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レポート
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2022/05/26

レポート:EIA週間原油統計(2022年5月26日)

ダイジェスト

・原油在庫は101万バレル減少。要因は輸入量の増加と戦略備蓄の放出量の増加
 原油生産量は日量1190万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が648万バレル、輸出量が434万バレル。輸入量は微減、輸出量は増加で214万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は93.2%で前週比で1.5%上昇、原油処理量は33万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は増加側に転じ調整量は122万バレル
・ガソリン在庫は48万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少が続く
 ガソリン生産量は15万バレル減少、輸入量は3万バレル減少
 ガソリン出荷量は23万バレル減少、輸出量は18万バレル増加
・留出油在庫は165万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫増加が続く
 留出油の生産量は16万バレル増加、輸入量は3万バレル減少
 留出油の出荷量は5万バレル増加、輸出量は12万バレルの増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は16億8610万バレルで前週より530万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は106万バレル減少した2480万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は32.6%
・石油製品の出荷量は2万バレル増加した日量1968万バレルとなり、好調さの目安である日量2000万バレルを9週連続で下回る
・燃料卸売価格の発表ではガソリンが約7セントの下落、ディーゼル燃料が約133セントの大幅下落、小売価格ではガソリン価格が約10セントの上昇、ディーゼル燃料は約4セントの下落
・欧州のロシア産原油の禁輸提案は加盟国の猛反対で進まず
・米エネルギー省長官が燃料価格上昇抑制のためガソリンなど石油製品の輸出を制限する可能性があると発言

EIA週間統計の総評

 日本時間5月25日23時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は101万バレルの減少だった。製油所の稼働率は前週比で1.5%上昇した93.2%、原油消費量は前週比で33万バレル増加した1626万バレルとなった。前日の原油相場は石油製品在庫の減少による需給懸念が高まり上昇した。石油製品ではガソリン在庫が48万バレルの減少、留出油在庫は165万バレルの増加となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は106万バレル減少した2480万バレルとなった。最新データによると米国の戦略備蓄は5億3200万バレル。
 原油生産は日量1190万バレルと前週から横ばい、原油輸入量は前週比で8万バレル減少した日量648万バレル、輸出量は日量82万バレル増加した日量434万バレルとなり輸出入全体としては214万バレルの輸入超過となっている。ガソリン高に対応するため戦略備蓄(SPR)が日量85万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は16億8610万バレルと前週比で530万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は101万バレル減少した4億1980万バレル、ガソリン在庫は48万バレル減少した2億1970万バレル、留出油在庫が165万バレル増加した1億690万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は106万バレル減少した2480万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)60増101減339減848増130増
ガソリン(万バレル)420減48減477減360減223減
留出油(万バレル)90減165増123増91減234減
クッシング在庫(万バレル)106減240減58減137増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫と過去5年間の在庫レンジの下限以下となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1190万バレルと前週から横ばい。原油輸入量は前週比で8万バレル減少した日量648万バレル、輸出量は前週比で82万バレル増加した434万バレルで214万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)の辻褄を合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から143万バレル増加した122万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日) 119011901180119011871100
戦略備蓄増加(万バレル/日)-85-71-99-44-75-23
原油輸入(万バレル/日) 648656626633641627
原油輸出(万バレル/日) 434352287357357343
Adjustment(万バレル/日)122-2171555792
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している。千バレル以下は切り捨て

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はメキシコ、サウジ・アラビア、イラク、エクアドルからの輸入が増加した。一方で、カナダ、コロンビア、ブラジル、ナイジェリアからの輸入量が減少した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ349358-9
メキシコ8783+4
サウジ・アラビア5842+16
コロンビア2136-15
イラク2824+4
エクアドル254+21
ブラジル1326-13
ロシア00+-0
ナイジェリア312-9
トリニダード・トバゴ00+-0
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から1.5%上昇した93.2%となり、製油所への原油投入量は前週比で33万バレル増加した日量1626万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から15万バレル減少した日量942万バレル、ジェット燃料生産は前週から7万バレル減少した日量171万バレル、留出油生産は前週から26万バレル増加した日量514万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)162615931569154615841523
製油所稼働率(%)93.291.890.088.490.987.0
ガソリン生産(万バレル/日)  942957971968960978
ガソリン輸入(万バレル/日) 84876911288103
ジェット燃料生産(万バレル/日)171178172158170129
ジェット燃料輸入(万バレル/日)8714211227
留出油生産(万バレル/日)   514488488471490466
留出油輸入(万バレル/日)  8111291027
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から23万バレル減少した日量879万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から9万バレル減少した日量153万バレル、留出油の出荷量は前週から5万バレル増加した日量386万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)879902870885884947
ガソリン輸出(万バレル/日)779594838773
ジェット燃料出荷(万バレル/日) 153162144144151139
ジェット燃料輸出(万バレル/日)15221230206
留出油出荷(万バレル/日) 386381377395385446
留出油輸出(万バレル/日) 11210013511811690
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品需給(日量)

