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レポート
column

2022/08/05

レポート:天然ガス在庫統計と今後の見通し(2022年8月5日)

ダイジェスト

・8月4日に発表された天然ガス在庫は各社予想29Bcf増に対して41Bcf増と在庫増加は予想を上回る
・7月29日時点の天然ガス在庫量は2457Bcf(有効容量の56.7%)、在庫量は平年(5年間の平均2794Bcf)に比べて337Bcf少なく、前年(2725Bcf)と比べると268Bcf少ない状態
・発表された在庫増加量は41Bcf(平年同時期は33Bcf増、前年同時期は16Bcf増)
・7月28日から8月3日までの天然ガス供給量は103.6Bcfと前週を0.6Bcf上回る
・7月28日から8月3日までの天然ガス需要量は95.2Bcfと前週を1.8Bcf下回る
・アメリカ南部の気温上昇が一服したことで冷房用需要が減少
・テキサス州Free PortのLNG輸出基地の停止による日量約2.0Bcfの輸出量低下は継続中。操業再開作業は順調で予定通り10月上旬の予定と発表
・ルイジアナ州Calcasieu PassのLNG基地の設備のうちブロック5及び6(全9ブロック18トレイン)に対して商業運転開始の承認
・ノルドストリームのタービン問題は継続

週間天然ガス在庫総評

 8月4日にEIAが発表した7月29日時点の週間天然ガス在庫量は2457Bcfと前週比で41Bcfの増加となった。在庫変動幅が各社予想の29Bcf増を上回ったことから売られた。その後、買い戻されたが、結局下落で引けている。
 アメリカ以外の国際天然ガス価格は上昇した。東アジアのカーゴ価格は1MMBtu当たり前週から約4.61ドル上昇した44.57ドル、欧州の天然ガス価格の指標となるTTFハブ価格は1MMBtu当たり前週から約5.90ドル下落した59.54ドルとなった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2457Bcfで平年(5年間の平均2794Bcf、図1黒線)に比べ337Bcf少なく、前年(2725Bcf)に比べて268Bcf少なくなっている。在庫増加は41Bcfで平年同時期は33Bcf増、前年同時期は16Bcf増で多かった。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は在庫減少の地区はなく、太平洋地域とアメリカ南部の海岸地域では在庫均衡、それ以外の地域では在庫増加となった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の52.4%、有効容量(4261Bcf)の57.7%となっている。

表1 地域別天然ガス在庫変動(出展元 EIA)

天然ガス供給  

 表2は7月29日から8月3日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。アメリカ国内の天然ガの生産は前週から0.9Bcf増加した7.9Bcfとなった。カナダからの輸入は前週から0.3Bcf減少した5.7Bcfだった。これにより天然ガスの総供給量は前週から0.6Bcf増加した103.6Bcfとなった。アメリカ国内の生産量は今週も増加を続けている。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は7月28日から8月3日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は95.2Bcfと前週比1.8Bcfの減少となった。内国内需要は72.3Bcfと前週から1.4Bcfの減少だった。内訳は発電需要が前週から1.1Bcf減少した42.1Bcf、工業需要が前週から0.1Bcf増加した21.0Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.4Bcf減少した9.2Bcfだった。今週の暖房用需要(住宅・商業用需要、発電用需要)は前年同時期(8.1Bcf)より多かった。一方で冷房用需要(発電用需要)は前週より減少したが、前年同時期の需要(41.5Bcf)よりは多かった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.5Bcf減少した5.3Bcf、LNG輸出向け需要は前週から0.1Bcf増加した10.9Bcfだった。今週のLNG輸出量は81Bcfと前週の67Bcfから14Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

6月21日時点 6月28日時点 7月5日時点 7月12日時点 7月19日時点 7月26日時点
原油用594基595基597基599基599基605基
天然ガス用157基153基153基153基155基157基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の7月29日発表のレポート(7月26日時点)によると原油採掘用リグ稼働数が前週から6基増加したの605基、天然ガス採掘用リグ稼働数は前週から2基増加した157基だった。リグの総数は767基となった。前年同時期の279基と比べて約500基の増加となっている。

今後の見通し

LNG輸出
図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)

 図2はNGI社が提供している1日当たりの天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は7月27日から29日にかけて10Bcf台後半に落ち込んだ以外はおおむね11Bcf台前半で推移した。EIAによると7月28日から8月3日の間に22隻のLNGタンカーが輸出基地へ寄港し81BcfのLNGが輸出された。ルイジアナ州Calcasieu PassのLNG基地の設備のうちブロック5及び6(全9ブロック18トレイン)が商業運転開始の承認を受けたことで今後LNG輸出が増加する見込み。

国内需要

  図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(8月12日から8月18日)までの気温予報となる。メキシコ国境沿いの一部の地域で平年以下の気温、大西洋岸南部で平年並みの気温となるが、それ以外の地域は平年以上の気温となる見通し。図4は7月31日にNOAAが発表した最新の1か月予報となる。メキシコ国境沿いの一部で平年以下の気温となる以外はアメリカ南部を中心に平年以上の気温となる見通し。

 図5はNOAAが発表している最新の北大西洋のハリケーン予報となる。現在のところハリケーンもハリケーンの卵(図中X印)も発生していない。

図5 北大西洋のハリケーン予報(出展元 NOAA)

まとめ

 8月4日にEIAから発表された天然ガスの週間在庫レポートによると、7月29日時点の天然ガス在庫は前週比で41Bcfの増加となり各社の事前予想29Bcf増を上回った。4日の天然ガス相場は天然ガス在庫の増加幅が予想を上回ったことを材料に売られた。その後、買い戻されたが、結局下落で引けている。天然ガスの全米の在庫量は2457Bcfで平年(5年間の平均2794cf、図1黒線)に比べて337Bcf少なく、前年(2725Bcf)に比べて268Bcf少なくなっている。アメリカ国内の天然ガス生産は前週より0.9Bcf増加した日量97.9Bcf、カナダからの輸入は前週から6.3Bcf減少した5.6Bcfだった。今週もアメリカ国内の生産が増加したことで、供給全体は前週から0.6Bcf増加した103.6Bcfとなった。一方で、需要面ではアメリカの国内需要が前週から1.4Bcf減少した日量72.3Bcfとなった。発電用需要は前週比で1.1Bcfの減少となったが、前年より0.6Bcf多くなっている。LNG輸出は前週から0.1Bcf増加した日量10.9Bcfだった。LNGの輸出量は8月4日までの1週間の合計で81Bcfだった。
 アメリカの気温上昇が一段落したことで冷房用需要の増加が一段落した。ただし、最新の2週間後の予報では再び広い範囲で平年以上の気温となり、再度需要が増加する可能性があるので最新の天気予報に注意したい。また、爆発事故で停止していたテキサス州のFree PortLNG基地の運営会社が記者会見し、復旧は順調で当初の予定通り10月上旬に一部が復旧すると示したことで輸出増加期待が高まっている。続報に注意したい。アメリカ国外ではロシアから欧州へ天然ガスを供給するノルドストリームパイプラインのタービン返却問題は依然継続しており、欧州の天然ガス市場は上昇を続けている。こちらも続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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