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レポート
column

2022/06/08

レポート:6月のEIAエネルギー短観(2022年6月8日)


ダイジェスト

・EUのロシア産原油禁輸により原油相場は上昇傾向
・2022年の原油需要の見通しは日量9960万バレルと前年同時期比で230万バレル増加、前回の予想からほぼ横ばい
・2022年第1四半期に原油需給が均衡。第2四半期から第3四半期は需給が緩み、第4四半期以降も在庫が積みあがると予想
・WTI予想原油価格は2022年第2四半期に108.11ドル(前回101.76ドル)で大幅に引き上げ、第3四半期の予想は106.13ドルで6.30ドルの引き上げ。第4四半期も100.30ドル(前回96.99ドル)と予想価格が引き上げられた。一方で、2023年には93.24ドル(前回93.24ドル)と予想が据え置かれた。

概要

 今日は6月7日にEIAから発表された5月のエネルギー短観について解説する。

図1 EIAによる原油需給予想(出展元 EIA)
上段: 世界の原油生産(production)と原油消費(consumption)
下段: 原油在庫の増減

 図1は上段が世界の原油生産量(production)と原油消費量(consumption)、下段が生産と消費の差、つまり原油在庫の増減を示している。
 2022年第1四半期の原油と液体燃料の消費量(9883万バレル)は生産量(9887万バレル)と均衡している。第2四半期には生産量が消費量を日量約40万バレル(前回60万バレル)上回り在庫が日量40万バレル増加するが、以降は在庫増加幅は拡大し2023年末まで在庫増減が日量50万バレル増を上回り在庫が積みあがる見通しに改められた。
 なお、この予想ではイラン産原油やベネズエラ産原油の市場復帰がないことを前提としている。

原油生産量

 最新のデータによると米国の原油生産量は2021年第4四半期に日量1163万バレル、2022年第1四半期には日量1145万バレル(前回より3万バレル引き上げ)だった。2022年第2四半期には日量1171万バレル(7万バレル引き下げ)、2022年の平均生産量は日量1192万バレルで前回の短観より1万バレルの引き上げとなった。一方、2023年は日量1297万バレルで前回より12万バレル引き上げられた。2年連続で史上最高生産量を更新するとの予想は据え置かれた。
 2022年の非OPEC産油国の原油と液体燃料の生産量は平均日量6757万バレルと2021年に比べて300万バレルあまり増加となり、前月予想より約210万バレル引き下げられた。2023年には日量6777万バレルと2021年比で約320万バレルの増加を見込んでいる。こちらも前月より約120万バレルの引き上げとなった。内訳は、2021年比でアメリカが2023年までに約280万バレル増加(前回から生産量を20万バレル引き上げ)と半分以上を占め、ノルウェーが30万バレル(据え置き)とブラジルが40万バレル(据え置き)、カナダが35万バレル(据え置き)、カザフスタンが10万バレル(据え置き)増産する。一方で、ロシアが130万バレル(30万バレル引き上げ)の減産予想となっている。
 OPECの原油生産量は2021年に平均日量3166万バレルだったが、2022年に平均日量3429万バレル(15万バレル引き下げ)、2023年に平均日量3495万バレル(10万バレル引き下げ)となる見通し。
 以上から2021年の世界の原油供給量である平均日量9557万バレルに対して、2022年に1億バレル(10万バレル引き上げ)まで増加し、2023年には平均日量1億210万バレル(50万バレル引き上げ)となる見通し。

原油消費量

 2022年の世界の原油消費量は2021年に比べて230万バレル増加した平均日量9963万バレルと前回より横ばいだった。一方で、2023年は2021年から190万バレル増加した平均日量1億132万バレル(前月より20万バレル引き下げ)と予想している。2019年に記録した最大消費量平均日量1億30万バレルを上回るのは2023年となる見通しは変わらない。
 短期的には2022年第1四半期の原油消費量は日量9887万バレル(4万バレル引き上げ)で需給はほぼ均衡している。第2四半期は日量9877万バレル(50万バレル引き下げ)となる見通しで、第2四半期には約45万バレル(15万バレル引き下げ)の在庫積み上げ、第3四半期には原油消費量が1億12万バレルとなり約70万バレルの在庫積み上げとなる見通し。

原油価格 
図2 原油価格の予想(出展 EIA)
黒線:これまでの原油価格推移、青線:今後の価格予想

 図2はEIAによるWTI原油の価格予想となる。2022年第1四半期は95.18ドルだった。EIAの予想する2022年第2四半期のWTI価格は108.11ドルで前回予想の101.76ドルから6.40ドルの引き上げとなった。第3四半期の予想価格は106.13ドル(前回98.83ドル)と6.30ドル、第4四半期は100.30ドル(前回96.99ドル)と3.30ドル予想価格が引き上げられている。2023年の予想平均価格は93.24ドル(前回93.24ドル)で横ばいとなった。これはEUのロシア産原油の禁輸で一時的に価格が上昇するため2022年の予想価格が引き上げられた。2023年にはロシアの生産量が前回予想より増加するなど、増産が進み世界の原油需給が2022年より緩むことから予想価格が据え置かれた。

まとめ

 今回のEIAの短観もロシアに対する欧州の制裁措置の実施、新型コロナウイルス対策として行われていた中国のロックダウン緩和やアメリカの増産などの不確定要素が強くなっている。2022年第4四半期までの予想価格は引き上げられた。一方で2023年の価格予想は前回から据え置きとなった。アメリカの増産やロシア産原油の減産幅予想が引き下げられ原油需給が2022年より緩むことを反映している。
 欧州連合によるロシア産原油の全面禁輸の実施が決まったことで、ウクライナでの戦争による影響は今後も続くと考えている。また中国で新型コロナウイルス対策のために行われていた大都市のロックダウンが緩和したことで経済が回復し原油需要が伸びるとの見方が支援材料となっている。また、イランやベネズエラの国際原油市場復帰は依然として不透明で、中長期的には需給がタイトとなり価格は高止まりすると考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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