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レポート
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2022/06/02

レポート:OPECプラスが6月の会合を開催(2022年6月2日)


ダイジェスト

・OPECプラスは今日6月2日に7月の原油生産量を決める会合を開催
・欧州はロシア産原油の段階的な禁輸を決定
・ロシアは別な輸出ルートを確保と主張
・サウジ・アラビアがロシアを代替する増産に同意との情報
・インドのロシア産原油輸入量が急増
・アメリカは中東の原油増産を働きかけ中

EUによるロシア産原油の禁輸

 EUはウクライナに侵攻しているロシアへの制裁の一環としてロシア産の原油の輸入を段階的に停止することで合意した。代替輸入先の確保が困難な内陸のEU加盟国(ハンガリーやスロバキア、チェコ)の反対でパイプライン経由での輸入を当面の間は継続することとなったが、例外を認めて押し切る形でEU全体としての禁輸を決定した。ロシアから欧州に海上輸送される原油は2021年の平均で日量約160万バレル、パイプラインの輸送量は約70万バレルだった。欧州が輸入するロシア産原油の3分の2を6カ月以内に禁輸する決定を受けて火曜日の原油相場は大きく上昇した。

アメリカの対応

 アメリカ政府はアメリカ国内のガソリン高やインフレに対応するためサウジ・アラビアに原油増産を働きかけている。その一環としてバイデン・アメリカ大統領が6月末にサウジ・アラビアへ訪問することが検討されている。アメリカの原油生産量が原油の大幅高の中でも思ったほど伸びず、新型コロナウイルスの流行前の原油生産量を回復できない中で、数少ない生産余力を持つサウジ・アラビアやUAEに対して働きかけを強めると考えられる。

OPECプラスの対応

 OPECプラスは現在段階的な増産を行っている。計画通りなら7月の原油生産量は6月比で日量43.2万バレルの増産となる。この量はロシアの割り当て分を約11万バレル含んでいるため、仮にロシア外しをした場合には30万バレル程の増産しかできない。OPECプラスの中で生産余力を持っているサウジ・アラビアやUAE、クウェートを合わせて約200万バレル、サウジ・アラビアが全力生産を行っても継続的な増産は約300万バレルが上限となると考えられる。報道の中でロシア産原油の輸出量が大幅減少した場合にサウジ・アラビアが穴埋めを行うことで合意したと伝えられているが、生産余力はそれほど大きくなく穴埋めには限界がある。また、直近のOPECの月報、EIAやIEAの月報では世界の原油需給はひっ迫していないとの共通した予測が出ており、サウジ・アラビアが即座に増産する必要がない状況となっている。今日の会合でも大きな変更はないと予想する。

ロシアの反応

 ロシア政府のぺスコフ報道官は1日の会見でロシア産原油の禁輸が世界のエネルギー市場に悪影響を与えると指摘した上で、既に代替ルートの確保を行ったと発表している。図1はKpler社が推計したロシアの原油貯蔵量+海上輸送中量を示しており、ウクライナ侵攻後に原油輸出先が減少したことから、侵攻前(2月6日、図中左端)のロシアの原油貯蔵量と海上輸送中量が合計約2700万バレルだったものが、現在(5月26日、図中右端青色)では合計約7400万バレルまで増加している。ただし、EUによる制裁前から欧州向けの原油輸出量が減少して在庫が増えた一方で、最近はアジア向けの輸出量が増加で在庫増加が頭打ちとなっており、今やアジアがロシア産原油の最大の輸出先となっている。

図1 ロシアの原油貯蔵量+海上輸送中原油量(出展元: Bloomberg)

インドと中国の動き

 国内向けに大量の原油を必要とするインドと中国は高騰する北海ブレント原油に対して大幅にディスカウントされているロシア産原油の購入量を激増させている。北海ブレント原油の価格が1バレル120ドルに達する中で、ロシア産ウラル原油は1バレル95ドルで販売されている。特にインドが原油輸入量を急増させており、3月の原油購入量が月量約300万バレルと平年並みだったものが、4月に月量約700万バレル、5月に月量約2400万バレルに達し、前年比で800%となった。6月も増加し月量約2800万バレルの原油を輸入する予定。中国の輸入量は3月の時点では2月より輸入量に減少がみられたが、その後は急増している。

今後の見通し

 欧州はロシア産原油の3分の2以上を年内に停止する決定を行った。これにより2021年に日量150万バレル以上あった原油輸入が停止することになる。ただし、原油生産コストの安いロシアは原油のディスカウントを行っており、欧州向けだった原油がインドや中国へ振り向けられる結果となっている。このため世界の原油需給が即座に大幅にタイトとなる状況は考えにくくなっている。また、世界の主要な産油国を集めたOPECプラスの生産余力を見ても、ロシア産原油を完全に代替できる能力はなく、余程のことがなければ世界の原油市場からロシア産原油が締め出されることは考えにくい。先日、OPECプラスからロシアを締め出した場合にロシアへの割り当て分が他の国の増産分に回るとの記事があったが、これはOPECプラスの現行の各国の過去の生産量をもとに決められた生産協定の仕組みではありえない話である。今日、開かれるOPECプラスの会合で、ロシアの枠組みからの締め出し、あるいはサウジ・アラビアなどが生産協定を変更した上で増産を表明する可能性は低いと筆者は考えている。国際機関の予測する原油需要が伸び悩む中で、理解しにくい原油価格の高止まりが続くのではないだろうか。
 


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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