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レポート
column

2022/06/29

レポート:今後の原油需給の行方(2022年6月29日)


ダイジェスト

・リビアの原油生産は日量80万バレルまで回復したものの再度の輸出停止の可能性
・イランと米国の間の間接協議がカタールのドーハで再開
・エクアドルで先住民系市民の道路封鎖により原油生産がストップ
・UAEは自国とサウジ・アラビアの原油増産のほとんど余力がない旨の書簡を仏マクロン大統領へ送付
・ロシアの原油輸出はメンテナンスにより前週一時的に減少、アジア向けに加えてトルコやイタリアなど地中海向けの輸出が増加
・中国は新型コロナウイルス規制を緩和、原油需要の回復の見方
・G7はロシアに対する原油販売価格上限を設定へ

概要

 株価の下落などで原油価格は1バレル当たり100ドルを割り込むかと考えていたが、買い直されたことで高止まりの状況が続いている。今日は原油供給の点から最新の状況を報告する。

リビア

 リビアの原油生産量は4月中旬以来、石油輸出港や油田などの施設の閉鎖が続いている。現在、原油生産量は日量80万バレルと今年前半の生産量約120万バレルの3分の2まで回復している。しかし、国営石油会社によれば数日以内に輸出停止の不可抗力を宣言する可能性があると発表している。

イラン

 イランの原油輸出量は中国向けの需要を満たすべく増加している。昨日28日からカタールを仲介とし、協議場所をウィーンからカタールのドーハへ移した上でアメリカとイランの間の関節協議が再開されている。背景には原油高騰対策として原油増産を図る米国が、イランとの関係改善をカードにサウジ・アラビアに対して増産圧力をかける意図があると報じられている。協議が進展するかは米国がどこまで妥協できるかに掛かっていると考えられるが、依然として不透明となっている。

ベネズエラ

 続報は特になし。

エクアドル

 エクアドルは日量52万バレルを生産する中南米の産油国となっている。現在、エクアドル東部の油田につながる道路が物価高の是正や油田の利益の分配などを求める先住民系市民による反政府デモで閉鎖されている。封鎖により原油生産に必要な発電用ディーゼル燃料や資材の搬入が止まり、エクアドル政府によれば今日にも原油生産がストップする可能性あると発表されている。

ロシア

 前週、ロシアの原油輸出が減少した。これは港湾やパイプラインなど輸出関連インフラのメンテナンスの可能性が高く、今週には回復する見込み。加えて、ロシア産原油は量が6割程度に減少しているものの、依然として日量35万バレル程が北海沿岸のEUの港へむけて輸出されている。加えてトルコやイタリアなど地中海向けの輸出量が増加しており、インドや中国などのアジア向けへの輸出先シフトと合わせてロシアの原油輸出に大きな影響はないように見える。

UAEとサウジ・アラビア

 フランスのマクロン大統領は、UAEの首長シェイク・モハメド・ビン・ザイードから、UAEの生産余力はほぼなく、サウジ・アラビアも日量15万バレルしかないと伝えられたとG7の場で発表した。生産余力とはOPECプラスによる生産割当分を指し、元来の生産能力ではないとの報道もあるが両国が実際にどれだけの生産能力を残しているかは判然としていない。7月にバイデン米大統領がサウジ・アラビアを訪問し増産を働きかけるが、成果は不透明となっている。

OPECプラスの動向

 OPECプラスは6月30日に会合を行う。この場で8月の増産量が決定され、予定通りなら2020年4月以来行われていた減産プログラムが終了する見込み。減産の次にどのような生産計画を発表するかに注目が集まっているが、生産目標を達成できない月が続く中で既に加盟国23か国の多くには生産余力はないのは間違いない。

G7による対ロシア政策

 G7の首脳と政府関係者は、ロシア産原油の販売価格に価格上限を設ける可能性について議論しているが、現在のところ合意に至っていない。

今後の見通し

 ロシア産原油はディスカウントにより欧州からアジア・地中海へ供給先のシフトが確認されており、当初予想より生産の落ち込みは少なくなったと考えられる。ただし、依然としてロシアの原油生産の減少分をOPECプラスなど他の産油国の増産が穴埋めできないとの可能性をIEAなどが指摘しており、相場の支援材料となっている。そんな中、ロシア以外の産油国であるエクアドルやリビアでの原油生産の混乱が発生しており供給不安が広がっている。加えて中国が新型コロナウイルス対策の緩和を発表したことで、今後の原油需要が回復に向かうのと見方が出てきており、需給がタイトとなることで原油相場の高止まりに繋がっていると考えられる。
 抜本的に原油需給への懸念をなくすにはイランやベネズエラの市場復帰、サウジ・アラビア野大幅な増産などで市場に供給される原油を増加させる必要があるが、現時点ではいずれの選択肢も実現可能性が不透明なままとなっている。続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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