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レポート
column

2022/05/05

レポート:EIA週間原油統計(2022年5月5日)

ダイジェスト

・原油在庫は130万バレル増加
 原油生産量は日量1190万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が633万バレル、輸出量が357万バレル。輸入量の増加と輸出量の減少で276万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は88.4%で前週比で1.8%低下、原油処理量は21万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側となり調整量は55万バレル
・ガソリン在庫は223万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少が続く
 ガソリン生産量は17万バレル増加、輸入量は28万バレル増加
 ガソリン出荷量は12万バレル増加、輸出量は12万バレル減少
・留出油在庫は234万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少が続く
 留出油の生産量は7万バレル減少、輸入量は3万バレル減少
 留出油の出荷量は12万バレル増加、輸出量は10万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は16億9640万バレルで前週より50万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は137万バレル増加した2880万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は37.9%
・石油製品の出荷量は35万バレル減少した日量1946万バレルとなったが、好調さの目安である日量2000万バレルを6週連続で下回る
・燃料卸売価格の発表ではガソリンとディーゼル燃料が共に大幅上昇、小売価格もガソリン価格、ディーゼル燃料共に上昇
・欧州は段階的なロシア産原油の禁輸を検討中
・OPECプラスは6月の生産量を今日の会合で決定、計画通りの増産の公算
・イラン核協議の成立は望み薄に
・リビアの出荷停止は続き生産量は半減

EIA週間統計の総評

 日本時間5月4日23時半にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は130万バレルの増加だった。製油所の稼働率は前週比で1.8%低下した88.4%、原油消費量は前週比で21万バレル減少した1546万バレルとなった。前日の原油相場は利上げ発表後の議長声明を受けた株価の上昇や欧州がロシア産原油の輸入を段階的に禁輸することを検討しているとの報道を材料に上昇して引けた。石油製品ではガソリン在庫が223万バレルの減少、留出油在庫は234万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は137万バレル増加した2880万バレルとなった。最新データによると米国の戦略備蓄は5億5000万バレル。
 原油生産は日量1190万バレルと前週から横ばい、原油輸入量は前週比で39万バレル増加した日量633万バレル、輸出量は日量14万バレル減少した日量357万バレルとなり輸出入全体としては276万バレルの輸入超過となっている。ガソリン高に対応するため戦略備蓄(SPR)が日量44万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は16億9640万バレルと前週比で50万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は130万バレル増加した4億1570万バレル、ガソリン在庫は223万バレル減少した2億2860万バレル、留出油在庫が234万バレル減少した1億490万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は137万バレル増加した2880万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)350減130増69増802減938増
ガソリン(万バレル)450減223減157減76減364減
留出油(万バレル)450減234減144減266減290減
クッシング在庫(万バレル)137増129増18減45増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫と留出油在庫は過去5年間の在庫レンジの下限以下、ガソリン在庫は減少傾向で在庫レンジの下限近くとなっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1190万バレルと前週から横ばいとなった。原油輸入量は前週比で39万バレル増加した日量633万バレル、輸出量は前週比で14万バレル減少した357万バレルで276万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)の辻褄を合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から70万バレル減少した55万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)119011901190118011871090
戦略備蓄増加(万バレル/日)-44-41-67-55-52-15
原油輸入(万バレル/日)633593583599602545
原油輸出(万バレル/日)357372427218343412
Adjustment(万バレル/日)55125436973172
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している。千バレル以下は切り捨て

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はカナダ、コロンビア、イラク、エクアドルからの輸入が減少した。一方で、メキシコ、サウジアラビア、ブラジル、ナイジェリアなどからの輸入量が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ349351-2
メキシコ5639+17
サウジアラビア5543+12
コロンビア3136-5
イラク1824-6
エクアドル610-4
ブラジル94+5
ロシア00+-0
ナイジェリア40+4
トリニダード・トバゴ07-7
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から1.8%低下した88.4%となり、製油所への原油投入量は前週比で21万バレル減少した日量1546万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から17万バレル増加した日量968万バレル、ジェット燃料生産は前週から10万バレル減少した日量158万バレル、留出油生産は前週から7万バレル減少した日量471万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)154615681571155215591524
製油所稼働率(%)88.490.391.090.089.986.5
ガソリン生産(万バレル/日)  968951983950963914
ガソリン輸入(万バレル/日) 11284594375102
ジェット燃料生産(万バレル/日)158168168161164125
ジェット燃料輸入(万バレル/日)21131071314
留出油生産(万バレル/日)   471478481465474449
留出油輸入(万バレル/日)  91210151116
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から12万バレル増加した日量885万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から15万バレル減少した日量144万バレル、留出油の出荷量は前週から12万バレル増加した日量395万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)885873886873879886
ガソリン輸出(万バレル/日)839591889055
ジェット燃料出荷(万バレル/日)144159152160154108
ジェット燃料輸出(万バレル/日)30161915207
留出油出荷(万バレル/日)395383382348377412
留出油輸出(万バレル/日)11812814717314295
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品需給(日量)

