の試運転が続いている。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(5月6日から5月12日)までの気温予報となる。アメリカ北西部と五大湖周辺から大西洋岸にかけての地域で平年以下の気温、アメリカ西部南側やメキシコ湾岸では平年以上の気温となる見通し。図4は4月21日にNOAAが発表した最新の1か月予報で五大湖周辺を中心に平年以下の気温、アメリカの南側では平年以上の気温となる見通し。メキシコ湾岸では気温上昇により冷房用需要が増加、北西部では季節外れの冷え込みにより暖房用需要が増加する見込み。

まとめ

 4月28日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによれば、4月22日時点の天然ガス在庫は前週比で40Bcfの増加となり各社の事前予想である37Bcf増を上回る弱気な結果だった。天然ガス相場は発表後から下落して引けた。天然ガスの全米の在庫量は1490Bcfで平年(5年間の平均1795cf、図1黒線)に比べて305Bcf少なく、前年(1896Bcf)に比べて406Bcf少なくなっている。天然ガス生産が季節外れの冷え込みによるガス田の凍結で生産が阻害されたことでアメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.5Bcf減少した日量93.9Bcf、カナダからの輸入は6.0Bcfと横ばいだったため供給全体は前週より0.5Bcf少ない100.0cfとなった。需要面では国内需要が前週から6.9Bcf減少した日量65.3Bcfとなった。LNG輸出は前週より横ばいの日量12.2Bcfだった。LNGの輸出量は4月27日までの1週間の合計で84Bcfだった。
 欧州ではポーランドとブルガリアに対するロシアからの天然ガス供給が打ち切られるなど、欧州とロシアの間の対立が表面化している。ただし、それ以外の国のガス会社はロシア(ガスプロム)への天然ガス代金のルーブル払いを容認していると伝えられており、混乱はこれ以上広がらないと考えられる。戦争の継続と欧州とロシアの対立は天然ガスの支援材料となっているが、月末の特殊フローがそれを上回りここ数日はNY時間後半から利食い売りで下落する場面が目立った。翌週は特殊フローがなくなるため再び好調なLNG輸出を材料に1MMBtu当たり8.0ドルを目指して上昇するのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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