会員限定ページへログイン

IDとパスワードは半角英数字で入力してください。
最新情報をすぐに閲覧したい方は有料メルマガ登録(まぐまぐ!)をしてください。

  • ◆ ID
  • ◆ パスワード

レポート
column

2022/05/06

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年5月6日)

ダイジェスト

・5月5日に発表された天然ガス在庫は各社予想67Bcf増に対して77Bcf増と在庫増加は予想を上回ったことで発表後に下落したが大きな影響はなし
・4月29日時点の天然ガス在庫量は1567Bcf(有効容量の36.8%)、在庫量は平年(5年間の平均1873Bcf)に比べて306Bcf少なく、前年(1949Bcf)と比べると382Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は77Bcf、平年同時期は77Bcf増、前年同時期は53Bcf増
・4月28日から5月4日までの天然ガス供給量は100.3Bcfと前週を0.3Bcf上回る
・4月28日から5月4日までの天然ガス需要量は91.4Bcfと前週から横ばい
・Cameron LNG基地で5月19日までの予定でメンテナンスを実施予定

週間天然ガス在庫総評

 5月5日にEIAが発表した4月29日時点の週間天然ガス在庫量は1567Bcfと前週比で77Bcfの増加となった。天然ガス相場は好調なLNG輸出と気温上昇による暖房用需要増加見通しを材料に上昇した。この日EIAが発表した在庫変動幅は77Bcf増と予想の67Bcf増を上回ったが一時的な下げに留まった。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちとなった。欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約0.11ドル下落した30.84ドル(前年8.35ドル)、東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約1.46ドル下落した23.93ドル(前年8.83ドル)となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は1567Bcfで平年(5年間の平均1873Bcf、図1黒線)に比べ306Bcf少なく、前年(1949Bcf)に比べて382Bcf少なくなっている。在庫増加は77Bcfで平年同時期は77Bcf増、前年同時期は53Bcf増だった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の33.4%、有効容量(4261Bcf)の36.8%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は4月28日から5月4日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週の94.1Bcfから0.1Bcf増加した94.2Bcfとなった。季節外れの寒波によるノース・ダコタ州のガス田の凍結は解消した。カナダからの輸入は前週の6.0Bcfから横ばいだった。これにより天然ガスの総供給量は前週の100.2Bcfから0.3Bcf増加した100.3Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は4月28日から5月4日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は91.4Bcfと前週比で横ばいとなった(前週の数字には修正が行われた)。内国内需要は67.4Bcfと前週から0.7Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から1.1Bcf増加した27.8Bcf、工業需要が前週から0.2Bcf減少した22.4Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.3Bcf減少した17.1Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は中西部を中心に気温が低かったため前年同時期(12.6Bcf)より多かった。冷房用需要(発電用需要)は横ばいだった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.5Bcf減少した5.6Bcf、LNG輸出向け需要は12.0Bcfと前週から0.2Bcfの減少だった。Cameron LNG基地でメンテナンスが始まっている。今週のLNG輸出量は91Bcfと前週の84Bcfから7Bcf増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

3月22日時点 3月29日時点 4月5日時点 4月12日時点 4月19日時点 4月26日時点 
原油用531基533基546基548基549基552基
天然ガス用137基138基141基143基144基144基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の4月29日発表のレポート(4月26日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週を3基上回る552基、天然ガス採掘用リグ稼働数も前週から横ばいの144基だった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は概ね日量11Bcf台後半から12Bcf台で推移した。EIAによると4月28日から4月4日の間に25隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し91BcfのLNGが輸出された。新しいCalcasieu PassのLNG基地では4月に平均0.8Bcfの天然ガスを輸出し、内0.3Bcfは中国向け長期契約、残りはエネルギー商社を通じておそらくは欧州へ向かう見込み。一方で、Cameron LNG基地でメンテナンスが始まり日量約0.7Bcfの供給が減少している。同基地は5月19日までメンテナンスの予定。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(5月13日から5月19日)までの気温予報となる。アメリカ北西部で平年以下の気温、アメリカ西部から大西洋岸までの広い範囲で平年以上の気温となる見通し。図4は4月30日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。五大湖周辺からアメリカ北西部を中心に平年以下の気温、アメリカの南側では平年以上の気温となる見通し。メキシコ湾岸では気温上昇により冷房用需要が増加する見込み。

まとめ

 5月5日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによれば、4月29日時点の天然ガス在庫は前週比で77Bcfの増加となり各社の事前予想である67Bcf増を上回る弱気な結果だった。天然ガス相場は好調なLNG輸出と気温上昇による暖房用需要の増加見込みから上昇した。在庫発表後には一時下落したが大きな影響はなかった。天然ガスの全米の在庫量は1567Bcfで平年(5年間の平均1873cf、図1黒線)に比べて306Bcf少なく、前年(1949Bcf)に比べて382Bcf少なくなっている。天然ガス生産は季節外れの冷え込みによるガス田の凍結が解消していることで増加している。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.1Bcf増加した日量94.2Bcf、カナダからの輸入は6.0Bcfと横ばいだった。これにより供給全体は前週より0.1Bcf増加した100.3cfとなった。需要面では国内需要が前週から0.7Bcf増加した日量67.4Bcfとなった。LNG輸出はCameron LNGがメンテナンスに入ったため前週より0.2Bcf減少した日量12.0Bcfだった。LNGの輸出量は5月4日までの1週間の合計で91Bcfだった。
 欧州では原油に関してはロシア産原油の段階的な禁輸を目指した追加制裁措置が検討されている。一方で天然ガスについては、バルト3国など自主的に輸入取りやめを発表した国やロシアが供給を取りやめた国(ポーランド、ブルガリア)があるが、それ以外の国ではロシア(ガスプロム)の求める天然ガス代金のルーブル払いを容認していると伝えられている。輸入設備の問題から代替も不可能との見方もあり、これ以上制裁が広がるかどうかは不透明となっている。欧州向けの好調な輸出を原動力に天然ガス相場は1MMBtu当たり9ドルまでは上昇する可能性があると考えている。天然ガスの上昇は原油の上昇と並んで、アメリカのインフレーションにもつながっているためこれ以上価格が上昇した場合、アメリカ政府による禁輸措置の可能性が出てくるので、続報には注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

Mail Magazine

有料メルマガ登録

有料メルマガ登録をしていただいた方は
鍵マークのついた記事もご購読いただけます。