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レポート
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2022/07/15

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年7月15日)

ダイジェスト

・7月14日に発表された天然ガス在庫は各社予想58Bcf増に対して58Bcf増と在庫増加は予想と一致
・7月8日時点の天然ガス在庫量は2369Bcf(有効容量の55.6%)、在庫量は平年(5年間の平均2633Bcf)に比べて319Bcf少なく、前年(2572Bcf)と比べると252Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は58Bcf(平年同時期は55Bcf増、前年同時期は49Bcf増)
・7月7日から7月13日までの天然ガス供給量は102.0Bcfと前週を0.1Bcf下回る
・7月7日から7月13日までの天然ガス需要量は95.5Bcfと前週を1.8Bcf上回る
・アメリカ南部を中心に各地で気温が上昇したことで冷房用需要が増加
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地の停止による日量約2.0Bcfの輸出量低下が依然継続中、一部の機能回復は10月との観測や10月より遅れるとの観測が入り乱れる
・ルイジアナ州Calcasieu PassのLNG基地で9ブロック目の試運転が始まる

週間天然ガス在庫総評

 7月14日にEIAが発表した7月8日時点の週間天然ガス在庫量は2369Bcfと前週比で58Bcfの増加となった。在庫変動幅が各社予想の58Bcf増と一致したものの、前年同時期を大きく上回ったことから木曜日の天然ガス相場は下落した。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格はまちまちだった。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約0.70ドル上昇した39.13ドル、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約3.89ドル上昇した51.88ドルとなった。ノルドストリームのメンテナンスとアメリカからのLNG供給が減少していることを材料に欧州では上昇が続いている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2369Bcfで平年(5年間の平均2688Bcf、図1黒線)に比べ319Bcf少なく、前年(2621Bcf)に比べて252Bcf少なくなっている。在庫増加は58Bcfで平年同時期は55Bcf増、前年同時期は49Bcf増と比べて多かった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。メキシコ湾岸を除いた地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の50.5%、有効容量(4261Bcf)の55.6%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は7月7日から7月13日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から0.5Bcf減少した96.0Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.4Bcf増加した5.9Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.1Bcf減少した102.0Bcfとなった。アメリカ国内の生産量の減少をカナダからの輸入が補った。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は7月7日から7月13日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は95.5Bcfと前週比で1.8Bcfの増加となった。内国内需要は71.8cfと前週から1.7Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から2.0Bcf増加した41.7Bcf、工業需要が前週から横ばいの20.9Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.1Bcf減少した9.3Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(8.3Bcf)より多かった。一方で冷房用需要(発電用需要)は前週より増加して前年同時期の需要(39.2Bcf)を上回った。テキサス州などアメリカ南部で気温が上昇して冷房用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.1Bcf増加した5.9Bcf、LNG輸出向け需要は前週から0.7Bcf増加した11.2Bcfだった。今週のLNG輸出量は84Bcfと前週の71Bcfから13Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月31日時点 6月7日時点 6月14日時点 6月21日時点 6月28日時点 7月5日時点 
原油用574基580基584基594基595基597基
天然ガス用151基151基154基157基153基153基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の7月8日発表のレポート(7月5日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週を2基上回る597基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から横ばいの153基だった。リグの総数は754基となった。  

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は7月5日以降は日量11Bcf台前半で安定して推移している。EIAによると7月7日から7月13日の間に23隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し84BcfのLNGが輸出された。Cacasieu PassのLNG輸出基地で段階的に行われてきた全9ブロックの試運転のうち最後のブロックの試運転の認可が下りた。このブロックの試運転が終了すれば、Cacasieu PassのLNG輸出基地はフル操業が可能になる。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(7月22日から7月28日)までの気温予報となる。メキシコ国境沿いの一部の地域で平年並みの気温となる以外は全国的に平年以上の気温となる見通し。図4は6月30日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。カリフォルニア州やアメリカ北西部、五大湖周辺で平年並みの気温、それ以外の地域はアメリカ西部やメキシコ湾岸、大西洋岸を中心に平年以上の気温となる見通し。

 図5はNOAAが発表している北大西洋のハリケーン予報となる。現在のところハリケーンもハリケーンの卵(図中X印)も発生していない。

図5 北大西洋のハリケーン予報(出展元 NOAA)

まとめ

 7月14日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによると、7月8日時点の天然ガス在庫は前週比で58Bcfの増加となり各社の事前予想と一致した。木曜日の天然ガス相場は天然ガス在庫の増加幅が例年より多かったことを材料に下落して引けた。一方でアメリカ南部を中心とした気温上昇による冷房用需要の増加が需要増加要因となっている。天然ガスの全米の在庫量は2369Bcfで平年(5年間の平均2688cf、図1黒線)に比べて319Bcf少なく、前年(2621Bcf)に比べて252Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.5Bcf減少した日量96.0Bcf、カナダからの輸入は前週から0.4Bcf増加した5.9Bcfだった。アメリカ国内の生産の減少をカナダからの輸入が補った形で、供給全体は前週から0.1Bcf減少した102.0Bcfとなった。一方で、需要面ではアメリカの国内需要が前週から1.7Bcf増加した日量71.8Bcfとなった。発電用需要の増加は前週比で2.0Bcfで、前年より2.5Bcf多くなっている。LNG輸出は前週から0.1Bcf減少した日量11.1Bcfだった。LNGの輸出量は7月14日までの1週間の合計で84Bcfだった。
 アメリカ国内の天然ガス需要の見通しに相場が左右されている。テキサス州などアメリカ南部を中心に気温が上昇しているため、冷房用需要の増加が見込まれているので天気予報に注意したい。アメリカ国外では今日7月11日にロシアから欧州へ天然ガスを供給するノルドストリームパイプラインが10日間の定期メンテナンスに入っている。今週は特に続報はなかったが、来週21日にメンテナンス終了予定日を迎えるため、続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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