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レポート
column

2022/06/03

レポート:EIA週間原油統計(2022年6月3日)

ダイジェスト

・原油在庫は506万バレル減少。要因は輸入量の増加と戦略備蓄の放出量の増加
 原油生産量は日量1190万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が621万バレル、輸出量が399万バレル。輸入量、輸出量ともに減少で222万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は92.6%で前週比で0.6%低下、原油処理量は23万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は増加側で調整量は40万バレル
・ガソリン在庫は71万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少が続く
 ガソリン生産量は54万バレル増加、輸入量は5万バレル増加
 ガソリン出荷量は18万バレル増加、輸出量は29万バレル増加
・留出油在庫は52万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫減少に転じる
 留出油の生産量は16万バレル減少、輸入量は18万バレル増加
 留出油の出荷量は10万バレル増加、輸出量は23万バレルの増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は16億8130万バレルで前週より480万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は25万バレル増加した2500万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は32.9%
・石油製品の出荷量は17万バレル減少した日量1951万バレルとなり、好調さの目安である日量2000万バレルを10週連続で下回る
・燃料卸売価格の発表ではガソリンが約8セントの上昇、ディーゼル燃料が約2セントの上昇、小売価格ではガソリン価格が約3~5セントの上昇、ディーゼル燃料は約3セントの上昇
・欧州のロシア産原油の禁輸提案はパイプラインによる輸入を例外として内陸加盟国の猛反対を押し切り成立
・OPECプラスは7月から9月の増産分計129.6万バレルを7月と8月の2カ月に再配分し64.8万バレルの増産を実施で合意、ロシアの締め出しは議論されず

EIA週間統計の総評

 月曜日がメモリアルデーの祝日のため通常より1日遅れて日本時間6月2日24時にEIAから週間在庫統計が発表された。原油在庫は506万バレルの減少だった。製油所の稼働率は前週比で0.6%低下した92.6%、原油消費量は前週比で23万バレル減少した1603万バレルとなった。前日の原油相場はOPECプラスの増産幅が増加したが、増産目標の達成可能性に疑問符が付いたことを材料に上昇した。石油製品ではガソリン在庫が71万バレルの減少、留出油在庫は52万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は25万バレル増加した2500万バレルとなった。最新データによると米国の戦略備蓄は5億2600万バレルとなった。
 原油生産は日量1190万バレルと前週から横ばい、原油輸入量は前週比で26万バレル減少した日量621万バレル、輸出量は日量35万バレル増加した日量399万バレルとなり輸出入全体としては222万バレルの輸入超過となっている。ガソリン高に対応するため戦略備蓄(SPR)が日量77万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は16億8130万バレルと前週比で480万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は506万バレル減少した4億1470万バレル、ガソリン在庫は71万バレル減少した2億1900万バレル、留出油在庫が52万バレル増加した1億640万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は25万バレル増加した2500万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)120減506減101減339減848増
ガソリン(万バレル)30減71減48減477減360減
留出油(万バレル)90増52減165増123増91減
クッシング在庫(万バレル)25増106減240減58減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫と過去5年間の在庫レンジの下限以下となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1190万バレルと前週から横ばい。原油輸入量は前週比で26万バレル減少した日量621万バレル、輸出量は前週比で35万バレル増加した399万バレルで222万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)の辻褄を合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から81万バレル減少した40万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日) 119011901190118011851080
戦略備蓄増加(万バレル/日)-77-85-71-99-83-9
原油輸入(万バレル/日) 621648656626638563
原油輸出(万バレル/日) 399434352287368254
Adjustment(万バレル/日)40122-21715389
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している。千バレル以下は切り捨て

 アメリカの原油輸入国上位10か国の国別内訳と前週からの輸入量の増減は表3の通り。今週はイラク、ブラジル、ナイジェリア、トリニダード・トバゴからの輸入が増加した。一方で、カナダ、メキシコ、サウジ・アラビア、エクアドルからの輸入量が減少した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ344349-5
メキシコ7487-13
サウジ・アラビア3458-24
コロンビア2121+-0
イラク3228+4
エクアドル425-21
ブラジル1713+4
ロシア00+-0
ナイジェリア193+16
トリニダード・トバゴ70+7
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.6%低下した92.6%となり、製油所への原油投入量は前週比で23万バレル減少した日量1603万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週から54万バレル増加した日量996万バレル、ジェット燃料生産は前週から横ばいの日量171万バレル、留出油生産は前週から16万バレル減少した日量498万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)160316261593156915981559
製油所稼働率(%)92.693.291.890.091.988.7
ガソリン生産(万バレル/日)  996942957971967956
ガソリン輸入(万バレル/日) 898487698293
ジェット燃料生産(万バレル/日)171171178172173127
ジェット燃料輸入(万バレル/日)2587141326
留出油生産(万バレル/日)   498514488488497480
留出油輸入(万バレル/日)  26811121451
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から18万バレル増加した日量897万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から18万バレル増加した日量171万バレル、留出油の出荷量は前週から10万バレル増加した日量396万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)897879902870887914
ガソリン輸出(万バレル/日)1067795949356
ジェット燃料出荷(万バレル/日) 171153162144157144
ジェット燃料輸出(万バレル/日)17152212175
留出油出荷(万バレル/日) 396386381377385381
留出油輸出(万バレル/日) 13511210013512097
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
*千バレル以下は切り捨て
石油製品需給(日量)

