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レポート
column

2022/07/22

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年7月22日)

ダイジェスト

・7月21日に発表された天然ガス在庫は各社予想44Bcf増に対して32Bcf増と在庫増加は予想を大幅に下回る
・7月15日時点の天然ガス在庫量は2401Bcf(有効容量の56.3%)、在庫量は平年(5年間の平均2729Bcf)に比べて328Bcf少なく、前年(2671Bcf)と比べると270Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は32Bcf(平年同時期は41Bcf増、前年同時期は50Bcf増)
・7月14日から7月20日までの天然ガス供給量は102.7Bcfと前週を0.7Bcf上回る
・7月14日から7月20日までの天然ガス需要量は97.7Bcfと前週を2.1Bcf上回る
・アメリカ南部を中心に各地で気温が上昇したことで冷房用需要が増加
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地の停止による日量約2.0Bcfの輸出量低下が依然継続中
・ノルドストリームのメンテナンスは予定通り終了しロシア産天然ガスの欧州向けの供給が再開
・ノルドストリームの供給量はメンテナンス前の水準を下回る。カナダより返却されたノルドストリーム用タービンはドイツ国内で足止め中

週間天然ガス在庫総評

 7月21日にEIAが発表した7月15日時点の週間天然ガス在庫量は2401Bcfと前週比で32Bcfの増加となった。在庫変動幅が各社予想の44Bcf増を大きく下回ったことから木曜日の天然ガス相場は上昇した。その後、猛暑が和らぎ冷房用需要が減少するとの見方を材料に売られてほぼ横ばいで引けた。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格は下落した。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約1.02ドル下落した38.11ドル、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約4.29ドル下落した47.59ドルとなった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2401Bcfで平年(5年間の平均2729Bcf、図1黒線)に比べ328Bcf少なく、前年(2671Bcf)に比べて270Bcf少なくなっている。在庫増加は32Bcfで平年同時期は41Bcf増、前年同時期は50Bcf増と比べて多かった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週もメキシコ湾岸を除いた地域で在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の51.2%、有効容量(4261Bcf)の56.3%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は7月14日から7月20日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から0.6Bcf増加した96.6Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.1Bcf増加した6.0Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.7Bcf増加した102.7Bcfとなった。アメリカ国内の生産量が増加した。7月18日にカナダのブリティッシュ・コロンビア州内陸部で天然ガスのパイプラインが遮断されたため、今後、アメリカ向けの天然ガスの流量が減少する見込み。理由や再開時期は不明。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は7月14日から7月20日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は97.7Bcfと前週比で2.1Bcfの増加となった。内国内需要は74.0cfと前週から2.1Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から1.7Bcf増加した43.4Bcf、工業需要が前週から0.1Bcf増加した21.0Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.3Bcf増加した9.6Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(8.1Bcf)より多かった。一方で冷房用需要(発電用需要)は前週より増加して前年同時期の需要(39.8Bcf)を上回った。テキサス州などアメリカ南部で気温が上昇して冷房用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.1Bcf増加した6.1Bcf、LNG輸出向け需要は前週から0.2Bcf減少した10.9Bcfだった。今週のLNG輸出量はタンカーの寄港数の減少で61Bcfと前週の84Bcfから23Bcfの減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

6月7日時点 6月14日時点 6月21日時点 6月28日時点 7月5日時点 7月12日時点 
原油用580基584基594基595基597基599基
天然ガス用151基154基157基153基153基153基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の7月15日発表のレポート(7月12日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週を2基上回る599基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から横ばいの153基だった。リグの総数は756基となった。  

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は7月18日までは日量11Bcf台前半で安定して推移した。7月19日に落ち込みがあったが、7月20日には11Bcf台まで回復している。EIAによると7月14日から7月20日の間に16隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し61BcfのLNGが輸出された。今週はタンカーの寄港数が少なかった。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(7月29日から8月4日)までの気温予報となる。メキシコ国境沿いの一部の地域で平年以下の気温となる以外はおおむね全国的に平年以上の気温となる見通し。図4は7月21日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。アメリカ北西部の一部、メキシコ国境沿いの一部、カナダ国境沿いの一部で平年並みの気温、それ以外の地域はアメリカ西部やメキシコ湾岸、アメリカ東部を中心に平年以上の気温となる見通し。

 図5はNOAAが発表している北大西洋のハリケーン予報となる。現在のところハリケーンもハリケーンの卵(図中X印)も発生していない。

図5 北大西洋のハリケーン予報(出展元 NOAA)

まとめ

 7月21日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによると、7月15日時点の天然ガス在庫は前週比で32Bcfの増加となり各社の事前予想44Bcf増を大きく下回った。木曜日の天然ガス相場は天然ガス在庫の増加幅が予想を大きく下回ったことを材料に上昇したが、アメリカ南部の猛暑が一段落するとの見方を材料に売られてほぼ横ばいで引けた。天然ガスの全米の在庫量は2401Bcfで平年(5年間の平均2729cf、図1黒線)に比べて328Bcf少なく、前年(2671Bcf)に比べて270Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.6Bcf増加した日量96.6Bcf、カナダからの輸入は前週から0.1Bcf増加した6.1Bcfだった。アメリカ国内の生産が増加し、供給全体は前週から0.7Bcf増加した102.7Bcfとなった。一方で、需要面ではアメリカの国内需要が前週から2.1Bcf増加した日量74.0Bcfとなった。発電用需要は前週比で1.7Bcfの増加で、前年より3.6Bcf多くなっている。LNG輸出は前週から0.2Bcf減少した日量10.9Bcfだった。LNGの輸出量は7月21日までの1週間の合計で61Bcfだった。
 アメリカではテキサス州などアメリカ南部を中心とした気温上昇が一段落するとの予報となったことで、冷房用需要も一段落するとの見方から売られている。ただし、2週間後の予報では再び広い範囲で平年以上となっているので、一時的な下げだと思われる。最新の天気予報に注意したい。アメリカ国外では今日7月21日にロシアから欧州へ天然ガスを供給するノルドストリームパイプラインのメンテナンスが予定通り終了し供給が再開された。ただし、供給量はメンテナンス前の水準を下回っている。今後はドイツで足止めされているノルドストリーム用のタービンが無事に取り付けられ供給量が回復するのかに注目したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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