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レポート
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2022/06/23

レポート:ロシアなど4か国からの原油供給見通し(2022年6月23日)


ダイジェスト

・リビアの原油生産は年初と比べて80%以上減少した日量約20万バレルまで落ち込む見通し
・イランから中国向けに今月に入って前月の倍に当たる日量約100万バレルの原油輸出を確認
・ベネズエラから欧州の石油会社向けの原油輸出が承認、輸出準備中
・ロシア産原油の欧州向けの輸出の減少分は、中印などアジア向けにほぼ振り替え

概要

 原油相場は高止まりが続いており、インフレ要因となっている。アメリカのバイデン政権は4月のSPRの放出決定以降有効な対策を打ち出せていない。前日は連邦ガソリン税(アメリカには州が独自に設定しているガソリン税と連邦ガソリン税が存在する)の3カ月間の停止法案を議会に提出した。この法案はガソリンの値下がりを狙ったものだが、市場はガソリン価格の低下はガソリン需要の増加、ひいては原油需要の増加に繋がるとの見方から上昇している。今日は原油供給の点で注目されている4国の最新の状況を報告する。

リビア

 リビアの原油生産量は4月中旬以来、武装勢力や部族間の抗争により港や石油施設の閉鎖が続いている。現在、リビア南部と中部を中心に石油関連施設の殆どが停止しており、今週の原油生産量は日量20万バレルと今年前半の生産量約120万バレルの6分の1以下に落ち込むとリビアの国営石油会社が発表している。

イラン

 イランの原油輸出量は6月に入り急増している。調査会社のデータによると5月の平均原油輸出量は日量46万バレルだったが、6月1日から19日の平均は日量96万バレルに達した。欧米との核合意をめぐる欧米との外交交渉は全く行き詰まっているが、イランは原油市場への復帰を進めており、今後も原油輸出が増加する可能性がある。原油の輸出先は中国が多く、先週中国では公式に約200万バレルのイラン産原油の輸入が確認された。公式な輸入以外にも中国の独立系民間製油所によりイラン産を別の産油国(例えばマレーシア)と偽った産地偽装原油が行われている。中国の原油輸入統計上はイラン産原油は全輸入量の約7%しかないが、実態ではより多くの部分をイラン産が占めているとされている。

ベネズエラ

 反米のチャベス前政権以来、アメリカの経済制裁が続いており、中国向けなどを除きほとんど輸出できない状態が続いていた。今年5月になってアメリカ国務省はロシア産原油の輸入禁止による欧州の原油高とベネズエラの国営石油会社の国際債務問題を同時に解決するため、欧州の石油会社(イタリアのEniとスペインのRepsol)に対し、ベネズエラ産原油の調達の再開を承認した。現在、イタリアとスペイン向けに65万バレルの原油が積み出し準備中で約2年ぶりに欧州向けに原油が輸出される見込み。また、2隻目のタンカーが手配中で約200万バレルの原油が欧州向けに輸出される見通し。

ロシア

 欧米向けと日韓向けの原油輸出はほとんど停止したが、中国インド向けの原油輸出量が急増している。5月の中国のロシア産原油の輸入量は前年比で55%増加した日量約200万バレルに達した。これにより中国の原油輸入先としてロシアがサウジ・アラビアを抜きトップに立った。加えてこれまでほとんどロシア産原油を輸入していなかったインド向けの原油輸出が、5月には日量約85万バレルに達した。欧州のロシア産原油の禁輸により5月までに約55万バレルの欧州向け輸出が減少したが、ほぼ同量がアジア向けに振り替えられている。中でも中印両国向けには約300万バレルのロシア産原油が輸出されている。両国にとってブレント原油より大きく値引きされているとされるロシア産原油は欧米の追加制裁(船舶保険)を加味しても魅力的となっている。また、ロシア産の石油製品の禁輸により燃料が高騰する欧州向けに中国からロシア産原油が精製された石油製品が輸出される事態となっている。

今後の見通し

 現状の原油需給を考えると、ロシア産原油に対する制裁分は大きかったものの、ほぼすべてがアジア向けに振り替えられたことが確認されており、欧州など局地的なものを除いて当初予想されていたロシア産原油の流通急減は見られていない。更に、原油価格が高騰する欧州向けにベネズエラからの原油輸出の再開が決定し第1便が準備されている。他にも中国向けにイランからの原油輸出が増加している。イラン核協議の進展がほとんど絶望的となったものの、今後も輸出増加が続くと考えられている。一方で、国内の混乱によりリビアからの原油輸出が今週約8割減少するというアクシデントがあったものの、世界市場に対する原油供給はロシアのウクライナ侵攻前と比べてむしろ増えており需給は緩んでいると考えられる。以上のことから現在の原油価格は需給を正しく反映していないのは確実で、今後の原油相場の値動きに注意したい。
 


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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