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レポート
column

2022/05/11

レポート:5月のEIAエネルギー短観(2022年5月11日)


ダイジェスト

・原油需要減退の見方から原油相場は下落傾向
・2022年の原油需要の見通しは日量9960万バレルと前年同時期比で220万バレル増加、前回の予想から20万バレルの引き下げ
・2022年第1四半期に原油需給が均衡。第2四半期から第3四半期は需給がやや緩むが、第4四半期以降は需給が前回予想より逼迫すると予想
・WTI予想原油価格は2022年第2四半期に101.76ドル(前回101.83ドル)で小幅な変化、第3四半期の予想は98.83ドルで据え置き。一方で、第4四半期には96.99(前回95.99ドル)、2023年には93.24ドル(前回88.57ドル)となると予想を引き上げ。2023年時点の価格は前回の予想より約5ドル引き上げ
・OPECプラスの予想では新型コロナウイルス流行による中国のロックダウンにより2022年の原油需要を下方修正。
・OPECプラスによる生産は生産枠を日量100万バレル以上の割り込みが継続

概要

 今日は5月10日にEIAから発表された5月のエネルギー短観について解説する。

図1 EIAによる原油需給予想(出展元 EIA)
上段: 世界の原油生産(production)と原油消費(consumption)
下段: 原油在庫の増減

 図1は上段が世界の原油生産量(production)と原油消費量(consumption)、下段が生産と消費の差、つまり原油在庫の増減を示している。
 2022年第1四半期の原油と液体燃料の消費量(9883万バレル)は生産量(9873万バレル)と均衡している。第2四半期には生産量が消費量を日量60万バレル(前回30万バレル)上回り在庫が日量60万バレル増加するが、以降は在庫増加幅は縮小し2023年末まで在庫増減が日量50万バレルを下回るような需給均衡が続く見込み。
 なお、この予想ではイラン産原油やベネズエラ産原油の市場復帰がないことを前提としている。

原油生産量

 最新のデータによると米国の原油生産量は2021年第4四半期に日量1163万バレル、2022年第1四半期には日量1142万バレル(前回より10万バレル引き下げ)だった。2022年第2四半期には日量1178万バレル、2022年の平均生産量は日量1191万バレルで前回の短観より変動はない。一方、2023年は日量1285万バレルで前回より10万バレル引き下げられた。2年連続で史上最高生産量を更新するとの予想は据え置かれた。
 2022年の非OPEC産油国の原油と液体燃料の生産量は平均日量6544万バレルと2021年に比べて150万バレルあまり増加となるが、前月予想より45万バレル引き下げられた。2023年には日量6656万バレルと2021年比で270万バレルの増加を見込んでいる。こちらは前月より80万バレルの引き下げとなった。内訳は、2021年比でアメリカが2023年までに260万バレル増加(前回から生産量を20万バレル引き下げ)と約半分を占め、ノルウェーが30万バレル(据え置き)とブラジルが40万バレル(据え置き)、カナダが35万バレル(据え置き)、カザフスタンが10万バレル(据え置き)増産する。一方で、ロシアが160万バレル(60万バレル引き下げ)の減産予想となっている。
 OPECの原油生産量は2021年に平均日量3166万バレルだったが、2022年に平均日量3445万バレル(15万バレル引き上げ)、2023年に平均日量3504万バレル(20万バレル引き上げ)となる見通し。
 以上から2021年の世界の原油供給量である平均日量9557万バレルに対して、2022年に9990バレル(10万バレル引き下げ)まで増加し、2023年には平均日量1億160万バレル(60万バレル引き下げ)となる見通し。

原油消費量

 2022年の世界の原油消費量は2021年に比べて220万バレル増加した平均日量9960万バレル(前回より20万バレル引き下げ)となると予想している。中国とアメリカの原油消費の後退を反映している。2023年は2021年から190万バレル増加した平均日量1億150万バレル(前月より20万バレル引き下げ)と予想している。2019年に記録した最大消費量平均日量1億30万バレルを上回るのは2023年となる見通し。
 短期的には2022年第1四半期の原油消費量は日量9883万バレル(10万バレル引き下げ)で需給均衡だった。第2四半期は日量9927万バレル(100万バレル引き下げ)となる見通しで、第2四半期には約60万バレル(20万バレル引き下げ)の在庫積み上げ、第3四半期には原油消費量が1億45万バレルとなり30万バレルの在庫積み上げとなる見通し。

原油価格 
図2 原油価格の予想(出展 EIA)
黒線:これまでの原油価格推移、青線:今後の価格予想

 図2はEIAによるWTI原油の価格予想となる。2022年第1四半期は95.18ドルだった。EIAの予想する2022年第2四半期のWTI価格は101.76ドルで前回予想の101.83ドルから横ばいとなった。第3四半期の予想価格は98.83ドル(前回98.83ドル)と据え置きとなった。一方で第4四半期は96.99ドル(前回95.99ドル)と予想価格が引き上げられている。2023年の予想平均価格も引き上げられ93.24ドル(前回88.57ドル)となると予想している。これはロシアの減産量が前回予想より増加し、世界の原油需給がよりタイトとなることから予想価格が引き上げられた。

まとめ

 今回のEIAの短観もロシアに対する欧州の制裁措置、新型コロナウイルス対策としての中国のロックダウンや価格高騰によるアメリカの需要減など不確定要素が強くなっている。2022年第3四半期までの予想価格はほぼ据え置かれた。一方で2022年第4四半期以降は価格予想が前回より引き上げられた。ロシア産原油の減産幅予想が引き上げられ原油需給がタイトになったことを反映している。
 これまで原油相場の上昇を支援していた欧州連合によるロシア産原油の全面禁輸が、加盟国の反対により実現が不透明となったことでウクライナでの戦争による影響は今後減少していくのではないかと考えている。一方では中国で新型コロナウイルス対策のための大都市のロックダウンが続き経済に悪影響を与えていること、原油価格の上昇によりアメリカの原油消費の減退が見られていること、アメリカの大幅利上げが懸念材料となっている。以上のことから、中長期的には需要減による価格下落となるのではと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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