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レポート
column

2022/06/06

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年6月6日)

ダイジェスト

・6月2日に発表された天然ガス在庫は各社予想86Bcf増に対して90Bcf増と在庫増加が予想を上回る
・5月27日時点の天然ガス在庫量は1902Bcf(有効容量の44.6%)、在庫量は平年(5年間の平均2139Bcf)に比べて337Bcf少なく、前年(2199Bcf)と比べると397Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は90Bcf(平年同時期は100Bcf増、前年同時期は100Bcf増)
・5月26日から6月1日までの天然ガス供給量は100.4Bcfと前週を0.4Bcf上回る
・5月26日から6月1日までの天然ガス需要量は85.8cfと前週を2.9Bcf下回る
・天気予報が気温上昇に転じて冷房用需要が増加する見通し

週間天然ガス在庫総評

 6月2日にEIAが発表した5月27日時点の週間天然ガス在庫量は1902Bcfと前週比で90Bcfの増加となった。在庫変動幅は各社予想の86Bcf増を上回り懸念材料となった。木曜日の天然ガス相場は最新の天気予報で気温が低下し冷房用需要が減少するとの見方を材料に下落したが、金曜日には好調な輸出や気温上昇による需要増加期待を材料に買いに転じて上昇している。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格は上昇した。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約1.89ドル上昇した23.77ドル(前年10.54ドル)、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約0.59ドル下落した26.51ドル(前年9.12ドル)となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は1902Bcfで平年(5年間の平均2239Bcf、図1黒線)に比べ337Bcf少なく、前年(2299Bcf)に比べて397Bcf少なくなっている。在庫増加は90Bcfで平年同時期は100Bcf増、前年同時期は100Bcf増のどちらよりも少なかった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週も全ての地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の40.5%、有効容量(4261Bcf)の44.6%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は5月26日から6月1日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から0.5Bcf増加した95.5Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.1Bcf減少した4.8Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.4Bcf増加した100.4Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は5月26日から6月1日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は85.8Bcfと前週比で2.9Bcfの減少となった。内国内需要は61.2Bcfと前週から2.7Bcfの減少だった。内訳は発電需要が前週から0.1Bcf減少した30.5Bcf、工業需要が前週から0.4Bcf減少した21.4Bcf、住宅・商業用需要が前週から2.3Bcf増加した9.2Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(12.1Bcf)より少なかった。冷房用需要(発電用需要)は0.1Bcfの減少とほぼ横ばいだった。西部や南部では気温が横ばいで冷房用需要が伸び悩み、北東部や中西部では気温が穏やかになったことで暖房用需要が減少した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から横ばいの5.6Bcf、LNG輸出向け需要は12.8Bcfと前週から0.1Bcfの減少だった。今週のLNG輸出量は85Bcfと前週の90Bcfから5Bcfの減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

4月26日時点 5月3日時点 5月10日時点 5月17日時点 5月24日時点 5月31日時点 
原油用552基557基563基576基574基574基
天然ガス用144基146基149基150基151基151基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の6月4日発表のレポート(5月31日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週を13基横ばいの574基、天然ガス採掘用リグ稼働数も前週から横ばいの150基だった。リグの総数は727基となった。

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は6月3日までの10日間概ね日量12Bcf台から13Bcf台前半で推移している。EIAによると5月26日から6月1日の間に23隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し85BcfのLNGが輸出された。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(6月13日から6月19日)までの気温予報となる。アメリカ北西部で平年以下の気温、五大湖周辺からアメリカ東部では平年並みの気温となるが、それ以外の地域では広い範囲で平年以上の気温となる見通し。図4は5月31日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。アメリカ北西部から五大湖周辺にかけて平年以下の気温、カリフォルニアからメキシコ湾岸、大西洋岸では平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 6月2日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによれば、5月27日時点の天然ガス在庫は前週比で90Bcfの増加となり各社の事前予想である86Bcf増を上回る弱気な結果で懸念材料となった。木曜日の天然ガス相場は天気予報で今後の気温が低下し冷房需要が減少すると見込まれたことを材料に下落している。翌金曜日は好調な輸出と天気予報が気温上昇に転じて今後の冷房用需要が高まるとの見方から上昇した。天然ガスの全米の在庫量は1902Bcfで平年(5年間の平均2239cf、図1黒線)に比べて337Bcf少なく、前年(2299Bcf)に比べて397Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.5Bcf増加した日量95.5Bcf、カナダからの輸入は前週より0.1Bcf減少した4.8Bcfとなった。これにより供給全体は前週より0.4Bcf増加した100.4Bcfとなった。需要面ではアメリカの国内需要が前週から2.7Bcf減少した日量61.2Bcfとなった。LNG輸出は前週より0.1Bcf減少した日量12.8Bcfだった。LNGの輸出量は6月2日までの1週間の合計で85Bcfだった。
 天然ガス相場は欧州向け需要が下値を支える状況が続いているが、値動きが激しくなっている。アメリカ国内需要では北西部からアメリカ東部で気温低下を示していた天気予報が気温上昇に転じた。南部の高温は続いており、気温上昇による冷房用需要の増加が見込まれている。天気予報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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