 原油の需要面では製油所稼働率が前週から1.5%上昇した93.2%となり、原油消費量は前週より33万バレル増加した日量1626万バレルだった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で15万バレル減少した日量942万バレル、輸入量は3万バレル減少した日量84万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週比で23万バレル減少した日量879万バレル、輸出量は前週から18万バレル減少した日量77万バレルだった。ガソリン在庫は出荷量と輸出量の減少の影響で48万バレル減と在庫減少幅が拡大している。
 留出油は生産量が前週から16万バレル増加した日量514万バレル、輸入量は前週から3万バレル減少した日量8万バレルだった。留出油の出荷量は前週から5万バレル増加した日量386万バレル、輸出量は前週から12万バレル増加した日量112万バレルとなった。生産量の増加の影響で在庫増加幅が拡大し165万バレルの在庫増加だった。
 ジェット燃料生産量は前週から7万バレル減少した171万バレル、出荷量は前週から9万バレル減少した153万バレルだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で2万バレル増加した日量1968万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安の一つとなる日量2000万バレルを9週連続で下回った。今週は原油在庫が101万バレル減少、ガソリン在庫が48万バレルの減少、留出油在庫が165万バレルの増加となった。ガソリンや留出油だけでなく、灯油や重油、エタノールなど全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で530万バレル減少した16億8610万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。ガソリン卸売価格は約7セントの下落、ディーゼル燃料の卸売価格は約133セントの大幅下落だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
5/205/135/64/294/22前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.9183.9883.8503.4333.0672.056
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
4.0045.3394.7684.6244.1011.997
原油
(ドル/バレル)
112.63110.52109.72104.59102.8663.61
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。ガソリン小売価格は前週から約10セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約4セントの下落だった。

小売価格5/23 5/16 5/9 5/2 4/25 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.5934.4914.3284.1824.1073.020
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
5.0404.9414.7794.6574.5873.445
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
5.3465.2405.0704.9394.8693.690
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
5.5715.6135.6235.5095.1603.253
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1190万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.5%上昇した93.2%となり、原油消費量は33万バレル増加した日量1626万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量8万バレル減少した日量648万バレル、輸出量が82万バレル増加した日量434万バレルとなり、114万バレルの輸入超過となっている。原油のAdjustmentの変化で原油在庫は101万バレルの減少となった。
 ガソリンは生産量が15万バレルの減少、ガソリン輸入量は3万バレルの減少となった。一方で、ガソリン出荷量は23万バレルの減少、ガソリン輸出量は18万バレルの増加となった。ガソリン在庫は48万バレル減と出荷量と輸出量の減少で減少幅が縮小した。留出油は生産量が16万バレルの増加、輸入量は3万バレルの減少となった。一方で出荷量は5万バレルの増加、輸出量が12万バレルの増加となった。生産量の増加で留出油在庫は165万バレル増加と在庫増加幅が拡大した。燃料小売価格はガソリン価格が前週から1ガロン当たり約10セントの上昇、ディーゼル燃料は約4セントの下落となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量2万バレル増加した1968万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安である日量2000万バレルを9週間連続で下回った。ガソリンやディーゼル燃料に加えてエタノールや液化プロパンなど全ての石油製品と原油を合わせた在庫は530万バレル減少した16億8610万バレルとなった。
 今週はアメリカがドライブシーズンに入ることで燃料の需給がタイトになるとの見方が支援材料となった。一方で、米エネルギー省長官が燃料価格上昇抑制のため石油製品の輸出を制限する可能性もあると発言したことが下落要因となっている。輸出制限が実現する可能性は低いと考えられるが、11月の中間選挙のために実現する可能性があるので続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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