

昨日の大豆相場、コーン相場は先週末に寒波となったことで、引き続き上昇すると予想を立てたが、蓋を開けてみると寒波の件は現時点では織り込まれたようで、立会時間開始直後に大豆で約10セント、コーンで数セント上昇したものの、予想したほどは上がらず残念な結果となった。背景には大豆の購入先である中国で蔓延していた豚コレラによって41%もの豚が処分されたため、今後の飼料用の需要が減るとの見通しからの、コーンの方はポジション整理の売りだったようだ。このほか、金曜日に発表された米中の貿易協議の部分合意への不透明感が今週に入って浮上し相場の重しとなったと考えられる。
今週もUSDAのクロッププログレスレポートと先週末時点での建玉数の中身を見ていきたい。大豆のプログレスレポートは以下の表の通りになった。生育が進み収穫が進んでいるが、平年の半分程度となる平均で26%の収穫率となっている。作柄は良以上が54%と前週比で1%の改善、劣以下が14%と前週比で1%の改善となった。北部は冷え込んでいた、先週の始めの時点では暖かな気候で成育が改善したと考えられる。
大豆 | 今週 | 前週 | 前年 | 平年 |
落葉率 | 85% | 72% | 94% | 93% |
収穫率 | 26% | 14% | 37% | 49% |
作柄予想 | ||||
良以上 | 54% | 53% | 66% | – |
劣以下 | 14% | 15% | 11% | – |
次にCFTC(アメリカ商品先物取引委員会)発表のここ5週間の大豆の建玉数は以下の通り。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
9/10 | 669,501 | 135,730 | 182,357 | -46,627 | 335,135 | 279,972 | 55,163 |
9/17 | 669,738 | 144,088 | 153,884 | -9,796 | 329,974 | 311,941 | 18,033 |
9/24 | 690,291 | 148,271 | 147,036 | 1,235 | 334,595 | 329,342 | 5,253 |
10/1 | 713,462 | 165,058 | 126,293 | 38,765 | 340,320 | 373,721 | -33,401 |
10/8 | 711,318 | 163,729 | 122,308 | 41,421 | 343,691 | 384,297 | -40,606 |
図3 2019大豆建玉数(出展元 CFTC) 建玉前週比 買い越し数
図3が2019年の大豆建玉数、建玉の前週比、買い越し数となっている。大豆では売玉、買玉ともに前週より大きな差はない。
コーンのプログレスレポートは以下の表の通り。コーンの方も大豆と同様に収穫率の方が平年の半分程度となっている他、まだ、未成熟のコーンも3割程度残っている。作柄は良以上が55%と前週比で1%の悪化、劣以下は15%と据え置きとなった。先週の始めまでの気候は穏やかだったため、作柄の大きな悪化はなかったようだ。
コーン | 今週 | 前週 | 前年 | 平年 |
デント率 | 96% | 93% | 100% | 99% |
成熟率 | 73% | 58% | 96% | 92% |
収穫率 | 22% | 15% | 38% | 36% |
作柄予想 | ||||
良以上 | 55% | 56% | 68% | – |
劣以下 | 15% | 15% | 12% | – |
次にCFTC発表のここ5週間のコーンの建玉数は以下の通り。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
9/10 | 1,625,371 | 378,327 | 385,805 | -7,478 | 726,002 | 808,155 | -82,153 |
9/17 | 1,625,789 | 373,218 | 411,958 | -38,740 | 706,434 | 767,087 | -60,653 |
9/24 | 1,615,504 | 359,801 | 401,722 | -41,924 | 699,992 | 751,954 | -51,962 |
10/1 | 1,602,769 | 362,049 | 376,055 | -14,006 | 689,965 | 764,869 | -74,904 |
10/8 | 1,621,187 | 346,062 | 350,324 | -4,262 | 710,405 | 793,329 | -82,924 |
図4 2019コーン建玉数(出展元 CFTC) 建玉前週比 買い越し数