 原油の需要面では製油所稼働率が前週から0.6%低下した92.6%となり、原油消費量は前週より23万バレル減少した日量1603万バレルだった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で54万バレル増加した日量996万バレル、輸入量は5万バレル増加した日量89万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週比で18万バレル増加した日量879万バレル、輸出量は前週から29万バレル増加した日量106万バレルだった。ガソリン在庫は生産量が増加したものの出荷量と輸出量の増加で71万バレル減と在庫減少幅が拡大している。
 留出油は生産量が前週から16万バレル減少した日量498万バレル、輸入量は前週から18万バレル増加した日量26万バレルだった。留出油の出荷量は前週から10万バレル増加した日量396万バレル、輸出量は前週から23万バレル増加した日量135万バレルとなった。出荷量と輸出量の増加の影響で在庫減少幅が拡大し52万バレルの在庫減少に転じた。
 ジェット燃料生産量は前週から横ばいの171万バレル、出荷量は前週から18万バレル増加した171万バレルだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で17万バレル減少した日量1951万バレルとなったが、石油製品消費の好調さの目安の一つとなる日量2000万バレルを10週連続で下回った。今週は原油在庫が506万バレル減少、ガソリン在庫が71万バレルの減少、留出油在庫が52万バレルの減少となった。ガソリンや留出油だけでなく、灯油や重油、エタノールなど全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で480万バレル減少した16億8130万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。ガソリン卸売価格は約8セントの上昇、ディーゼル燃料の卸売価格は約2セントの上昇、原油価格は2.33ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
5/275/205/135/64/29前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.1023.9183.9883.8503.4332.110
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
4.0224.0045.3394.7684.6242.040
原油
(ドル/バレル)
114.96112.63110.52109.72104.5966.31
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。ガソリン小売価格は前週から約3~5セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約3セントの情報だった。

小売価格5/30 5/23 5/16 5/9 5/2 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.6244.5934.4914.3284.1823.020
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
5.0835.0404.9414.7794.6573.445
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
5.3995.3465.2405.0704.9393.690
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
5.5395.5715.6135.6235.5093.253
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1190万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.6%低下した92.6%となり、原油消費量は23万バレル減少した日量1623万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量26万バレル減少した日量621万バレル、輸出量が35万バレル減少した日量399万バレルとなり、222万バレルの輸入超過となっている。原油のAdjustmentの変化で原油在庫は506万バレルの減少となった。
 ガソリンは生産量が54万バレルの増加、ガソリン輸入量は5万バレルの増加となった。一方で、ガソリン出荷量は18万バレルの増加、ガソリン輸出量は29万バレルの増加となった。ガソリン在庫は71万バレル減と出荷量と輸出量の増加で減少幅が拡大した。留出油は生産量が16万バレルの減少、輸入量は18万バレルの増加となった。一方で出荷量は10万バレルの増加、輸出量が23万バレルの増加となった。出荷量と輸出量の増加で留出油在庫は52万バレル減少と在庫減少に転じた。燃料小売価格はガソリン価格が前週から1ガロン当たり約3~5セントの上昇、ディーゼル燃料は約2セントの上昇となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量17万バレル減少した1951万バレルとなり、石油製品消費の好調さの目安である日量2000万バレルを10週間連続で下回った。ガソリンやディーゼル燃料に加えてエタノールや液化プロパンなど全ての石油製品と原油を合わせた在庫は480万バレル減少した16億8130万バレルとなった。
 今週の原油相場は欧州がロシア産の原油の輸入をパイプライン経由を除いて6カ月以内に取りやめることを決定したこと、上海のロックダウンが緩和され原油消費が伸びるとの見方を材料に週の前半上昇した。6月のOPECプラスの会合の前にロシアの枠組みからの追放やロシアの採算減少分の肩代わり増産などの情報が錯綜したが、結局のところ、OPECプラスが本来7月から9月に行う3か月分の増産分計129.6万バレルを7月と8月の2カ月で64.8万バレルずつ増産する案で決着した。これは増産に見えるが、増産対象に対象に当のロシアが15万バレルずつ含まれていること、OPECプラスの増産が最近計画通り進んでおらず、計画未達成が続いていることから大きな影響はないと考えられる。加えて、OPECプラスの増産プログラムは今回の前倒し増産により8月末で終了することになるが、次の計画は発表されておらず生産量がこれ以上増加するかは不透明となっている。生産余力があるのはサウジ・アラビアとUAE、クェートなど一部の国家に限られている。現在、原油市場から締め出されているベネズエラとイランの市場復帰、ロシアとウクライナの停戦などサプライズがなければ、しばらくは高止まりが続く可能性がある。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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