 原油の需要面では製油所稼働率が前週から1.8%低下した88.4%となり、原油消費量は前週より21万バレル減少した日量1546万バレルだった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で17万バレル増加した日量968万バレル、輸入量は28万バレル増加した日量112万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週比で12万バレル増加した日量885万バレル、輸出量は前週から12万バレル減少した日量83万バレルだった。ガソリン在庫は223万バレル減と在庫減少幅が拡大した。
 留出油は生産量が前週から7万バレル減少した日量471万バレル、輸入量は前週から3万バレル減少した日量9万バレルだった。留出油の出荷量は前週から12万バレル増加した日量395万バレル、輸出量は前週から10万バレル減少した日量118万バレルとなった。在庫減少量は前週から100万バレル近く増加した234万バレル減だった。
 ジェット燃料生産量は前週から10万バレル減少した158万バレル、出荷量は前週から15万バレル減少した144万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で35万バレル減少した日量1946万バレルとなり、石油製品消費の好調さの目安の一つとなる日量2000万バレルを6週連続で下回った。今週は原油在庫が130万バレル増、ガソリン在庫が223万バレルの減少、留出油在庫が234万バレルの減少となった。ガソリンや留出油だけでなく、灯油や重油、エタノールなど全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で50万バレル減少した16億9640万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。ガソリン卸売価格は37セントの上昇、ディーゼル燃料の卸売価格は52セントの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
4/294/224/154/84/1前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4333.0673.1063.0712.055
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
4.6244.1013.6113.4081.919
原油
(ドル/バレル)
104.59102.8698.3599.3263.50
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。ガソリン小売価格は前週から約7~8セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約35セントの上昇だった。

小売価格5/2 4/25 4/18 4/11 4/4 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.1824.1074.0664.0914.1702.890
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.6574.5874.5574.5874.6593.303
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.9394.8694.8314.8544.9313.557
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
5.5095.1605.1015.0735.1443.142
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1190万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.8%低下した88.4%となり、原油消費量は21万バレル減少した日量1546万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量39万バレル増加した日量633万バレル、輸出量が14万バレル減少した日量357万バレルとなり、276万バレルの輸入超過となっている。原油輸出量の減少と輸入の増加で原油在庫は130万バレルの増加となった。
 ガソリンは生産量が17万バレルの増加、ガソリン輸入量は28万バレルの増加となった。一方で、ガソリン出荷量は12万バレルの増加、ガソリン輸出量は12万バレルの減少となった。ガソリン在庫は223万バレル減と再び減少幅が拡大した。留出油は生産量が7万バレルの減少、輸入量は3万バレルの減少となった。一方で出荷量は12万バレルの増加、輸出量が10万バレルの減少となった。出荷量は増加と生産量の減少のため留出油在庫は234万バレル減少と減少幅が拡大した。燃料小売価格はガソリン価格が前週から約7~8セントの上昇、ディーゼル燃料は約35セントの上昇となっている。
 全ての石油製品の出荷量は日量35万バレル増加した1946万バレルとなり石油製品消費の好調さの目安である日量2000万バレルを6週間連続で下回った。ガソリンやディーゼル燃料に加えてエタノールや液化プロパンなど全ての石油製品と原油を合わせた在庫は50万バレル減少した16億9640万バレルとなった。
 原油高による世界的な需要減少や新型コロナウイルスが拡大している中国の原油需要減のためOPECプラスは原油需要予測を供給過剰で据え置いている。今日はOPECプラスの会合が予定されているが、前回同様に43万バレルの増産で据え置かれる公算が高い。一方で、イラン核協議の復活はほぼ不可能となっている。原油価格の上昇でイランが不正に輸出している原油(約90万バレル)で十分な利益を得ているため、イラン側がこれ以上の政治的な譲歩はしないとの観測が強まっている。アメリカ側も選挙が近いため譲歩出来ない情勢で核協議合意は事実上頓挫したと思われる。リビアでは軍閥間の対立で輸出が停止、生産量が半減しており支援材料となっている。加えて欧州がロシア産原油の段階的な禁輸を検討している状況となっており、直近で原油価格を下落させる材料に乏しくなっているため高止まりが予想される。続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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