

大豆相場は上げ基調となっている。これは作柄とイールドの悪化によって生産量の予測が引き下げられたことの他、米中協議の再開にによる期待高や、輸出成約高が好調となっているのがその要因。一方のコーンの方は、生産量は引き下げられたものの差はわずかであり、その後の輸出成約高も冴えないため材料に欠ける状態となっている。先週は、原油の高騰により代替燃料の材料として買いが入った場面もあったが一時的なもので下落基調が続いている。コーンベルトの天候は降雨と平年より高い気温が生育に適した天候をもたらしているため、引き続き相場の重しとなっている。
今週もUSDAのクロップレポートと先週末時点での建玉数の中身を見ていきたい。
大豆のクロップレポートは以下の表の通りで、着サヤは終わり、落葉がはじまっている。作柄は良以上54%で据え置き、劣以下が13%となり1%の改善と、大豆の作柄は若干改善した。
大豆 | 今週 | 前週 | 前年 | 平年 |
着サヤ率 | 95% | 92% | 100% | 100% |
落葉率 | 34% | 15% | 68% | 59% |
作柄予想 | ||||
良以上 | 54% | 54% | 68% | – |
劣以下 | 13% | 14% | 10% | – |
次にCFTC(アメリカ商品先物取引委員会)発表のここ5週間の大豆の建玉数は以下の通り。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
8/20 | 642,876 | 153,047 | 174,787 | -21,740 | 312,853 | 275,649 | 37,204 |
8/27 | 644,246 | 145,788 | 175,755 | -29,967 | 309,716 | 267,057 | 42,659 |
9/3 | 642,132 | 146,978 | 171,962 | -24,984 | 312,977 | 275,774 | 37,203 |
9/10 | 669,501 | 135,730 | 182,357 | -46,627 | 335,135 | 279,972 | 55,163 |
9/17 | 669,738 | 144,088 | 153,884 | -9,796 | 329,974 | 311,941 | 18,033 |
図3 2019大豆建玉数(出展元 CFTC) 建玉前週比 買い越し数
図3は2019年の大豆建玉数、建玉前週比、買い越し数となっている。5週間の建玉数を見るとファンドが売玉を10%以上減らしており、代わりに買玉を若干増加させており、売り越しが小さくなっている。
コーンのクロップレポートは以下の表の通りで、作柄が良以上57%で2%の改善、劣以下13%で1%の改善となり、ここへきてコーンベルトの好天が作柄を改善させている。またコーンは収穫が始まっている。
コーン | 今週 | 前週 | 前年 | 平年 |
ドウ率 | 96% | 93% | 100% | 100% |
デント率 | 79% | 68% | 96% | 94% |
成熟率 | 29% | 18% | 69% | 57% |
収穫率 | 7% | 4% | 15% | 11% |
作柄予想 | ||||
良以上 | 57% | 55% | 69% | – |
劣以下 | 13% | 14% | 12% | – |
次にCFTC発表のここ5週間のコーンの建玉数は以下の通り。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
8/20 | 1,743,824 | 415,713 | 321,629 | 94,084 | 760,654 | 942,256 | -181,602 |
8/27 | 1,639,672 | 359,257 | 320,313 | 38,944 | 753,420 | 876,948 | -123,528 |
9/3 | 1,571,335 | 364,033 | 343,021 | 21,012 | 708,844 | 819,625 | -110,781 |
9/10 | 1,625,371 | 378,327 | 385,805 | -7,478 | 726,002 | 808,155 | -82,153 |
9/17 | 1,625,789 | 373,218 | 411,958 | -38,740 | 706,434 | 767,087 | -60,653 |
図4 2019コーン建玉数(出展元 CFTC) 建玉前週比 買い越し数
図4は2019年のコーン建玉数、建玉前週比、買い越し数となっている。5週間を見ると、先週はファンドが売玉を10%ほど増やしたことがわかる。
コーンベルトの今日現在の天候は下の図5の通りでコーンベルトの南部に東西に全線が横断しているほか、東部や五大湖周辺で雨となっており、数日間は続く見込み。また図6の4枚が示すように、14日後までの天気予報では気温が平年より上昇し、気温は農作物の生育に適した気候が広がると予想されているが、降水量も平年より多くなる見通しで収穫間際の雨による作柄懸念が浮上してきている。今週からは収穫時に好天が続くかどうかを材料とした値動きがあるのでないだろうか。

図6A 6-10日予報 気温 図6B 6-10日予報 降水量 図6C 8-14日予報 気温 図6D 8-14日予報 降水量
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。