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レポート
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2022/05/27

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年5月27日)

ダイジェスト

・5月26日に発表された天然ガス在庫は各社予想89Bcf増に対して80Bcf増と在庫増加が予想を下回る
・5月20日時点の天然ガス在庫量は1812Bcf(有効容量の40.6%)、在庫量は平年(5年間の平均2139Bcf)に比べて327Bcf少なく、前年(2199Bcf)と比べると387Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は80Bcf(平年同時期は97Bcf増、前年同時期は109Bcf増)
・5月19日から5月25日までの天然ガス供給量は100.0Bcfと前週を0.2Bcf下回る
・5月19日から5月25日までの天然ガス需要量は88.6cfと前週を2.0Bcf上回る
・テキサス州からアメリカ東部にかけて気温が上昇し冷房用需要が高まる見通し

週間天然ガス在庫総評

 5月26日にEIAが発表した5月20日時点の週間天然ガス在庫量は1812Bcfと前週比で80Bcfの増加となった。天然ガス相場は最新の天気予報で気温が低下し冷房用需要が減少するとの見方を材料に下落した。この日EIAが発表した在庫変動幅は80Bcf増と各社予想の89Bcf増を下回り発表直後に強く買われたが、続かなかった。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちとなった。欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約2.20ドル下落した25.92ドル(前年9.04ドル)、東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約1.64ドル下落した21.88ドル(前年10.05ドル)となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は1812Bcfで平年(5年間の平均2139Bcf、図1黒線)に比べ327Bcf少なく、前年(2199Bcf)に比べて387Bcf少なくなっている。在庫増加は80Bcfで平年同時期は109Bcf増、前年同時期は97Bcf増だった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週も全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の36.9%、有効容量(4261Bcf)の40.6%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は5月19日から5月25日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から0.1Bcf減少した95.0Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.1Bcf減少した4.9Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.2Bcf減少した100.0Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は5月19日から5月25日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は88.6Bcfと前週比で2.0Bcfの増加となった。内国内需要は63.8Bcfと前週から1.1Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から0.9Bcf減少した30.5Bcf、工業需要が前週から0.3Bcf増加した21.8Bcf、住宅・商業用需要が前週から1.6Bcf増加した11.5Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(9.5Bcf)より増加。冷房用需要(発電用需要)は0.9Bcfの減少だった。アメリカ北西部から中西部で気温が低下、一方でアメリカ南部やカリフォルニアでは気温上昇で冷房用需要が増加した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から横ばいの5.6Bcf、LNG輸出向け需要は12.9Bcfと前週から0.9Bcfの増加だった。今週のLNG輸出量は90Bcfと前週の73Bcfから17Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

4月12日時点 4月19日時点 4月26日時点 5月3日時点 5月10日時点 5月17日時点 
原油用548基549基552基557基563基576基
天然ガス用143基144基144基146基149基150基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の5月20日発表のレポート(5月17日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週を13基上回る576基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から1基増加の150基だった。リグ数は2020年3月27日以来となる700基を上回る状態。

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は5月26日まで概ね日量12Bcf台から13Bcf台前半で推移した。LNG基地のメンテナンスが終了して輸出が増加している。EIAによると5月19日から5月25日の間に24隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し90BcfのLNGが輸出された。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(6月3日から6月9日)までの気温予報となる。アメリカ北西部や五大湖周辺で平年以下の気温、カリフォルニアやアメリカ東部では平年並みの気温、メキシコ湾岸で平年以上の気温となる見通し。図4は5月19日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。アメリカ北西部の一部で平年以下の気温となる以外は、多くの地域で平年以上の気温となる見通し。メキシコ湾岸では気温上昇により冷房用需要が増加する見込み。

まとめ

 5月26日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによれば、5月20日時点の天然ガス在庫は前週比で80Bcfの増加となり各社の事前予想である89Bcf増を大きく下回る強気な結果で発表直後には大きく上昇した。天然ガス相場は天気予報で今後の気温が低下し冷房需要が減少すると見込まれたことを材料に下落した。天然ガスの全米の在庫量は1812Bcfで平年(5年間の平均2139cf、図1黒線)に比べて327Bcf少なく、前年(2199Bcf)に比べて387Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.1Bcf減少した日量95.0Bcf、カナダからの輸入は前週より0.1Bcf減少した4.9Bcfとなった。これにより供給全体は前週より0.2Bcf減少した100.0Bcfとなった。需要面ではアメリカの国内需要が前週から1.1Bcf増加した日量63.8Bcfとなった。LNG輸出はLNG基地のメンテナンスが終了し前週より0.9Bcf増加した日量12.9Bcfだった。LNGの輸出量は5月25日までの1週間の合計で90Bcfだった。
 今週前半は気温が上昇し冷房用の天然ガス需要(発電用需要)が増加したことが支援材料となり1MMBtu当たり9.5ドル付近まで上昇した。今後は気温予報が低下に転じたため、天然ガスの冷房用需要の伸び悩みが予想される。天気予報に注意したい。欧州によるロシア産原油の禁輸に関する会議はハンガリーの強硬な反対でストップしているが、仮に禁輸が成立した場合天然ガス価格の上昇も予想される。続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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