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レポート
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2022/07/18

レポート:7月のEIAエネルギー短観(2022年7月18日)


ダイジェスト

・世界経済の減速による需要減少懸念から原油相場は下落
・2022年の原油需要の見通しは日量9960万バレルと前年同時期比で220万バレル増加、前回の予想から10万バレルの引き下げ
・2022年第1四半期に原油需給が均衡。第2四半期の在庫積み上げは日量約65万バレル、第3四半期の積み上げは日量160万バレルと在庫積み上げ幅が増加。2023年第1四半期以降は需給が均衡すると予想
・WTI予想原油価格は2022年第2四半期が108.93ドル(前回108.11ドル)へ0.80ドル引き上げられたが、第3四半期の予想は98.77ドル(前回106.13ドル)で7.40ドルの引き下げ。第4四半期92.30ドル(前回100.30ドル)と予想価格が大幅に引き下げられた。2023年も89.75ドル(前回93.24ドル)と予想価格が引き下げられている。

概要

 今日はEIAから前週発表された7月のエネルギー短観について解説する。

図1 EIAによる原油需給予想(出展元 EIA)
上段: 世界の原油生産(production)と原油消費(consumption)
下段: 原油在庫の増減

 図1は上段が世界の原油生産量(production)と原油消費量(consumption)、下段が生産と消費の差、つまり原油在庫の増減を示している。
 2022年第1四半期の原油と液体燃料の消費量(9893万バレル)は生産量(9887万バレル)と均衡している。第2四半期には生産量(9930万バレル)が消費量(9865万バレル)を日量約65万バレル(前回40万バレル)上回り在庫が日量65万バレル増加した。今後、第3四半期に生産量(1億153万バレル)が消費量(9995万バレル)を上回るが、2023年第1四半期には生産量(1億87万バレル)を消費量(1億147万バレル)が上回り在庫減に転じる。2023年は前回予想より在庫積み上げが減少するものの需給の均衡が続くと予想する。
 なお、この予想では引き続きイラン産原油やベネズエラ産原油の市場復帰がないことを前提としている。

原油生産量

 最新のデータによると米国の原油生産量は2021年第4四半期に日量1163万バレル、2022年第1四半期には日量1146万バレル(前回より1万バレル引き上げ)だった。2022年第2四半期には日量1175万バレル(同4万バレル引き下げ)で、第3四半期には日量1208万バレルまで増加する見込み。2022年の平均生産量は日量1191万バレルで前回の短観より1万バレルの引き下げとなった。一方、2023年は日量1277万バレルで前回より20万バレル引き下げられた。2年連続で史上最高生産量を更新するとの予想は据え置かれた。
 2022年の非OPEC産油国の原油と液体燃料の生産量は平均日量6616万バレルと2021年に比べて220万バレルの増加で、2023年には日量6671万バレルと2021年比で約270万バレルの増加を見込んでいる。内訳は、2021年比でアメリカが2023年までに約260万バレル増加(前回から生産量を20万バレル引き下げ)と半分以上を占め、ノルウェーが30万バレル(据え置き)とブラジルが40万バレル(据え置き)、カナダが35万バレル(据え置き)、カザフスタンが10万バレル(据え置き)増産する。一方で、ロシアが150万バレル(20万バレル引き上げ)の減産予想となっている。
 OPECの原油生産量は2021年に平均日量3166万バレルだったが、2022年に平均日量3418万バレル(10万バレル引き下げ)、2023年に平均日量3484万バレル(10万バレル引き下げ)となる見通し。
 以上から2021年の世界の原油供給量である平均日量9562万バレルに対して、2022年に1億33万バレル(30万バレル引き上げ)まで増加し、2023年には平均日量1億155万バレル(50万バレル引き下げ)まで増加する見通し。

原油消費量

 2022年の世界の原油消費量は2021年に比べて220万バレル増加した平均日量9958万バレルと前回より10万バレル引き下げられた。一方で、2023年は2022年から200万バレル増加した平均日量1億158万バレル(前月より25万バレル引き上げ)と予想している。2019年に記録した最大消費量平均日量1億30万バレルを2023年に上回る見通しは今月も変わらない。
 短期的には2022年第1四半期の原油消費量は日量9893万バレル(6万バレル引き上げ)で需給はほぼ均衡している。第2四半期は日量9865万バレル(12万バレル引き下げ)となる見通しで、第2四半期には約65万バレル(20万バレル引き上げ)の在庫積み上げ、第3四半期には原油消費量が日量9995万バレル(17万バレル引き下げ)となり約160万バレル(90万バレル引き上げ)の在庫積み上げとなる見通し。

原油価格 
図2 原油価格の予想(出展 EIA)
黒線:これまでの原油価格推移、青線:今後の価格予想

 図2はEIAによるWTI原油の価格予想となる。2022年第1四半期は95.18ドルだった。2022年第2四半期のWTI価格は108.93ドルで前回予想の108.11ドルから0.80ドルの引き上げとなった。第3四半期の予想価格は98.77ドル(前回106.13ドル)と7.40ドル、第4四半期は92.30ドル(前回100.30ドル)と8.00ドルそれぞれ予想価格が大幅に引き下げられている。2023年の予想平均価格は89.75ドル(前回93.24ドル)で3.50ドルの引き下げとなった。
2022年第2四半期は予想以上の原油価格の上昇となった。第3四半期以降は原油在庫の増加で価格が下落、2023年は前回予想より在庫が減少し需給が均衡するとの予想となったものの、2022年の予想価格の引き下げを受けた形で予想価格が引き下げられた。

まとめ

 今回のEIAの短観もロシアに対する欧州の制裁措置の実効性、中国における新型コロナウイルス流行の不透明感、アメリカの増産速度やOPECプラスの次の生産方針などの不確定要素が強くなっている。世界経済の減速で原油需給が緩むことから2022年から2023年の価格予想は前回から大きく引き下げとなった。
 G7によるロシア産原油に対する制裁として原油価格の上限設定するとの案が検討されている。実施されれば、案の狙い通り原油価格が下落する可能性がある。中国での新型コロナウイルスの先行きは不透明となっている。前月ロックダウンの緩和が予想されていたが、再流行への対策のため中国経済が減速し原油需要が減るとの見方が懸念材料となっている。また、世界の感染者数も増加しており世界経済の減速懸念も高まっている。一方で、イランやベネズエラの国際原油市場復帰は依然として不透明となっている。特にイランに関しては前週のバイデン米大統領のイスラエル、サウジ・アラビア訪問で、イランへの対抗でそれぞれの国が米国と協調するとの発表がされており、イランが核協議に復帰するか難しい状況になったと考えている。筆者は原油需要の減速に対してOPECプラスが対策として9月以降に減産を再開する可能性があると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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