図4が2019年のコーン建玉数、建玉前週比、買い越し数となっている。大口投機家の玉の数が全体的に減っているが、特に売玉が8%ほど減少した。
コーンベルトの今日の天候は下の図5の通り。コーンベルトの北部でみぞれが降っている他は広い範囲で雷雨となっている。図6の2枚は1-2週間後の気温予報となっており、10日後までは西部ではまだ平年並みの気温となる地域が広いが、14日後には気温がより東側でも下落し、再び寒気が来る見込み。

図6A 6-10日予報 気温 図6B 8-14日予報 気温
次に、今週は、レポート内部の収穫率の州ごとの詳細を見ておきたい。レポートには大豆とコーンどちらにも18州の名前が記載されている。
まず大豆だが、コーンベルト北部と西部に当たるミシガン、ミネソタ、ウィスコンシン、アイオワ、ノースダコタ、サウスダコタ、ネブラスカ、カンザスでは収穫の進捗が平年の半分から4分の1の進捗となっており、そのほかの州で平年より収穫が進んでいる州もある中で停滞が目立つ。ただ、北部では生育中だった大豆よりは落葉した大豆の方が多く、寒波の今後への影響は小さくはないと思われるが、生育のピークは過ぎており、その分影響は限定的でもあると考えられる。
州名 | 今週落葉率(%) | 平年落葉率(%) | 今週収穫率(%) | 平年収穫率(%) |
アーカンソー | 89 | 91 | 51 | 60 |
イリノイ | 80 | 94 | 27 | 55 |
インディアナ | 84 | 95 | 30 | 47 |
アイオワ | 85 | 95 | 17 | 43 |
カンザス | 81 | 85 | 13 | 25 |
ケンタッキー | 80 | 78 | 45 | 34 |
ルイジアナ | 99 | 98 | 89 | 90 |
ミシガン | 83 | 95 | 18 | 36 |
ミネソタ | 92 | 98 | 19 | 62 |
ミシシッピー | 95 | 94 | 75 | 78 |
ミズーリ | 69 | 81 | 15 | 27 |
ネブラスカ | 91 | 97 | 28 | 47 |
ノースカロライナ | 87 | 70 | 25 | 15 |
ノースダコタ | 96 | 100 | 16 | 67 |
オハイオ | 79 | 95 | 36 | 48 |
サウスダコタ | 92 | 99 | 13 | 57 |
テネシー | 92 | 89 | 50 | 39 |
ウィスコンシン | 78 | 94 | 15 | 37 |
平均 | 85 | 93 | 22 | 49 |
次に、コーンだがこちらもミシガン、ミネソタ、ウィスコンシン、アイオワ、ノースダコタ、サウスダコタ、ネブラスカ、カンザスの各州では平年の半分から4分の1の進捗となり、こちらも収穫が大幅に遅くなっている。大豆に比べてコーンは未成熟な状態の割合が大きいため、寒波の影響がより大きいと考えられる。
州名 | 今週成熟率(%) | 平年成熟率(%) | 今週収穫率(%) | 平年収穫率(%) |
コロラド | 83 | 82 | 27 | 20 |
イリノイ | 73 | 98 | 23 | 59 |
インディアナ | 72 | 94 | 24 | 41 |
アイオワ | 72 | 94 | 7 | 20 |
カンザス | 93 | 96 | 48 | 64 |
ケンタッキー | 99 | 97 | 84 | 78 |
ミシガン | 44 | 80 | 7 | 16 |
ミネソタ | 66 | 93 | 5 | 19 |
ミズーリ | 92 | 99 | 46 | 69 |
ネブラスカ | 85 | 92 | 20 | 24 |
ノースカロライナ | 100 | 100 | 93 | 90 |
ノースダコタ | 42 | 87 | 1 | 12 |
オハイオ | 57 | 88 | 16 | 27 |
ペンシルベニア | 81 | 89 | 38 | 31 |
サウスダコタ | 53 | 90 | 5 | 19 |
テネシー | 100 | 99 | 92 | 89 |
テキサス | 91 | 90 | 77 | 75 |
ウィスコンシン | 49 | 81 | 3 | 14 |
平均 | 73 | 92 | 22 | 36 |
まとめると、先週末の寒波は大豆については落葉していたため、大きな影響は出ない可能性がある。ただし、大豆の品質についてはすでに雨の影響が懸念されている状態であるため、低下は避けられないのではないか。コーンについては未成熟な畑に寒波が来たため今回の寒波の影響は大きいのではないだろうか。すでに相場には考えられるが、需給に影響が出る可能性があるため、来月のレポートに注目したい。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。