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レポート
column

2022/07/29

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年7月29日)

ダイジェスト

・7月28日に発表された天然ガス在庫は各社予想18Bcf増に対して15Bcf増と在庫増加は予想を下回る
・7月22日時点の天然ガス在庫量は2416Bcf(有効容量の56.7%)、在庫量は平年(5年間の平均2761Bcf)に比べて345Bcf少なく、前年(2709Bcf)と比べると293Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は15Bcf(平年同時期は32Bcf増、前年同時期は38Bcf増)
・7月21日から7月27日までの天然ガス供給量は102.8Bcfと前週を0.1Bcf上回る
・7月21日から7月27日までの天然ガス需要量は97.5Bcfと前週を0.3Bcf下回る
・アメリカ南部を中心に各地で気温が上昇したことで冷房用需要が増加
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地の停止による日量約2.0Bcfの輸出量低下は継続中。操業再開は10月上旬の予定
・ノルドストリームの供給量は別なタービンがメンテナンスに入ったため減少。カナダより返却されたノルドストリーム用タービンはドイツ国内で足止め中
・アメリカは世界最大の天然ガス(LNG)輸出国に

週間天然ガス在庫総評

 7月28日にEIAが発表した7月22日時点の週間天然ガス在庫量は2416Bcfと前週比で15Bcfの増加となった。在庫変動幅が各社予想の18Bcf増を下回ったことから発表直後は上昇したが、木曜日の天然ガス相場は8月の気温が当初予報より低下となったことやアメリカの天然ガス生産量の増加を材料に大幅下落となった。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格は上昇となった。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約1.85ドル上昇した39.96ドル、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約6.04ドル上昇した53.64ドルとなった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2416Bcfで平年(5年間の平均2761Bcf、図1黒線)に比べ345Bcf少なく、前年(2709Bcf)に比べて293Bcf少なくなっている。在庫増加は15Bcfで平年同時期は32Bcf増、前年同時期は38Bcf増と比べてかなり少ない。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ南部で在庫減少、太平洋地域と山岳地域では在庫均衡、東部や中西部では在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の51.5%、有効容量(4261Bcf)の56.7%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は7月22日から7月27日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガスの生産は前週から0.1Bcf増加した96.7Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から横ばいの6.0Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.1Bcf増加した102.8Bcfとなった。アメリカ国内の生産量が増加した。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は7月22日から7月27日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は97.5Bcfと前週比で0.3Bcfの減少となった。内国内需要は74.1Bcfと前週から0.1Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から0.1Bcf減少した43.4Bcf、工業需要が前週から横ばいとなる21.0Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.2Bcf増加した9.8Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(8.4Bcf)より多かった。一方で冷房用需要(発電用需要)は前週より増加して前年同時期の需要(40.8Bcf)を上回った。テキサス州などアメリカ南部で気温が上昇して冷房用需要が増加しているが、天然ガス価格上昇に伴い頭打ちとなっている。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.4Bcf減少した5.8Bcf、LNG輸出向け需要は前週から0.1Bcf減少した10.8Bcfだった。今週のLNG輸出量は67Bcfと前週の61Bcfから6Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

6月14日時点 6月21日時点 6月28日時点 7月5日時点 7月12日時点 7月19日時点 
原油用584基594基595基597基599基599基
天然ガス用154基157基153基153基153基155基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の7月22日発表のレポート(7月19日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週から横ばいの599基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から2基増加した155基だった。リグの総数は758基となった。  

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は10Bcf台前半から12Bcfの間で推移した。EIAによると7月21日から7月27日の間に18隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し67BcfのLNGが輸出された。EIAの発表ではアメリカは2022年上半期に世界最大のLNG輸出国となった。平均輸出量は日量11.2Bcfで前年比で12%増加した。現在試運転中のCalcasieu Passのフル生産の達成とFree PortのLNG基地の復旧が終了すれば最大日量13.9Bcfに増加する見込み。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(8月5日から8月11日)までの気温予報となる。メキシコ国境沿いの一部の地域で平年以下の気温となる以外は、おおむね全国的に平年以上の気温となる見通し。図4は7月21日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。アメリカ北西部の一部、メキシコ国境沿いの一部、カナダ国境沿いの一部で平年並みの気温、それ以外の地域はアメリカ西部やメキシコ湾岸、アメリカ東部を中心に平年以上の気温となる見通し。

 図5はNOAAが発表している最新の北大西洋のハリケーン予報となる。現在のところハリケーンもハリケーンの卵(図中X印)も発生していない。

図5 北大西洋のハリケーン予報(出展元 NOAA)

まとめ

 7月28日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによると、7月22日時点の天然ガス在庫は前週比で15Bcfの増加となり各社の事前予想18Bcf増を下回った。木曜日の天然ガス相場は天然ガス在庫の増加幅が予想を下回ったことを材料に上昇したが、8月の最新の天気予報で猛暑がやや穏やかになるとの見方、アメリカ産天然ガスの生産量の増加を材料に売られて大幅下落となった。天然ガスの全米の在庫量は2416Bcfで平年(5年間の平均2761cf、図1黒線)に比べて345Bcf少なく、前年(2709Bcf)に比べて293Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.1Bcf増加した日量96.7Bcf、カナダからの輸入は前週から横ばいの6.0Bcfだった。アメリカ国内の生産が増加し、供給全体は前週から0.1Bcf増加した102.8Bcfとなった。一方で、需要面ではアメリカの国内需要が前週から0.1Bcf増加した日量74.1Bcfとなった。発電用需要は価格上昇による使用量の減少で前週比で0.1Bcfの減少となったが、前年より2.5Bcf多くなっている。LNG輸出は前週から0.1Bcf減少した日量10.8Bcfだった。LNGの輸出量は7月28日までの1週間の合計で67Bcfだった。
 アメリカの気温上昇が一段落するとの予報となったことで、冷房用需要も一段落するとの見方から売られている。しかし、最新の2週間後の予報では広い範囲で平年以上の気温となっているので、再度需要が増加する可能性がある。最新の天気予報に注意したい。アメリカ国外ではロシアから欧州へ天然ガスを供給するノルドストリームパイプラインの供給が再開されたが、供給量はパイプラインに使用されるタービンの追加のメンテナンスを理由に低下している。今後はドイツで足止めされているノルドストリーム用の別のタービンが無事に取り付けられ供給量が回復するのかに注目したい。冬に必要な在庫確保が可能かどうかの見通しは不透明となっており、欧州各国は天然ガス需要の15%カットで合意した。続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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