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レポート
column

2022/07/20

レポート:OPEC諸国の生産余力と各国の状況(2022年7月20日)


ダイジェスト

・バイデン米大統領は7月16日にサウジ・アラビアを訪問し王太子と会談、原油の増産は表立って求めず
・米政府はOPECプラスが増産すると期待すると表明
・リビアの原油生産は日量65万バレルと半減
・イランの生産量はトランプ政権の制裁前に回復、原油輸出も順調に増加
・ベネズエラから欧州の石油会社向けた輸出が増加
・ロシアはUAEディルハム建てでインド向け輸出を拡大

概要

 高騰する原油がインフレ要因となっている。原油の引き下げのための備蓄放出や増産要請が行われたが、前者は一時的な下落にとどまり、後者は確約が得られない状況となっている。バイデン米大統領は7月16日にサウジ・アラビアを訪問し首脳会談とアラブ首脳会議への出席を実施した。原油の増産は表立って求めなかったと報道されたが、その後、複数の米政府高官がOPECプラスが増産を行うとの見通しを公表している。

リビア

 リビアの原油生産量は年初に一時日量120万バレルまで回復していたが、4月中旬以降に武装勢力や部族間の抗争により原油積出港や油田の物理的な閉鎖が続いていることで原油生産が減少している。6月の原油の生産量は日量65万バレルにとどまった。リビアの国営石油会社のトップが交代したが、状況が改善するかどうかは不透明。国営石油会社は7月20日以降に複数のタンカーが原油を輸出のため積みだすと発表している。

イラン

 イランの原油生産能力は日量380万バレルとなっており、原油生産はトランプ政権の制裁前の水準まで回復したと同国石油相が発表している。原油生産の増加に伴い原油輸出が増加している。変わったところではイランはベネズエラ向けの原油輸出を増加させている。7月には400万バレルの原油と200万バレルのコンデンセートがベネズエラに到着する見込み。この量は6月の4倍となる。イラン産原油はベネズエラが原油輸出を増加させるためのブレンド用や国内での原油精製に利用される見込み。

ベネズエラ

 欧州の石油会社(イタリアのEniとスペインのRepsol)に対し、ベネズエラ産原油の調達の再開を承認し、65万バレルの原油が積み出しが行われて以来、ベネズエラの原油輸出は一日当たり63万バレルで推移している。これは欧州への輸出再開前と比べて60%の増加となっている。フランスとOPECが市場復帰を働きかけている他、権益をもつ米石油会社シェブロンがロビー活動を行っていると伝えられている。

ロシア

 欧米による制裁でロシア産原油の価格が急落しており、中国はもちろんこれまで輸送コストがかさむ為にロシア産を買ってこなかったインドが積極的に購入している。中国やインド向けの原油輸出は旺盛なまま推移している。減産が起きているようには見えない。ロシアはインドに対し、UAEディルハムでの決済を求めていると報じられており、これまでドル決済から切り替えが進んでいる。また、キューバがスポット原油調達から安価なロシア産へ切り替えている。原油高に悩むと途上国を中心にキューバに続く動きが進むと考えられる。
 G7などによりロシア産原油に最高価格を設定するという試みの話し合いは続いているが、それ以上の具体的な動きはまだ見られていない。

今後の見通し

 EIAなどの報告によると世界の原油需給はおおむね均衡していると考えられている。ロシアへの経済制裁はあるものの、原油生産量が大きく落ち込まなかった。また、これまで欧州に輸出していたロシア産原油をインドや中国、既に米国の制裁を受けているキューバなどが安価なことを理由に積極的に買っている。これらの国々が購入していたロシア産以外の原油が余剰となっており、代わりに欧州へ向かっている構図が出来ている。加えて、落ち込んでいたリビアの原油生産と輸出は回復基調、イランは制裁前の生産を回復し輸出を増加、ベネズエラも輸出を増やしており、原油供給が増加してきている。
バイデン米大統領はサウジ・アラビアでの首脳会談やアラブ首脳会議で原油増産の確約を得られなかったが、政府高官や報道官が相次いでOPECプラスは増産するとの見通しを公表した。OPECプラスは8月3日に次回の会合を開き9月以降の生産について決定する。今後の原油相場の値動きに注意したい。
 


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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