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レポート
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2022/06/10

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年6月10日)

ダイジェスト

・6月9日に発表された天然ガス在庫は各社予想97Bcf増に対して97Bcf増と在庫増加が予想と一致
・6月3日時点の天然ガス在庫量は1999Bcf(有効容量の46.9%)、在庫量は平年(5年間の平均2339Bcf)に比べて340Bcf少なく、前年(2397Bcf)と比べると398Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は97Bcf(平年同時期は100Bcf増、前年同時期は98Bcf増)
・6月2日から6月8日までの天然ガス供給量は100.8Bcfと前週から横ばい
・6月2日から6月8日までの天然ガス需要量は86.8cfと前週を0.7Bcf上回る
・アメリカ南部を中心に天気予報が気温上昇に転じて冷房用需要が増加する見通し
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地で爆発があり日量約2.0Bcfの輸出が停止、復旧には少なくても3週間を要する見通し

週間天然ガス在庫総評

 6月9日にEIAが発表した6月3日時点の週間天然ガス在庫量は1999Bcfと前週比で97Bcfの増加となった。在庫変動幅は各社予想の97Bcf増と一致した。木曜日の天然ガス相場はLNG輸出基地の事故で輸出需要が減少するとの見方から急落する場面もあったが、天気予報で気温が上昇し冷房用需要が増加するとの見方を材料に上昇した。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちだった。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から横ばいの23.77ドル(前年10.65ドル)、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約2.02ドル下落した24.49ドル(前年9.58ドル)となった。LNG輸出基地の爆発事故の報道により水曜日深夜の欧州のTTFのガス価格は8.8%上昇した。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は1999Bcfで平年(5年間の平均2339Bcf、図1黒線)に比べ340Bcf少なく、前年(2397Bcf)に比べて398Bcf少なくなっている。在庫増加は97Bcfで平年同時期は100Bcf増、前年同時期は98Bcf増のどちらよりも少なかった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週も全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の42.6%、有効容量(4261Bcf)の46.9%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は6月2日から6月8日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から0.5Bcf減少した95.5Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.5Bcf増加した5.3Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から横ばいの100.8Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は6月2日から6月8日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は86.8Bcfと前週比で0.7Bcfの増加となった。内国内需要は62.5Bcfと前週から1.1Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から2.1Bcf増加した32.4Bcf、工業需要が前週から横ばいの21.4Bcf、住宅・商業用需要が前週から1.0Bcf減少した8.7Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(9.4Bcf)より少なかった。冷房用需要(発電用需要)は増加したものの前年同時期(33.3Bcf)よりは少なかった。アメリカの西部や南部では気温が上昇し冷房用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.1Bcf減少したの5.6Bcf、LNG輸出向け需要は前週から0.3Bcf減少した12.5Bcfだった。今週のLNG輸出量は82Bcfと前週の85Bcfから3Bcfの減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

4月26日時点 5月3日時点 5月10日時点 5月17日時点 5月24日時点 5月31日時点 
原油用552基557基563基576基574基574基
天然ガス用144基146基149基150基151基151基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の6月4日発表のレポート(5月31日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週をから横ばいの574基、天然ガス採掘用リグ稼働数も前週から横ばいの151基だった。リグの総数は727基となった。

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は5月31日から6月7日までの8日間は概ね日量12Bcf台から13Bcf台前半で推移していたが、6月8日にテキサス州にあるアメリカ最大級のFree PortLNG輸出基地で爆発があり輸出が停止した。輸出停止により約2.0Bcfの輸出が停止する。設備の復旧には少なくとも3週間かかる見通し。EIAによると6月2日から6月8日の間に22隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し82BcfのLNGが輸出された。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(6月17日から6月23日)までの気温予報となる。アメリカ西海岸や山岳地域で平年以下の気温となるが、それ以外の地域では広い範囲で平年以上の気温となる見通し。図4は5月31日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。アメリカ北西部から五大湖周辺にかけて平年以下の気温、カリフォルニアからメキシコ湾岸、大西洋岸では平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 6月9日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによれば、6月3日時点の天然ガス在庫は前週比で97Bcfの増加となり各社の事前予想と一致した。木曜日の天然ガス相場はテキサス州のLNG輸出基地の爆発で今後の輸出需要が減少するとの見方から急落する場面もあったが、アメリカ南部を中心に気温が上昇し冷房需要が増加すると見込まれたことを材料に上昇した。天然ガスの全米の在庫量は1999Bcfで平年(5年間の平均2339cf、図1黒線)に比べて340Bcf少なく、前年(2397Bcf)に比べて398Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.5Bcf減少した日量95.5Bcf、カナダからの輸入は前週より051Bcf増加した5.3Bcfとなった。これにより供給全体は前週から横ばいの100.8Bcfとなった。需要面ではアメリカの国内需要が前週から1.1Bcf増加した日量62.5Bcfとなった。LNG輸出は前週より0.3Bcf減少した日量12.5Bcfだった。LNGの輸出量は6月9日までの1週間の合計で82Bcfだった。
 ロシア産の天然ガスを代替しようとしているアメリカ産天然ガス輸出にとってFree PortのLNG基地の3週間の停止は大きな影響がある。この事故によりアメリカのLNGの約15%の輸出が停止するが、天然ガスをスポット価格で輸入している欧州の方が、長期契約の多いアジアより大きな影響を受けるため、ロシア産天然ガスを欧州から排斥することはより困難な状況になったと考えられる。一方で、アメリカ国内では本来輸出されるべき天然ガスがだぶつくことで一時的に価格が落ち着くと考えている。ただし、これからハリケーンシーズンに入り、メキシコ湾沿岸の天然ガス生産施設等が影響を受けやすくなる季節に入る。ハリケーンによる生産停止などがあれば、瞬間的な高騰がありうるのでハリケーン予報に注意していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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