会員限定ページへログイン

IDとパスワードは半角英数字で入力してください。
最新情報をすぐに閲覧したい方は有料メルマガ登録(まぐまぐ!)をしてください。

  • ◆ ID
  • ◆ パスワード

レポート
column

2022/06/17

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年6月17日)

ダイジェスト

・6月16日に発表された天然ガス在庫は各社予想90Bcf増に対して92Bcf増と在庫増加が予想を上回る
・6月10日時点の天然ガス在庫量は2095Bcf(有効容量の49.2%)、在庫量は平年(5年間の平均2418Bcf)に比べて323Bcf少なく、前年(2425Bcf)と比べると330Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は92Bcf(平年同時期は79Bcf増、前年同時期は28Bcf増)
・6月9日から6月15日までの天然ガス供給量は101.7Bcfと前週を0.9Bcf上回る
・6月9日から6月15日までの天然ガス需要量は90.6Bcfと前週を3.8Bcf上回る
・アメリカ南部を中心に熱波が到来し、冷房用需要が増加する見通し
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地で爆発があり日量約2.0Bcfの輸出が停止中、復旧まで当初発表の3週間ではなく90日程度を要する見通し

週間天然ガス在庫総評

 6月16日にEIAが発表した6月10日時点の週間天然ガス在庫量は2095Bcfと前週比で92Bcfの増加となった。在庫変動幅は各社予想の90Bcf増を上回った。木曜日の天然ガス相場はアメリカ南部への熱波の到来で気温が上昇し冷房用需要が増加するとの見方を材料に上昇したが、終盤利食い売りが入って下落で引けた。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちだった。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から0.68ドル下落した23.09ドル(前年10.92ドル)、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約3.21ドル上昇した27.70ドル(前年10.01ドル)となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2095Bcfで平年(5年間の平均2418Bcf、図1黒線)に比べ323Bcf少なく、前年(2425Bcf)に比べて330Bcf少なくなっている。在庫増加は92Bcfで平年同時期は79Bcf増、前年同時期は28Bcf増のどちらよりも多かった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週も全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の44.6%、有効容量(4261Bcf)の49.2%となっている。なお、今週の在庫発表時に前週の在庫量の改訂(1999Bcf→2003Bcf)が行われている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は6月9日から6月15日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から横ばいの95.5Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.8Bcf増加した6.1Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.9Bcf増加した101.7Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は6月9日から6月15日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は90.6Bcfと前週比で3.8Bcfの増加となった。内国内需要は67.8Bcfと前週から5.3Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から5.7Bcf増加した38.1Bcf、工業需要が前週から0.3Bcf減少した21.1Bcf、住宅・商業用需要が前週から横ばいの8.6Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(9.1Bcf)より少なかった。冷房用需要(発電用需要)は増加し前年同時期(37.4Bcf)を上回った。アメリカの西部や南部では熱波が到来して冷房用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から横ばいの5.6Bcf、LNG輸出向け需要は前週から1.8Bcf減少した10.7Bcfだった。テキサス州のFree Port LNG輸出基地の停止が反映されている。今週のLNG輸出量は77Bcfと前週の82Bcfから5Bcfの減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月3日時点 5月10日時点 5月17日時点 5月24日時点 5月31日時点 6月7日時点
原油用557基563基576基574基574基580基
天然ガス用146基149基150基151基151基151基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の6月10日発表のレポート(6月7日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週を6基上回る580基、天然ガス採掘用リグ稼働数も前週から横ばいの151基だった。リグの総数は733基となった。

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は6月8日以降は概ね日量11Bcf前後で推移していた。6月8日にテキサス州にあるアメリカ最大級のFree Port LNG輸出基地が爆発事故で操業停止しており、約2.0Bcfの輸出が停止している。2.0Bcfの内、2022年の輸出内訳は71%が欧州向け、17%が東アジア向けとなっている。設備の復旧には当初発表の3週間ではなく90日程度かかる見通し。EIAによると6月9日から6月15日の間に21隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し77BcfのLNGが輸出された。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(6月24日から6月30日)までの気温予報となる。アメリカ北西部で平年以下の気温となるが、それ以外の地域では全国的に平年以上の気温となる見通し。図4は6月16日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。カリフォルニア州やアメリカ北西部から五大湖周辺にかけての地域は平年以下の気温、それ以外の地域はアメリカ西部やメキシコ湾岸、大西洋岸を中心に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 6月16日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによると、6月10日時点の天然ガス在庫は前週比で92Bcfの増加となり各社の事前予想90Bcfを上回った。木曜日の天然ガス相場はアメリカ南部を中心に熱波が到来し冷房需要が増加すると見込まれたことを材料に上昇したが、NY時間になると売りが入って下落で引けた。天然ガスの全米の在庫量は2095Bcfで平年(5年間の平均2418cf、図1黒線)に比べて323Bcf少なく、前年(2425Bcf)に比べて330Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より横ばいの日量95.5Bcf、カナダからの輸入は前週より0.8Bcf増加した6.1Bcfとなった。これにより供給全体は前週から0.9Bcf増加した101.7Bcfとなった。需要面ではアメリカの国内需要が前週から5.3Bcf増加した日量67.8Bcfとなった。LNG輸出は前週より1.8Bcf減少した日量10.7Bcfだった。LNG輸出基地の停止が統計に反映された。LNGの輸出量は6月16日までの1週間の合計で77Bcfだった。
 テキサス州のFree PortのLNG基地の復旧には当初は報道された3週間ではなく3カ月の長期にわたり、完全復旧には更に時間が掛かる見通し。停止期間は予想以上の長期にわたり、その期間内にはアメリカ国内で天然ガス在庫が積みあがることになる。これにより一時的にアメリカの天然ガス価格は落ち着くと考えている。ただし、今週発表されたアメリカの発電用需要が前週比で日量5.7Bcf増加したように、熱波による冷房用需要増加が輸出基地の停止による余剰増加を上回る可能性は十分にある。天気予報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

Mail Magazine

有料メルマガ登録

有料メルマガ登録をしていただいた方は
鍵マークのついた記事もご購読いただけます。