会員限定ページへログイン

IDとパスワードは半角英数字で入力してください。
最新情報をすぐに閲覧したい方は有料メルマガ登録(まぐまぐ!)をしてください。

  • ◆ ID
  • ◆ パスワード

レポート
column

2022/06/24

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年6月24日)

ダイジェスト

・6月23日に発表された天然ガス在庫は各社予想61Bcf増に対して74Bcf増と在庫増加が予想を大幅に上回る
・6月17日時点の天然ガス在庫量は2169Bcf(有効容量の50.9%)、在庫量は平年(5年間の平均2500Bcf)に比べて331Bcf少なく、前年(2474Bcf)と比べると305Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は74Bcf(平年同時期は82Bcf増、前年同時期は49Bcf増)
・6月16日から6月22日までの天然ガス供給量は101.2Bcfと前週を0.4Bcf下回る
・6月16日から6月22日までの天然ガス需要量は91.2Bcfと前週を0.1Bcf上回る
・アメリカ南部を中心に熱波が到来し、冷房用需要が増加
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地で爆発があり日量約2.0Bcfの輸出が停止中、復旧まで90日程度を要する見通しで、長期にわたりアメリカのLNG輸出が減少
・LNG輸出基地の復旧の長期化確定で東アジアと欧州で天然ガス価格が急上昇

週間天然ガス在庫総評

 6月23日にEIAが発表した6月17日時点の週間天然ガス在庫量は2169Bcfと前週比で74Bcfの増加となった。在庫変動幅は各社予想の61Bcf増を上回った。木曜日の天然ガス相場はアメリカ南部への熱波の到来しており気温が上昇により冷房用需要が増加していることが支援材料となったが、天然ガスの在庫増加が予想を大幅に上回ったことから急落した。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちだった。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から9.20ドル上昇した32.29ドル(前年11.88ドル)、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約9.38ドル上昇した37.07ドル(前年10.52ドル)となった。アメリカのFree Port LNG輸出基地の事故で長期間にわたってアメリカからのLNG供給が減少するとの見方から急上昇している。事故前のFree Port基地はおよそ70%の貨物を欧州向けに輸出していた。加えて、既に今年の冬に向けて東アジアと欧州で天然ガスの争奪戦が始まっており、国際価格は高止まりしそうだ。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2169Bcfで平年(5年間の平均2500Bcf、図1黒線)に比べ331Bcf少なく、前年(2474Bcf)に比べて305Bcf少なくなっている。在庫増加は74Bcfで平年同時期は82Bcf増、前年同時期は49Bcf増のどちらよりも多かった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週も全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の46.2%、有効容量(4261Bcf)の50.9%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は6月16日から6月22日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から横ばいの95.5Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.5Bcf減少した5.6Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.4Bcf減少した101.2Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は6月16日から6月22日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は91.2Bcfと前週比で0.1Bcfの増加となった。内国内需要は68.2Bcfと前週から0.4Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から0.1Bcf増加した38.3Bcf、工業需要が前週から0.1Bcf減少した21.0Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.3Bcf増加した8.9Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(8.8Bcf)とほぼ同じだった。一方で冷房用需要(発電用需要)は増加し前年同時期の需要(36.4Bcf)を上回った。アメリカの南部に熱波が到来して冷房用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.3Bcf減少した5.8Bcf、LNG輸出向け需要は前週から横ばいの10.7Bcfだった。今週のLNG輸出量は68Bcfと前週の77Bcfから9Bcfの減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月10日時点 5月17日時点 5月24日時点 5月31日時点 6月7日時点 6月14日時点 
原油用563基576基574基574基580基584基
天然ガス用149基150基151基151基151基154基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の6月17日発表のレポート(6月14日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週を4基上回る584基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から3基上回る154基だった。リグの総数は740基となった。  
 EIAはアメリカの主要な天然ガス産地であるMarcellusとHaynesvilleのガス井の生産性がそれぞれ189%、165%増加したと報告している。これによりリグ当たりの生産量も増加していると言える。

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は6月14日以降は概ね日量10Bcf台後半から11Bcf台前半で推移している。6月8日にテキサス州にあるアメリカ最大級のFree Port LNG輸出基地が爆発事故で操業停止しており、約2.0Bcfの輸出が停止している。2.0Bcfの内、2022年の輸出内訳は71%が欧州向け、17%が東アジア向けとなっている。設備の復旧には当初発表の3週間ではなく90日程度かかる見通し。EIAによると6月16日から6月22日の間に18隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し68BcfのLNGが輸出された。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(7月1日から7月7日)までの気温予報となる。太平洋岸やメキシコ国境沿い、五大湖周辺で平年以下の気温、それ以外の地域では平年以上の気温となる見通し。図4は6月16日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。カリフォルニア州やアメリカ北西部から五大湖周辺にかけての地域で平年並みの気温、それ以外の地域はアメリカ西部やメキシコ湾岸、大西洋岸を中心に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 6月23日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによると、6月17日時点の天然ガス在庫は前週比で74Bcfの増加となり各社の事前予想61Bcfを大幅に上回った。木曜日の天然ガス相場は天然ガス在庫の大幅増加を材料に大きく下落して11週間ぶりの安値で引けた。在庫の増加要因はLNG輸出基地の1か所が爆発事故により停止していることが要因となっている。天然ガスの全米の在庫量は2169Bcfで平年(5年間の平均2500cf、図1黒線)に比べて331Bcf少なく、前年(2474Bcf)に比べて305Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より横ばいの日量95.5Bcf、カナダからの輸入は前週より0.5Bcf減少した5.6Bcfとなった。これにより供給全体は前週から0.4Bcf減少した101.2Bcfとなった。一方で、需要面ではアメリカの国内需要が前週から0.4Bcf増加した日量68.2Bcfとなった。LNG輸出は前週から横ばいの日量10.7Bcfだった。LNGの輸出量は6月23日までの1週間の合計で68Bcfだった。
 テキサス州のFree PortのLNG基地の復旧には時間が掛かるため、アメリカの天然ガス在庫の増加ペースが上がっている。この状態はしばらく続くためアメリカ国内の天然ガス価格は落ち着くと考えている。また、今週発表の天気予報によればアメリカ南部以外の地域の気温上昇が一段落している。現在発生はしていないがメキシコ湾のハリケーン情報など天気予報には引き続き注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

Mail Magazine

有料メルマガ登録

有料メルマガ登録をしていただいた方は
鍵マークのついた記事もご購読いただけます。